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29. 最速記録
しおりを挟む「サタン様~、こちらも持って行ってよろしいのですか?」
「うん、よろしく」
俺に確認したロナルドの息子のロイが、両手にパンパンに膨れた袋を掲げてせっせと運んで行く。
ジーモの時と同じく、ロナルドの息子も魔力量が多いみたいで成長が遅い。
人間の俺よりも年上らしいが、まだ少学生くらいの少年が頑張る姿が可愛くて思わずニヤけてしまう。
ロイの他にも何人か手伝ってくれていて、前回も手伝ってくれた人がちらほら見受けられる。
フルカスの件で頓挫してしまってる城外の清掃活動の為に、皆予定を空けててくれたって聞いた時は思わずうるっときた。
でもやっぱりアスタロトの近くだと怖いのか、それとも開け放たれた部屋からの異臭に慄いたのか、部屋には入りたがらなかったため、部屋の外に集めた不要品を運ぶ仕事をしてもらっている。
ゴミ捨て初心者の頃って、せっかく捨てる決心したのに袋に入ってるのを見たら途端に『いる物』に思えてくるからね。捨てちゃうのが勿体なく感じるし。俺もそうだったから分かる。
本当は捨てる物の量を見て、これだけの物を無駄にしてたんだって後悔して、それを次に繋げて欲しいけど、今回はスピード戦だから片付いた部屋を見て掃除の快感感じて貰えたらな、って。
医務室の方を頼んでいたラーナが夜食をどうするか聞いて来た時に今の時間を聞いたら、既に掃除を始めて四時間は経っていた。
アスタロトは意外と集中力がもつタイプらしく、今も淡々と『いる物』を選別している。
使用人達には無理せずにちゃんと休むように伝えて、俺も参戦する。
残す基準が明確になってからは、悩む事無く殆どの物を『いらない物』袋に入れていて、かなりいいペースで進んでいるし、勢いがある内に出来るだけ頑張るつもりだ。
まだ少しだけだけど床が見えるようになった部屋を見て、俺はほんの少し、アスタロトに対する評価を改めた。
それから一時間後、城に帰って来たベルゼが慌てて様子を見に来た事で、一日目の掃除は終了した。
まだ物の選別の段階で掃いたり拭いたりする作業はしていないのにあちこち痛い。流石魔境。
明日あたり筋肉痛がヤバいかもな、なんて考えながら風呂場へと向かう。
露天風呂が俺専用で良かった!
流石にアスタロトと裸の付き合いするのは心の準備がまだ出来ていない。というか一生出来ない。
「そういえば、こないだマッサージ出来るって言ってたなぁ……」
湯船の中で自分でマッサージしてみたけど、効果は無さそうで。
前回大掃除した時にメイドさんが言ってた事を思い出した。
名前は何ていったっけな……
「アリーナ……じゃなくて……サリア、じゃないな……」
最後がア行だったのは確かなんだけどなぁ。
独り言を言いながら脱衣場で体を拭いていると、いつかのように目の前が白くなった。
サタンが呼んでるんだ! と気付き、頭に浮かんだのは――――
「せめてパンツだけは履かせてッ!!」
過去最速で下着に足を通して前を見ると、呆気にとられたサタンと目が合った。
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