6 / 74
第一章
第5話
しおりを挟む
空気が淀んでいく。
死臭が濃くなり、心なしか吸う息が浅くなる。
まるで目の前の黒い不死鳥が、周辺の空気を吸い上げているようだった。
ブラックフェニックス。
かつて私と敵対した魔王の幹部の1人。
厄介なのは、その特性――奴は魔王の部下でありながら、不死なのだ。
剣で斬っても、魔法を打ち込んでも死なない化け物。
結局私は当時の勇者たちと協力して、強力な結界を張って封印することしかできなかった。
それがまさか1000年後の世界で再会するなんて、封印した当時思いも寄らなかったわ。
けれど、今は当時を懐かしんでいる場合じゃない。
どうやって切り抜けるかだ。
もう私は1000年前の聖女じゃない。
ちょっと魔術が使える程度のただの5歳児だ。
対して、相手は元魔王の部下――――。
どっちが強いかなんて誰でもわかる。
(もしかして、これが世界の危機なのかしら)
私はブラックフェニックスを見ながら、ふと思った。
魔王の部下の復活。しかも、不死の化け物だ。
世界に危機をもたらすキャラクターとしては、背景も特徴も十分新魔王を名乗る資格があると思うのだけど。
(まさかいきなりボスキャラに合うなんて……)
危機が訪れたら戦うとはいったけど、最初からラスボスなんて聞いてないわよ!
私の心の叫びをよそに、ブラックフェニックスは赤く爛れた目をこちらに向ける。
嘴を大きく開き、甲高く嘶いた。
明らかに私たちに向かって、殺意と敵意を向けている。
それともお腹が空いて、機嫌が悪いのかも知れない。
1000年間、ずっと封印されていたのだ。さぞお腹を空かせていることだろう。
今にも竜の鳴き声みたいな腹音が聞こえてきそうだ。
「ごめんなさい」
唐突にライザ姉様が立ち上がった。
ブラックフェニックスと私の前に出て、手を広げる。
どう見たって、それは私を守っているようにしか見えなかった。
「あなたを起こしたことは謝るわ。お腹が空いているなら、私を食べて。だから、だからお願い。妹だけは見逃して!」
ライザ姉さんは叫ぶ。
一瞬、私には何を言っているのかわからなかった。
3歳しか違わない私の姉が、必死にかつての魔王の部下に許しを請うている。
怖くないわけがない。子どもとはいえ、その力量も知らずに訴えているわけではないことは、姉さんの手が震えていることからもわかった。
私はずっとライザ姉さんには疎まれていると思っていた。
いつも魔術書を読んでいて、自分より人気のある鼻持ちならない妹だと。
加えて小心者だから、こういう時パニックを起こして妹を捨てて逃げるのかと思っていた。
「この子は私なんかより才のうがあるの。むずかしいまじゅつしょを読むことができて、足も速くて、人気ものだから、ミレニアが死んだらいっぱい悲しむと思う」
「へっ?」
「それに私、お姉ちゃんだから! 妹を守ってあげないとダメなの!!」
ライザ姉さんは絶叫した。
すでに半べそを掻いて、足をガタガタと震わせている。
それでも、圧倒的な強者の前で、思いの丈をぶちまけた。
パニックを起こして、何か無茶苦茶なことを言っているのかと思ったが、そうでもない。
むしろ極限の危機の中で、姉は私に対する素直な気持ちを吐露しているように見えた。
「ライザ姉さん……」
「ミレニア! あなた、何をしているの?? あなただけでも逃げなさい!! 早く!!」
振り返った時に見えたライザ姉さんの形相は、見たこともないほど険しかった。
知らなかった。
ライザ姉さんが、私のことをそんな風に思っていたなんて。
いや、多分私は姉を知った気でいたんだ。
その人の表面だけのことを知って、中身のことを知らなかった。
違う。知ろうともしなかったのだ。
私はなんて馬鹿者なんだ。
「姉さん、ありがとう」
「そうよ。それでいい! あなたは――――」
「夢魔の風よ。激しく踊れ。黒天に誘い、彷徨い、深き宙の底へ」
【睡魔】
「なに……。ミレ……に…………あ……」
倒れかかったライザ姉さんを、私は受け止める。
思った以上に軽い。こんな身体なのに、姉さんは私を守ろうとしていたのね。
目の前の化け物から。
「姉さん、ちょっと待っててね」
慎重に地面に下ろすと、私はブラックフェニックスを睨んだ。
なかなか紳士的な魔物だ。それとも余裕からくるものなのだろうか。
姉妹の寸劇が終わると、ついにブラックフェニックスは翼を広げた。
戦闘態勢に入ったのだ。
「さて、どうする?」
思わせぶりな感じで、元魔王の幹部に立ちはだかってみたけど、今のところ目の前の化け物から逃げる算段はついていない。戦うなんて以ての外だ。
ブラックフェニックスと戦えたのは、私が以前聖女で、周りに猛者がいたからである。
仮に私1人だけなら、倒せたかどうかわからない。
それほどブラックフェニックスを初め、魔王の幹部たちは強かった。
今の私にあの頃の力はない。
そして、あの時にいた仲間たちもいない。
あるのは、多少囓った程度の魔術の力と、隠し技が1つだけ。
勝機があるとすれば、その隠し技の方だけど相手に通じるかはわからない。
それもダメなら、姉妹揃って大人しくブラックフェニックスの食卓に並ぶことになるだろう。
ブラックフェニックスは嘴を閉じたり、開いたりしながら威嚇してくる。
空からではなく、獰猛な爪が生えた足で、徐々に私に近づいてきた。
「ぎゃあああああ! ぎゃああああああああ!!」
いよいよ襲ってくるかという時、ブラックフェニックスは暴れ出す。
翼を激しく動かしながら、何かに耐えているように見えた。
「――――ッ!」
「え?」
聞こえた。今、何かブラックフェニックスの言葉が聞こえたような気がした。
はたと私は思い出す。
今から1000年前。私たちは魔族と対峙していた。
魔族の中には、人語を解するものもいて、種族によっては共存共栄の道を議論したことがある。
だが、ブラックフェニックスだけは違った。
ひたすら凶暴な魔物は、問答無用に襲いかかってきたのだ。
(でも、今の私は違う……)
鳥の言葉だってわかるのだ。
なら、ブラックフェニックスの言葉だって聞こえるかもしれない。
仮に説得することができれば、あるいは――――。
「ねぇ! 聞いて、ブラックフェニックス! いや、聞かせてほしい。あなたの言葉を……。あなたが私に言いたいことを聞かせて!!」
ブラックフェニックスは千鳥足で、フラフラと今にも倒れそうだ。
木々に激突したりしながら、なんとか体勢を維持している。
最中、ブラックフェニックスの身体がピクリと止まった。
そして、私ははっきりとその声を捉えることに成功する。
助けて……。
死臭が濃くなり、心なしか吸う息が浅くなる。
まるで目の前の黒い不死鳥が、周辺の空気を吸い上げているようだった。
ブラックフェニックス。
かつて私と敵対した魔王の幹部の1人。
厄介なのは、その特性――奴は魔王の部下でありながら、不死なのだ。
剣で斬っても、魔法を打ち込んでも死なない化け物。
結局私は当時の勇者たちと協力して、強力な結界を張って封印することしかできなかった。
それがまさか1000年後の世界で再会するなんて、封印した当時思いも寄らなかったわ。
けれど、今は当時を懐かしんでいる場合じゃない。
どうやって切り抜けるかだ。
もう私は1000年前の聖女じゃない。
ちょっと魔術が使える程度のただの5歳児だ。
対して、相手は元魔王の部下――――。
どっちが強いかなんて誰でもわかる。
(もしかして、これが世界の危機なのかしら)
私はブラックフェニックスを見ながら、ふと思った。
魔王の部下の復活。しかも、不死の化け物だ。
世界に危機をもたらすキャラクターとしては、背景も特徴も十分新魔王を名乗る資格があると思うのだけど。
(まさかいきなりボスキャラに合うなんて……)
危機が訪れたら戦うとはいったけど、最初からラスボスなんて聞いてないわよ!
私の心の叫びをよそに、ブラックフェニックスは赤く爛れた目をこちらに向ける。
嘴を大きく開き、甲高く嘶いた。
明らかに私たちに向かって、殺意と敵意を向けている。
それともお腹が空いて、機嫌が悪いのかも知れない。
1000年間、ずっと封印されていたのだ。さぞお腹を空かせていることだろう。
今にも竜の鳴き声みたいな腹音が聞こえてきそうだ。
「ごめんなさい」
唐突にライザ姉様が立ち上がった。
ブラックフェニックスと私の前に出て、手を広げる。
どう見たって、それは私を守っているようにしか見えなかった。
「あなたを起こしたことは謝るわ。お腹が空いているなら、私を食べて。だから、だからお願い。妹だけは見逃して!」
ライザ姉さんは叫ぶ。
一瞬、私には何を言っているのかわからなかった。
3歳しか違わない私の姉が、必死にかつての魔王の部下に許しを請うている。
怖くないわけがない。子どもとはいえ、その力量も知らずに訴えているわけではないことは、姉さんの手が震えていることからもわかった。
私はずっとライザ姉さんには疎まれていると思っていた。
いつも魔術書を読んでいて、自分より人気のある鼻持ちならない妹だと。
加えて小心者だから、こういう時パニックを起こして妹を捨てて逃げるのかと思っていた。
「この子は私なんかより才のうがあるの。むずかしいまじゅつしょを読むことができて、足も速くて、人気ものだから、ミレニアが死んだらいっぱい悲しむと思う」
「へっ?」
「それに私、お姉ちゃんだから! 妹を守ってあげないとダメなの!!」
ライザ姉さんは絶叫した。
すでに半べそを掻いて、足をガタガタと震わせている。
それでも、圧倒的な強者の前で、思いの丈をぶちまけた。
パニックを起こして、何か無茶苦茶なことを言っているのかと思ったが、そうでもない。
むしろ極限の危機の中で、姉は私に対する素直な気持ちを吐露しているように見えた。
「ライザ姉さん……」
「ミレニア! あなた、何をしているの?? あなただけでも逃げなさい!! 早く!!」
振り返った時に見えたライザ姉さんの形相は、見たこともないほど険しかった。
知らなかった。
ライザ姉さんが、私のことをそんな風に思っていたなんて。
いや、多分私は姉を知った気でいたんだ。
その人の表面だけのことを知って、中身のことを知らなかった。
違う。知ろうともしなかったのだ。
私はなんて馬鹿者なんだ。
「姉さん、ありがとう」
「そうよ。それでいい! あなたは――――」
「夢魔の風よ。激しく踊れ。黒天に誘い、彷徨い、深き宙の底へ」
【睡魔】
「なに……。ミレ……に…………あ……」
倒れかかったライザ姉さんを、私は受け止める。
思った以上に軽い。こんな身体なのに、姉さんは私を守ろうとしていたのね。
目の前の化け物から。
「姉さん、ちょっと待っててね」
慎重に地面に下ろすと、私はブラックフェニックスを睨んだ。
なかなか紳士的な魔物だ。それとも余裕からくるものなのだろうか。
姉妹の寸劇が終わると、ついにブラックフェニックスは翼を広げた。
戦闘態勢に入ったのだ。
「さて、どうする?」
思わせぶりな感じで、元魔王の幹部に立ちはだかってみたけど、今のところ目の前の化け物から逃げる算段はついていない。戦うなんて以ての外だ。
ブラックフェニックスと戦えたのは、私が以前聖女で、周りに猛者がいたからである。
仮に私1人だけなら、倒せたかどうかわからない。
それほどブラックフェニックスを初め、魔王の幹部たちは強かった。
今の私にあの頃の力はない。
そして、あの時にいた仲間たちもいない。
あるのは、多少囓った程度の魔術の力と、隠し技が1つだけ。
勝機があるとすれば、その隠し技の方だけど相手に通じるかはわからない。
それもダメなら、姉妹揃って大人しくブラックフェニックスの食卓に並ぶことになるだろう。
ブラックフェニックスは嘴を閉じたり、開いたりしながら威嚇してくる。
空からではなく、獰猛な爪が生えた足で、徐々に私に近づいてきた。
「ぎゃあああああ! ぎゃああああああああ!!」
いよいよ襲ってくるかという時、ブラックフェニックスは暴れ出す。
翼を激しく動かしながら、何かに耐えているように見えた。
「――――ッ!」
「え?」
聞こえた。今、何かブラックフェニックスの言葉が聞こえたような気がした。
はたと私は思い出す。
今から1000年前。私たちは魔族と対峙していた。
魔族の中には、人語を解するものもいて、種族によっては共存共栄の道を議論したことがある。
だが、ブラックフェニックスだけは違った。
ひたすら凶暴な魔物は、問答無用に襲いかかってきたのだ。
(でも、今の私は違う……)
鳥の言葉だってわかるのだ。
なら、ブラックフェニックスの言葉だって聞こえるかもしれない。
仮に説得することができれば、あるいは――――。
「ねぇ! 聞いて、ブラックフェニックス! いや、聞かせてほしい。あなたの言葉を……。あなたが私に言いたいことを聞かせて!!」
ブラックフェニックスは千鳥足で、フラフラと今にも倒れそうだ。
木々に激突したりしながら、なんとか体勢を維持している。
最中、ブラックフェニックスの身体がピクリと止まった。
そして、私ははっきりとその声を捉えることに成功する。
助けて……。
7
あなたにおすすめの小説
十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。
あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。
宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。
対極のような二人は姉妹。母親の違う。
お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。
そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。
天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。
生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。
両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。
だが……。運命とは残酷である。
ルビアの元に死神から知らせが届く。
十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。
美しい愛しているルビア。
失いたくない。殺されてなるものか。
それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。
生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。
これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、すれ違いの末に離れ離れになった夫婦の物語。
再会したとき、二人が選ぶのは「離婚」か、それとも「再構築」か。
妻を一途に想い続ける夫と、
その想いを一ミリも知らない妻。
――攻防戦の幕が、いま上がる。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる