13 / 74
第二章
第11話
しおりを挟む
私は第2問に取りかかる。
『第2問 部下が転職情報誌を休憩時間に読んでいました。あなたならどうする? ただし部下はワンオペと仮定する』
いや、本当にこの試験なんなの? そもそもワンオペって??
15歳になったばかり、社会の酸いも甘いも知らない半子どもみたいな人間に、転職情報誌とか言われてもわからないわよ。
まあ、私は前世で社会経験があるからまだいいけど。
こんな問題、ヴェルちゃんはわかるのかしら。
横を見ると、案の定小さな受験生は歯ぎしりしながら問題を解いていた。
どうやら、まだ第1問で苦戦中みたいだ。
つと眼が合う。
「シャアアアアアアアア!!」
目尻を吊り上げて、本物の猫みたいに威嚇してきた。
(どうしよう? めちゃくちゃ可愛いんだけど……)
私は慌てて眼を逸らすと、首を傾げた。
この試験は何かおかしい。問題があまりに魔術学校らしくない。
(もしかして私の問題用紙が他と間違って配られてるとか?)
さすがにあり得ないか。だとしても、あの怖そうな師団長の教官に尋ねるのは憚れる。
他に考えられるのは、問題の解釈かしら。そうだ。そうよ。そうに違いないわ。多分これは暗号なのよ。魔術師しか知らないような……。
まずい。さっぱりだわ。
そういうのを習ってこなかったし。そもそも語学で困ったことなんてなかったから、暗号は盲点だったわ。
神様~、もういっそのこと暗号も楽々解けるようなチートにしておいてよ。
私は頭を抱えた。まさに万事休すだわ。このままじゃ筆記試験「0点」なんてことも。
いや、諦めるな、ミレニア・ル・アルカルド。
これはちょうど良いハンデだと思えば良いのよ。
筆記試験がたとえ「0点」だとしても、午後の能力テストと、実技試験を満点でとれば、ちょうど平均点ぐらいになるかもしれない。
そうよ。私、ちょっと勘違いしていたわ。
この試験を全力ですることなんてない。
私が目指すところは、普通の魔術師よ。首席とか次席とかどうでもいい。そういうのは、横に座っているヴェルちゃんに取ってもらえばいいのよ。
目指すは平均値。今、それが私のミッションよ。
とりあえず空欄というのもやる気がなさそうに見えるから、わかる範囲で回答だけは書いておこう。
5分後……。
「ふー……」
できた。問題の通りに解くだけなら簡単ね。
まともな設問は最後ぐらいだったかしら。
これだけ魔術文字の年代がわからなかったけど、設問には「解明せよ」ってあったからひとまず翻訳しておいた。
まだ試験終了まで2時間ぐらいあるわねぇ。
とりあえず見直しだけしましょう。
2分後……。
うん。問題ない。これが今、私のできる精一杯。あとは能力試験と実技試験で挽回しましょう。
これってできたら、もう教室を出てもいいのかな。
それともここで待機? いずれにしても、あの怖い教官に確認しなきゃならないのか。
ならヴェルちゃんをこっそり覗き見ながら、待っていよう。
私はそっと視線を動かす。目線があったのは、子猫みたいなヴェルちゃんの可愛い視線ではない。
硬く冷ややかな鉱物を思わせるようなブラウンの三白眼だった。
「貴様、さっきから何をキョロキョロとしている?」
そこにいたのは、教官役のゼクレア師団長だった。
え? 嘘!! さっき教壇の前で椅子に座ってなかった?
私は思わず前の方に振り返ったが、前に置かれた椅子には誰もいない。
ゼクレア師団長から眼を話した一瞬のうちに、横に立ったということ?
この人、魔術師って言うより化け物って部類なんじゃ。
「答えろ。貴様、何を見ていた?」
「え? いや、その……」
助けを求めるように、師団長の脇腹の横に見えるヴェルちゃんに視線を向けたけど、帰ってきたのは、「あっかんべー」をした可愛らしい表情だった。
あわあわと戸惑っていると、ゼクレア師団長の視線が私の解答用紙に注がれる。
「もう終わったのか?」
ついに私の解答用紙を摘まんで、目を通し始めた。
返して、と心の中では必死に訴えていたのだが、身体が全く動かない。
多分、魔術とかじゃない。この人が持つ空気感が私を押さえ付けていた。
私はなすがまま、なされるがまま待っていると、10秒もしないうちにゼクレア師団長の表情が変わった。
それは怒りでも、まして悲しみでもない。
普段鋭く磨かれている三白眼の瞳が、みるみる開かれ、驚きに満ち満ちていく。
ハッと口元に当てた手は、確実に震えていた。
「な、なんだと……」
呟いたのを私は確かに聞いた。
ど、どういう意味だろうか。そんなに父親と一緒にブランコに乗るのは意外だったのだろうか。
それとも部下と夜明けの珈琲を飲むのが、間違った選択だったのだろうか。
「貴様、名前は?」
ゼクレア師団長の元の顔つきに戻ると、唐突に尋ねた。
「み、ミレニア・ル・アスカルド……です……」
「アスカルド子爵家? 聞いたことがないなあ」
一応、うちのお爺ちゃんがすっごい魔術師だったらしいんだけどなあ。
所詮は貧乏子爵家よね。
お爺ちゃんの話も私が見たわけじゃないから本当かどうかわからないし。
「この解答用紙は預かっておこう」
「え? どうしてですか?」
「お前、ここは魔術学校の試験会場だぞ。魔術を使えば、他人の解答など見放題だ。もちろん、不正だがな」
ゼクレア師団長はくるりと振り返った。
流れるような動きから手をかざす。その先にあったのは、試験会場の天井だ。
「岩陰に王国を作り精霊よ。我が手を宿り木とし、悪鬼を穿つ槍を鎚て!」
【鋭石槍戟】
ゼクレア師団長の先から石の槍が飛び出す。
ドスッと鈍い音が聞こえると、現れたのは巨大な目に触手が付いた化け物だった。
体長は私の手の平より一回り大きい。とにかく見た目がグロテスクだった。
天井から吊り下がっていた化け物は、石の槍の直撃を受けて消滅する。
次の瞬間、受験会場にいた受験生の1人が突然叫び、悶絶を始めた。
椅子から落ちて、バタバタと悶える。
「魔物を使役する魔術か。さらに迷彩の魔術もかけてあるな。なかなかだ。しかし、能力を使う場所を間違っていたな。……即刻、出ていけ! そして二度と魔術に関わるな!!」
ゼクレア師団長が一喝すると、受験生は悲鳴を上げながら出ていった。
ふん、と不正していた受験生を一瞥した後、ゼクレア師団長は私の解答用紙を軍服のポケットに入れる。
(か、か、かっこいい!)
さすが師団長。魔術で巧妙に書かれていた魔物を、あっさりと見つけるなんて。
でも、まさか魔術を使ってカンニングとはね。
これも魔術学校の試験らしいといえば、らしいけど。
「お前、もう教室を出てっていいぞ」
ゼクレア師団長は事も無げにこう言った。
「いいんですか?」
「お前の筆記試験は終わったろう。教室の外に出て、大人しくしてろ」
「いえ。で、で、ででも見直しとか」
「必要ないだろ。それよりも答案用紙と、お前をここに残しておく方が問題と考えた。思考を読む魔術を使われる恐れもあるからな。行っていいぞ。いや、むしろ――――」
出ていけ。
最後は脅しだった。
私はまだ誰もいない廊下に追い出される。
何が何だかわからない。
でも、おそらくそれだけ私の解答用紙は珍妙なものだったのだろう。
そうだ。私の解答用紙を覗き見ていたあの受験生も、きっと腹の底で笑っていたに違いない。
「下を向くな、私。まだまだ試験は始まったばかりよ」
能力試験も、実技試験もある。そこで満点を取れば、平均値になる。
あとは、自分の全力を尽くすだけだ!
私は知らなかった、この先に起こることを……。
提出した解答用紙が、この国の賢人と呼ばれる人たちに絶賛される未来のことを……。
『第2問 部下が転職情報誌を休憩時間に読んでいました。あなたならどうする? ただし部下はワンオペと仮定する』
いや、本当にこの試験なんなの? そもそもワンオペって??
15歳になったばかり、社会の酸いも甘いも知らない半子どもみたいな人間に、転職情報誌とか言われてもわからないわよ。
まあ、私は前世で社会経験があるからまだいいけど。
こんな問題、ヴェルちゃんはわかるのかしら。
横を見ると、案の定小さな受験生は歯ぎしりしながら問題を解いていた。
どうやら、まだ第1問で苦戦中みたいだ。
つと眼が合う。
「シャアアアアアアアア!!」
目尻を吊り上げて、本物の猫みたいに威嚇してきた。
(どうしよう? めちゃくちゃ可愛いんだけど……)
私は慌てて眼を逸らすと、首を傾げた。
この試験は何かおかしい。問題があまりに魔術学校らしくない。
(もしかして私の問題用紙が他と間違って配られてるとか?)
さすがにあり得ないか。だとしても、あの怖そうな師団長の教官に尋ねるのは憚れる。
他に考えられるのは、問題の解釈かしら。そうだ。そうよ。そうに違いないわ。多分これは暗号なのよ。魔術師しか知らないような……。
まずい。さっぱりだわ。
そういうのを習ってこなかったし。そもそも語学で困ったことなんてなかったから、暗号は盲点だったわ。
神様~、もういっそのこと暗号も楽々解けるようなチートにしておいてよ。
私は頭を抱えた。まさに万事休すだわ。このままじゃ筆記試験「0点」なんてことも。
いや、諦めるな、ミレニア・ル・アルカルド。
これはちょうど良いハンデだと思えば良いのよ。
筆記試験がたとえ「0点」だとしても、午後の能力テストと、実技試験を満点でとれば、ちょうど平均点ぐらいになるかもしれない。
そうよ。私、ちょっと勘違いしていたわ。
この試験を全力ですることなんてない。
私が目指すところは、普通の魔術師よ。首席とか次席とかどうでもいい。そういうのは、横に座っているヴェルちゃんに取ってもらえばいいのよ。
目指すは平均値。今、それが私のミッションよ。
とりあえず空欄というのもやる気がなさそうに見えるから、わかる範囲で回答だけは書いておこう。
5分後……。
「ふー……」
できた。問題の通りに解くだけなら簡単ね。
まともな設問は最後ぐらいだったかしら。
これだけ魔術文字の年代がわからなかったけど、設問には「解明せよ」ってあったからひとまず翻訳しておいた。
まだ試験終了まで2時間ぐらいあるわねぇ。
とりあえず見直しだけしましょう。
2分後……。
うん。問題ない。これが今、私のできる精一杯。あとは能力試験と実技試験で挽回しましょう。
これってできたら、もう教室を出てもいいのかな。
それともここで待機? いずれにしても、あの怖い教官に確認しなきゃならないのか。
ならヴェルちゃんをこっそり覗き見ながら、待っていよう。
私はそっと視線を動かす。目線があったのは、子猫みたいなヴェルちゃんの可愛い視線ではない。
硬く冷ややかな鉱物を思わせるようなブラウンの三白眼だった。
「貴様、さっきから何をキョロキョロとしている?」
そこにいたのは、教官役のゼクレア師団長だった。
え? 嘘!! さっき教壇の前で椅子に座ってなかった?
私は思わず前の方に振り返ったが、前に置かれた椅子には誰もいない。
ゼクレア師団長から眼を話した一瞬のうちに、横に立ったということ?
この人、魔術師って言うより化け物って部類なんじゃ。
「答えろ。貴様、何を見ていた?」
「え? いや、その……」
助けを求めるように、師団長の脇腹の横に見えるヴェルちゃんに視線を向けたけど、帰ってきたのは、「あっかんべー」をした可愛らしい表情だった。
あわあわと戸惑っていると、ゼクレア師団長の視線が私の解答用紙に注がれる。
「もう終わったのか?」
ついに私の解答用紙を摘まんで、目を通し始めた。
返して、と心の中では必死に訴えていたのだが、身体が全く動かない。
多分、魔術とかじゃない。この人が持つ空気感が私を押さえ付けていた。
私はなすがまま、なされるがまま待っていると、10秒もしないうちにゼクレア師団長の表情が変わった。
それは怒りでも、まして悲しみでもない。
普段鋭く磨かれている三白眼の瞳が、みるみる開かれ、驚きに満ち満ちていく。
ハッと口元に当てた手は、確実に震えていた。
「な、なんだと……」
呟いたのを私は確かに聞いた。
ど、どういう意味だろうか。そんなに父親と一緒にブランコに乗るのは意外だったのだろうか。
それとも部下と夜明けの珈琲を飲むのが、間違った選択だったのだろうか。
「貴様、名前は?」
ゼクレア師団長の元の顔つきに戻ると、唐突に尋ねた。
「み、ミレニア・ル・アスカルド……です……」
「アスカルド子爵家? 聞いたことがないなあ」
一応、うちのお爺ちゃんがすっごい魔術師だったらしいんだけどなあ。
所詮は貧乏子爵家よね。
お爺ちゃんの話も私が見たわけじゃないから本当かどうかわからないし。
「この解答用紙は預かっておこう」
「え? どうしてですか?」
「お前、ここは魔術学校の試験会場だぞ。魔術を使えば、他人の解答など見放題だ。もちろん、不正だがな」
ゼクレア師団長はくるりと振り返った。
流れるような動きから手をかざす。その先にあったのは、試験会場の天井だ。
「岩陰に王国を作り精霊よ。我が手を宿り木とし、悪鬼を穿つ槍を鎚て!」
【鋭石槍戟】
ゼクレア師団長の先から石の槍が飛び出す。
ドスッと鈍い音が聞こえると、現れたのは巨大な目に触手が付いた化け物だった。
体長は私の手の平より一回り大きい。とにかく見た目がグロテスクだった。
天井から吊り下がっていた化け物は、石の槍の直撃を受けて消滅する。
次の瞬間、受験会場にいた受験生の1人が突然叫び、悶絶を始めた。
椅子から落ちて、バタバタと悶える。
「魔物を使役する魔術か。さらに迷彩の魔術もかけてあるな。なかなかだ。しかし、能力を使う場所を間違っていたな。……即刻、出ていけ! そして二度と魔術に関わるな!!」
ゼクレア師団長が一喝すると、受験生は悲鳴を上げながら出ていった。
ふん、と不正していた受験生を一瞥した後、ゼクレア師団長は私の解答用紙を軍服のポケットに入れる。
(か、か、かっこいい!)
さすが師団長。魔術で巧妙に書かれていた魔物を、あっさりと見つけるなんて。
でも、まさか魔術を使ってカンニングとはね。
これも魔術学校の試験らしいといえば、らしいけど。
「お前、もう教室を出てっていいぞ」
ゼクレア師団長は事も無げにこう言った。
「いいんですか?」
「お前の筆記試験は終わったろう。教室の外に出て、大人しくしてろ」
「いえ。で、で、ででも見直しとか」
「必要ないだろ。それよりも答案用紙と、お前をここに残しておく方が問題と考えた。思考を読む魔術を使われる恐れもあるからな。行っていいぞ。いや、むしろ――――」
出ていけ。
最後は脅しだった。
私はまだ誰もいない廊下に追い出される。
何が何だかわからない。
でも、おそらくそれだけ私の解答用紙は珍妙なものだったのだろう。
そうだ。私の解答用紙を覗き見ていたあの受験生も、きっと腹の底で笑っていたに違いない。
「下を向くな、私。まだまだ試験は始まったばかりよ」
能力試験も、実技試験もある。そこで満点を取れば、平均値になる。
あとは、自分の全力を尽くすだけだ!
私は知らなかった、この先に起こることを……。
提出した解答用紙が、この国の賢人と呼ばれる人たちに絶賛される未来のことを……。
5
あなたにおすすめの小説
十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。
あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。
宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。
対極のような二人は姉妹。母親の違う。
お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。
そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。
天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。
生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。
両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。
だが……。運命とは残酷である。
ルビアの元に死神から知らせが届く。
十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。
美しい愛しているルビア。
失いたくない。殺されてなるものか。
それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。
生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。
これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、すれ違いの末に離れ離れになった夫婦の物語。
再会したとき、二人が選ぶのは「離婚」か、それとも「再構築」か。
妻を一途に想い続ける夫と、
その想いを一ミリも知らない妻。
――攻防戦の幕が、いま上がる。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる