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第五章
第59話
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「確かにそうね。何がいいかしら」
胸の中の小竜を持ち上げ、私は首を捻る。
眠っていたのを起こしたらしく、小竜は瞼を開ける。
私の姿を見つけると、パタパタとまた短い手足を動かした。
「そうね。パスタとか! うーん、イマイチね。ビーツ、うーんらしくない……。ボンゴレ……。なんか違うわねぇ」
『あのさ。どうでもいいけど、なんで全部食べ物の名前なんだい?』
「えへへへ……。多分、お腹が空いてるからかな、私が?」
私はムルンに向かって照れ笑いを浮かべる。
起き立てだっていうのに、随分とお腹が活発らしい。
昨日、お酒も入ったのもあるかもだが、さっきからお腹が鳴りっぱなしだった。
『その小竜がメインディッシュになる前に決めてくれよ』
ムルンはジト目で睨む。
どうやら、全部ムルンには見透かされているらしい。
そうです。昨日、戦いの最中に厄災竜を食べようとしていたのは私です。
仕方ないじゃない。
1000年前はドラゴンを倒したら、だいたい祝いとしてドラゴンの料理が出ていたんだから。
「えっと……。ジャガーノートから文字って、ジャノってのはどうかしら?」
『安直だけど悪くない名前だね。いいと思うよ』
ムルン、「安直だけど」は一言余計なのよ。
そこは素直に褒めてほしかったわ。
「じゃあ、ジャノ。これから、あなたはジャノよ」
『ママ~! ママ~!』
言葉と、私に向かって手足を伸ばす動きは一致しなかったけど、喜んでいるように見える。
ぐぉおおぉぉおぉぉおぉお!!
次に豪快な腹音が聞こえた。
『ミレニア……』
「ち、違うわよ!! 私じゃない! 神に誓うわ。頼りないけど」
私は弁解する。
真実だ。誓って私じゃない。
今の腹音はムルンでなければ、間違いなくたった今ジャノと名付けられた小竜からだった。
小さい割りに豪快な音を立てるのね。
まさに厄災竜の吠え声もかくやって感じだったわ。
『わかってるよ。そんなことだろうと思って、作ってきた』
ムルンは首を動かす。
側には温められたミルクとおぼしき液体が入った皿が置かれていた。
銀のスプーンを横にちょんと置かれている。
『竜用に調整したミルクだ。多分、その子の口に合うはずだよ』
「さすが物知り博士の神鳥シームルグね」
私はムルンの功績を親指を立てて、労う。
早速、ミルクをスプーンで救うとジャノの大きな口に流し込んだ。
口の大きさとか牙を見ると、今でも猪肉でも食えそうな見た目をしているようだけど、ムルン曰くまだ消化器官が整ってないうちはやめた方がいいそうだ。
牙にしても、まだ柔らかく肉を裂くにはまだまだらしい。
ということは、やっぱりいつか肉が必要ってことね。
何の肉を食べるのかしら。
あんまり高い肉とか食わないでほしいんだけど。
ムルンのおかげで、ジャノはミルクを文句言わず飲んでいく。
温かさもちょうどいいみたいだ。
「このミルクって私も飲めるの?」
『やめておいた方が良いよ。竜と人間は味覚が違うからね』
なるほど。
ちょっと飲んでみたいというより、私もお腹が空いてるから、割と今なんでもいいからお腹に入れたいところなのよね。
まあ、ここは我慢ね。我慢。
結局ジャノはミルクを全部飲み干すと、また眠りについてしまった。
おそらくお腹が空いて、目が覚めたのだろう。
一先ずこれで体裁は取れたわね。
あとは、この子を飼う了解を取ることだけど。
はあ……。今から憂鬱ね。
コンコン。
突如、ノックして、項垂れていた私は顔を上げた。
反射的にジャノを後ろに隠す。
「どなた?」と聞くと、可愛らしいヴェルの声が聞こえた。
そっとドアを開けると、隙間から緑の瞳が中を覗き込む。
「ミレニア、起きたなら起きたっていいなさいよ」
今起きたばかりなんだからそれは無理だって、ヴェル。
でも、多分私のことを心配してくれたのね。
「ありがと、ヴェル」
「はああああ! な、何よ、いきなり気持ち悪い! そ、それよりもあなたにお客様よ」
「お客様?」
え? 誰だろう。
なんか嫌な予感しかしないんだけど。
すると、ドアの隙間にヴェルとは別の手がかかる。
半開きになったドアを全開にすると、その人は現れた。
「全く随分なお寝坊さんね、あなた」
ふわふわのピンク色の髪を靡かせ、その人は私の部屋に入ってくる。
「ラディーヌ副長!!」
私は慌てて、ベッドから出る。
だが、生憎と寝間着姿だ。しかも、後ろ手にジャノまでの載せている。
まずい。どこがまずいのか、説明は難しいのだけど、とにかくまずい。
「ね、寝間着姿で失礼します、ラディーヌ副長」
とにかく礼節を欠いたことを詫びる。
恰好という点を指摘すると、やたら制服を着崩して結果露出度の高い姿になっているラディーヌ副長も大概なのだけど……。
「別にそう畏まらなくてもいいわ。あんたの寝間着姿で欲情なんてしないから安心なさい」
「は、はあ……」
「それよりも早く支度なさい。今から行くわよ」
「行くってどこに?」
「決まってるでしょ?」
国王様の下よ。
胸の中の小竜を持ち上げ、私は首を捻る。
眠っていたのを起こしたらしく、小竜は瞼を開ける。
私の姿を見つけると、パタパタとまた短い手足を動かした。
「そうね。パスタとか! うーん、イマイチね。ビーツ、うーんらしくない……。ボンゴレ……。なんか違うわねぇ」
『あのさ。どうでもいいけど、なんで全部食べ物の名前なんだい?』
「えへへへ……。多分、お腹が空いてるからかな、私が?」
私はムルンに向かって照れ笑いを浮かべる。
起き立てだっていうのに、随分とお腹が活発らしい。
昨日、お酒も入ったのもあるかもだが、さっきからお腹が鳴りっぱなしだった。
『その小竜がメインディッシュになる前に決めてくれよ』
ムルンはジト目で睨む。
どうやら、全部ムルンには見透かされているらしい。
そうです。昨日、戦いの最中に厄災竜を食べようとしていたのは私です。
仕方ないじゃない。
1000年前はドラゴンを倒したら、だいたい祝いとしてドラゴンの料理が出ていたんだから。
「えっと……。ジャガーノートから文字って、ジャノってのはどうかしら?」
『安直だけど悪くない名前だね。いいと思うよ』
ムルン、「安直だけど」は一言余計なのよ。
そこは素直に褒めてほしかったわ。
「じゃあ、ジャノ。これから、あなたはジャノよ」
『ママ~! ママ~!』
言葉と、私に向かって手足を伸ばす動きは一致しなかったけど、喜んでいるように見える。
ぐぉおおぉぉおぉぉおぉお!!
次に豪快な腹音が聞こえた。
『ミレニア……』
「ち、違うわよ!! 私じゃない! 神に誓うわ。頼りないけど」
私は弁解する。
真実だ。誓って私じゃない。
今の腹音はムルンでなければ、間違いなくたった今ジャノと名付けられた小竜からだった。
小さい割りに豪快な音を立てるのね。
まさに厄災竜の吠え声もかくやって感じだったわ。
『わかってるよ。そんなことだろうと思って、作ってきた』
ムルンは首を動かす。
側には温められたミルクとおぼしき液体が入った皿が置かれていた。
銀のスプーンを横にちょんと置かれている。
『竜用に調整したミルクだ。多分、その子の口に合うはずだよ』
「さすが物知り博士の神鳥シームルグね」
私はムルンの功績を親指を立てて、労う。
早速、ミルクをスプーンで救うとジャノの大きな口に流し込んだ。
口の大きさとか牙を見ると、今でも猪肉でも食えそうな見た目をしているようだけど、ムルン曰くまだ消化器官が整ってないうちはやめた方がいいそうだ。
牙にしても、まだ柔らかく肉を裂くにはまだまだらしい。
ということは、やっぱりいつか肉が必要ってことね。
何の肉を食べるのかしら。
あんまり高い肉とか食わないでほしいんだけど。
ムルンのおかげで、ジャノはミルクを文句言わず飲んでいく。
温かさもちょうどいいみたいだ。
「このミルクって私も飲めるの?」
『やめておいた方が良いよ。竜と人間は味覚が違うからね』
なるほど。
ちょっと飲んでみたいというより、私もお腹が空いてるから、割と今なんでもいいからお腹に入れたいところなのよね。
まあ、ここは我慢ね。我慢。
結局ジャノはミルクを全部飲み干すと、また眠りについてしまった。
おそらくお腹が空いて、目が覚めたのだろう。
一先ずこれで体裁は取れたわね。
あとは、この子を飼う了解を取ることだけど。
はあ……。今から憂鬱ね。
コンコン。
突如、ノックして、項垂れていた私は顔を上げた。
反射的にジャノを後ろに隠す。
「どなた?」と聞くと、可愛らしいヴェルの声が聞こえた。
そっとドアを開けると、隙間から緑の瞳が中を覗き込む。
「ミレニア、起きたなら起きたっていいなさいよ」
今起きたばかりなんだからそれは無理だって、ヴェル。
でも、多分私のことを心配してくれたのね。
「ありがと、ヴェル」
「はああああ! な、何よ、いきなり気持ち悪い! そ、それよりもあなたにお客様よ」
「お客様?」
え? 誰だろう。
なんか嫌な予感しかしないんだけど。
すると、ドアの隙間にヴェルとは別の手がかかる。
半開きになったドアを全開にすると、その人は現れた。
「全く随分なお寝坊さんね、あなた」
ふわふわのピンク色の髪を靡かせ、その人は私の部屋に入ってくる。
「ラディーヌ副長!!」
私は慌てて、ベッドから出る。
だが、生憎と寝間着姿だ。しかも、後ろ手にジャノまでの載せている。
まずい。どこがまずいのか、説明は難しいのだけど、とにかくまずい。
「ね、寝間着姿で失礼します、ラディーヌ副長」
とにかく礼節を欠いたことを詫びる。
恰好という点を指摘すると、やたら制服を着崩して結果露出度の高い姿になっているラディーヌ副長も大概なのだけど……。
「別にそう畏まらなくてもいいわ。あんたの寝間着姿で欲情なんてしないから安心なさい」
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「決まってるでしょ?」
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