10 / 37
7限目 教え子の腕前
しおりを挟む
「「いただきます」」
そして今日も、俺は白宮と一緒に手を合わせた。
遅めの俺たちの夕食が始まる。
初めに箸を付けたのは、唐揚げ――ではなく、味噌汁だ。
実は、今日は少し暑いからか。
喉がカラカラだった。
ちょうど汁物がほしかったのだ。
角切りにされた豆腐と、青い細ネギが浮かんだお椀を見つめる。
ステンレスボトルに入れられ、保温されたお味噌汁は、まだ白い湯気を吐いていた。
まずは一口……。
「ずずっ……」
ああ、堪らん。
胃に……いや、五臓六腑に染み渡る。
疲れた身体が、幸せになっていくのを感じた。
出汁はしっかりと聞いていて、味噌汁の加減もちょうどいい。
俺はそのまま味噌汁に箸を付けて、具を掻き込む。
舌の上に、とろとろの白い絹豆腐が転がってくる。
味噌と絡んだ素朴な甘みが口の中に広がった。
青ネギもまだ新鮮だ。
ジャキジャキという威勢のよい音が、耳の穴から漏れてきそうだった。
気がつけば、半分減っていた。
喉が渇いていたというのもあるが、お腹が空いていて、自分でも止められなくなってしまった。
顔を上げると、白宮と目が合う。
猫のように微笑んでいた。
「部屋に帰れば、まだおかわりがありますから。心配はいりませんよ」
心が見透かされたようで、ドキリとした。
二色乃高校の才女は、どうやら人の心を読む力も持っているらしい。
いよいよ俺は唐揚げ――いやいや、待て待て。
俺よ、待て。
唐揚げはメインディッシュだ。
もう少し落ち着け。
1番食べたい物は、最後に食べるからおいしい。
生姜焼きの時は、不覚を取ったが、今日こそは我慢だ。
次に食べたのは、キャベツと厚揚げの和え物だ。
こちらはよく冷えていた。
味噌汁で熱くなった口内にはちょうどいい。
柔らかくなったキャベツに、麺汁とごま油の汁がよくしみ込んでいる。
加減は薄口だが、さっぱりしていて、自然と箸が進む。
そして雑穀米だ。
実は、俺は雑穀米が好物だ。
白米よりも好きだといっていい。
食感が苦手だという人はいるが、この色んな食感が混ざっているのが、俺は好きだ。
俺は和え物の厚揚げと一緒にして食べる。
噛むと、厚揚げから汁を溢れ出す。
汁が雑穀米と絡んで、得も言えぬ多幸感に襲われた。
「くぅぅうぅぅう!!」
思わず唸った。
前に座る白宮がまた微笑む。
「雑穀米、お好きなんですか?」
「ああ。学生旅行に行った時のホテルの朝食で初めて食べたんだけど、それからはまってな」
「じゃあ、これから雑穀米にしましょうか?」
「それは嬉しいが、雑穀米って結構金がかかるだろ? ――あ、そうだ。食費? 材料費を払うよ。いくらだ。えっと、3日分だから」
「結構ですよ。1人の食費も、2人の食費もあまり変わりませんから。むしろ、食品ロスが少なくなって、助かってるところです」
「そうはいっても、教え子にタダ飯を食わせてもらうのはちょっと――」
「それにお金ももらっても、もったいなくて使えそうにありませんから」
「は?」
「なんでもありません。それよりも、唐揚げが冷めちゃいますよ」
「あ、ああ……。そうだ」
「好きだから最後まで残していたんでしょ」
「な、何故、わかった?」
「ふふふ……」
いや、何故笑う。
「玄蕃先生って、子どもっぽいところがありますよね」
「わ、悪かったな」
「ふふ……。さ、どうぞ」
釈然としないが、唐揚げが冷めてしまうというのは事実だ。
俺はいよいよ唐揚げを目指した。
箸をそろそろと動いていく。
狐色に揚がった鶏の唐揚げを箸で摘まんだ。
こうやって持ち上げて、初めてわかる。
重たい……。
俺が疲れているからというわけではない。
とても鶏肉自体が、肉厚なのだ。
とにかく、俺は大きく口を開けて、唐揚げを迎え入れた。
さすがに一口とはいかないが、とにかく齧り付く。
ザクッ……。
脳髄まで響く衣の食感。
噛んだ瞬間、じゅわっと肉汁が飛び出してきた。
「うまっ!」
思わず俺は唸ってしまった。
目の前の白宮の整った顔がほころぶ。
サクサクした食感に、柔らかくジューシーな肉厚なモモ肉。
生姜醤油で味付けされていて、ピリッとした味に思わず箸が進んでしまう。
これだけ肉厚に切っていても、きちんと中まで火が通っている。
おそらく、二度揚げしているのだろう。
「油物って大変じゃないのか?」
「慣れてしまえば、特に……。油跳ねも、きちんと水分を取れば、問題ありませんから」
上級者みたいなことをいう。
いや、白宮は間違いなく料理上級者だろう。
料理の味もさることながら、作る手際から見ても間違いない。
さすがは著名な料理人を排出する白宮家の娘といったところだろうか。
そういえば、白宮から家の話を聞いたことがないな。
まあ、一人暮らしをしているのも、その当たりに理由がありそうだな。
家族と喧嘩しているから、とか。
教師として聞くべきか……。
いや、俺が担任というわけじゃないしな。
迂闊にプライベートなことを尋ねるわけにもいかないか。
逆に警戒される可能性もあるし。
折を見て、質問してみるか。
「「ごちそうさまでした」」
俺たちはまた手を合わす。
白宮の皿も空になっていた。
不思議なのだが、白宮はいつ食べてるんだろうか。
俺と目を合わせると、たいがい俺の方を見て微笑んでいるんだが。
ともかく、お腹がいっぱいだ。
帰ってくるまで、ぎぃぎぃと文句を垂れていたお腹も、寝静まった子どものように大人しくなっている。
この中に、教え子が作った料理が入っていると思うと、ちょっと複雑な気持ちだった。
「ふわっ……」
お腹いっぱいになったら、眠たくなってきたな。
ははっ……。白宮の言う通りだ。まるで子どもだな、俺は。
だが、それは白宮も一緒らしい。
口元を押さえて、欠伸をかみ殺していた。
時間はすでに0時を迎えようとしている。
仕方ないだろう。
「タッパーは明日洗って帰すよ。白宮も疲れただろう。早く帰って休め」
「あら……。玄蕃先生の部屋に泊めていただけないのでしょうか?」
白宮は目を細め、小悪魔のように微笑む。
悔しいことに、俺は思わず「ドキリ」としてしまった。
「ふふふ……。冗談ですよ」
「お前な。教師をからかうのもたいがいにしろよ」
「はーい。では、また明日……」
「白宮!」
「はい?」
「今日はすまなかった。遅れて帰ってきて」
「最初に言いましたよ。気にしてないって。それでは――」
ぎぃぃいぃいいいぃい……バタンッ!
扉が閉まる。
俺の部屋から白宮このりはいなくなった。
白宮と食べるのは、これで3回目だ。
なのに、いまだ慣れない。
というか、現実感がない。
何か夢でも見ていたのだろうか。
そんな気さえしていく。
「変な病気でもかかってないよな」
振り返ると、テーブルに白宮が置いて行ったタッパーが残っていた。
△ ▼ △ ▼ △ ▼
バタン……。
私の部屋の扉が、魔女の笑い声を上げて閉まる。
目の前には照明も何も付いていない部屋が広がっていた。
私は口も脱がず、扉にもたれかかりながらその場に座り込む。
「は~~~~~~~~~~~~ぁ……」
大きく息を吐き出した。
これはため息なんだろうか。
安堵の息なんだろうか。
いずれにしても、感情がごちゃごちゃになっていたことは確かだと思う。
「良かったですね、お嬢さま」
思わず悲鳴を上げそうになった。
玄関に何故か金髪の少女が立っていた。
宮古城ミネアだ。
「驚かせないでくれる。あなたの顔を見たら、夢から覚めた気分だわ」
ちょうどその時、部屋の壁掛け時計が「ボーン」と鳴り、0時を知らせた。
「0時ですからね。シンデレラの魔法も解ける時間です」
「そういう文学的修辞はいいわよ」
「本当は不安だったのでしょう。玄蕃先生が食べに来てくれるかどうか」
ミネアはストレートに私の心を抉る。
反射的に私の心は泡立った。
先生が帰ってくるまで浮かんでいた恐怖にも似た感情が、再び浮き上がってくる。
「そうよ。悪い?」
「別に……」
「でも、玄蕃先生はちゃんと私の料理を食べてくれた。それに――――」
お前の作るご飯がおいしくて、正直外で食べてくる気がしないんだ。
玄蕃先生の言葉を心の中で反芻する。
今、思い出しただけでも胸が熱くなる。
自分の顔が赤くなっているのがわかる。
「あ~~~~~も~~~~~~~! なんでああいうことを不意打ちでいうのかしら!」
思わず私は吠えてしまった。
心が暴れて、自然と駄々をこねた子どもみたいに手足が動く。
「玄蕃先生って、案外すけこましなんでしょうか?」
「ちょ、ミネア! そ、そんな言い方ないでしょ」
「本人に自覚はなくても……いや、むしろ天然の方が怖いですよ。そもそも、白宮このりのハートを掴んだのですから」
「黙りなさい。私、明日の予習やったら寝るから。自分の部屋に帰りなさいよ」
『お前の作るご飯がおいしくて、正直外で食べてくる気がしないんだ』
突然、あの玄蕃先生の名言が部屋に響く。
その声はミネアが手に持ったボイスレコーダーから聞こえた。
「あ、あなた……。いつ録音を……」
「1万円……」
「買った!!」
私は即決した。
ミネアからボイスレコーダーを奪い取る。
自分の手で、再生ボタンを押した。
『お前の作るご飯がおいしくて、正直外で食べてくる気がしないんだ』
その日、私は先生の声を聞きながら、夢の中に落ちていくのだった。
そして今日も、俺は白宮と一緒に手を合わせた。
遅めの俺たちの夕食が始まる。
初めに箸を付けたのは、唐揚げ――ではなく、味噌汁だ。
実は、今日は少し暑いからか。
喉がカラカラだった。
ちょうど汁物がほしかったのだ。
角切りにされた豆腐と、青い細ネギが浮かんだお椀を見つめる。
ステンレスボトルに入れられ、保温されたお味噌汁は、まだ白い湯気を吐いていた。
まずは一口……。
「ずずっ……」
ああ、堪らん。
胃に……いや、五臓六腑に染み渡る。
疲れた身体が、幸せになっていくのを感じた。
出汁はしっかりと聞いていて、味噌汁の加減もちょうどいい。
俺はそのまま味噌汁に箸を付けて、具を掻き込む。
舌の上に、とろとろの白い絹豆腐が転がってくる。
味噌と絡んだ素朴な甘みが口の中に広がった。
青ネギもまだ新鮮だ。
ジャキジャキという威勢のよい音が、耳の穴から漏れてきそうだった。
気がつけば、半分減っていた。
喉が渇いていたというのもあるが、お腹が空いていて、自分でも止められなくなってしまった。
顔を上げると、白宮と目が合う。
猫のように微笑んでいた。
「部屋に帰れば、まだおかわりがありますから。心配はいりませんよ」
心が見透かされたようで、ドキリとした。
二色乃高校の才女は、どうやら人の心を読む力も持っているらしい。
いよいよ俺は唐揚げ――いやいや、待て待て。
俺よ、待て。
唐揚げはメインディッシュだ。
もう少し落ち着け。
1番食べたい物は、最後に食べるからおいしい。
生姜焼きの時は、不覚を取ったが、今日こそは我慢だ。
次に食べたのは、キャベツと厚揚げの和え物だ。
こちらはよく冷えていた。
味噌汁で熱くなった口内にはちょうどいい。
柔らかくなったキャベツに、麺汁とごま油の汁がよくしみ込んでいる。
加減は薄口だが、さっぱりしていて、自然と箸が進む。
そして雑穀米だ。
実は、俺は雑穀米が好物だ。
白米よりも好きだといっていい。
食感が苦手だという人はいるが、この色んな食感が混ざっているのが、俺は好きだ。
俺は和え物の厚揚げと一緒にして食べる。
噛むと、厚揚げから汁を溢れ出す。
汁が雑穀米と絡んで、得も言えぬ多幸感に襲われた。
「くぅぅうぅぅう!!」
思わず唸った。
前に座る白宮がまた微笑む。
「雑穀米、お好きなんですか?」
「ああ。学生旅行に行った時のホテルの朝食で初めて食べたんだけど、それからはまってな」
「じゃあ、これから雑穀米にしましょうか?」
「それは嬉しいが、雑穀米って結構金がかかるだろ? ――あ、そうだ。食費? 材料費を払うよ。いくらだ。えっと、3日分だから」
「結構ですよ。1人の食費も、2人の食費もあまり変わりませんから。むしろ、食品ロスが少なくなって、助かってるところです」
「そうはいっても、教え子にタダ飯を食わせてもらうのはちょっと――」
「それにお金ももらっても、もったいなくて使えそうにありませんから」
「は?」
「なんでもありません。それよりも、唐揚げが冷めちゃいますよ」
「あ、ああ……。そうだ」
「好きだから最後まで残していたんでしょ」
「な、何故、わかった?」
「ふふふ……」
いや、何故笑う。
「玄蕃先生って、子どもっぽいところがありますよね」
「わ、悪かったな」
「ふふ……。さ、どうぞ」
釈然としないが、唐揚げが冷めてしまうというのは事実だ。
俺はいよいよ唐揚げを目指した。
箸をそろそろと動いていく。
狐色に揚がった鶏の唐揚げを箸で摘まんだ。
こうやって持ち上げて、初めてわかる。
重たい……。
俺が疲れているからというわけではない。
とても鶏肉自体が、肉厚なのだ。
とにかく、俺は大きく口を開けて、唐揚げを迎え入れた。
さすがに一口とはいかないが、とにかく齧り付く。
ザクッ……。
脳髄まで響く衣の食感。
噛んだ瞬間、じゅわっと肉汁が飛び出してきた。
「うまっ!」
思わず俺は唸ってしまった。
目の前の白宮の整った顔がほころぶ。
サクサクした食感に、柔らかくジューシーな肉厚なモモ肉。
生姜醤油で味付けされていて、ピリッとした味に思わず箸が進んでしまう。
これだけ肉厚に切っていても、きちんと中まで火が通っている。
おそらく、二度揚げしているのだろう。
「油物って大変じゃないのか?」
「慣れてしまえば、特に……。油跳ねも、きちんと水分を取れば、問題ありませんから」
上級者みたいなことをいう。
いや、白宮は間違いなく料理上級者だろう。
料理の味もさることながら、作る手際から見ても間違いない。
さすがは著名な料理人を排出する白宮家の娘といったところだろうか。
そういえば、白宮から家の話を聞いたことがないな。
まあ、一人暮らしをしているのも、その当たりに理由がありそうだな。
家族と喧嘩しているから、とか。
教師として聞くべきか……。
いや、俺が担任というわけじゃないしな。
迂闊にプライベートなことを尋ねるわけにもいかないか。
逆に警戒される可能性もあるし。
折を見て、質問してみるか。
「「ごちそうさまでした」」
俺たちはまた手を合わす。
白宮の皿も空になっていた。
不思議なのだが、白宮はいつ食べてるんだろうか。
俺と目を合わせると、たいがい俺の方を見て微笑んでいるんだが。
ともかく、お腹がいっぱいだ。
帰ってくるまで、ぎぃぎぃと文句を垂れていたお腹も、寝静まった子どものように大人しくなっている。
この中に、教え子が作った料理が入っていると思うと、ちょっと複雑な気持ちだった。
「ふわっ……」
お腹いっぱいになったら、眠たくなってきたな。
ははっ……。白宮の言う通りだ。まるで子どもだな、俺は。
だが、それは白宮も一緒らしい。
口元を押さえて、欠伸をかみ殺していた。
時間はすでに0時を迎えようとしている。
仕方ないだろう。
「タッパーは明日洗って帰すよ。白宮も疲れただろう。早く帰って休め」
「あら……。玄蕃先生の部屋に泊めていただけないのでしょうか?」
白宮は目を細め、小悪魔のように微笑む。
悔しいことに、俺は思わず「ドキリ」としてしまった。
「ふふふ……。冗談ですよ」
「お前な。教師をからかうのもたいがいにしろよ」
「はーい。では、また明日……」
「白宮!」
「はい?」
「今日はすまなかった。遅れて帰ってきて」
「最初に言いましたよ。気にしてないって。それでは――」
ぎぃぃいぃいいいぃい……バタンッ!
扉が閉まる。
俺の部屋から白宮このりはいなくなった。
白宮と食べるのは、これで3回目だ。
なのに、いまだ慣れない。
というか、現実感がない。
何か夢でも見ていたのだろうか。
そんな気さえしていく。
「変な病気でもかかってないよな」
振り返ると、テーブルに白宮が置いて行ったタッパーが残っていた。
△ ▼ △ ▼ △ ▼
バタン……。
私の部屋の扉が、魔女の笑い声を上げて閉まる。
目の前には照明も何も付いていない部屋が広がっていた。
私は口も脱がず、扉にもたれかかりながらその場に座り込む。
「は~~~~~~~~~~~~ぁ……」
大きく息を吐き出した。
これはため息なんだろうか。
安堵の息なんだろうか。
いずれにしても、感情がごちゃごちゃになっていたことは確かだと思う。
「良かったですね、お嬢さま」
思わず悲鳴を上げそうになった。
玄関に何故か金髪の少女が立っていた。
宮古城ミネアだ。
「驚かせないでくれる。あなたの顔を見たら、夢から覚めた気分だわ」
ちょうどその時、部屋の壁掛け時計が「ボーン」と鳴り、0時を知らせた。
「0時ですからね。シンデレラの魔法も解ける時間です」
「そういう文学的修辞はいいわよ」
「本当は不安だったのでしょう。玄蕃先生が食べに来てくれるかどうか」
ミネアはストレートに私の心を抉る。
反射的に私の心は泡立った。
先生が帰ってくるまで浮かんでいた恐怖にも似た感情が、再び浮き上がってくる。
「そうよ。悪い?」
「別に……」
「でも、玄蕃先生はちゃんと私の料理を食べてくれた。それに――――」
お前の作るご飯がおいしくて、正直外で食べてくる気がしないんだ。
玄蕃先生の言葉を心の中で反芻する。
今、思い出しただけでも胸が熱くなる。
自分の顔が赤くなっているのがわかる。
「あ~~~~~も~~~~~~~! なんでああいうことを不意打ちでいうのかしら!」
思わず私は吠えてしまった。
心が暴れて、自然と駄々をこねた子どもみたいに手足が動く。
「玄蕃先生って、案外すけこましなんでしょうか?」
「ちょ、ミネア! そ、そんな言い方ないでしょ」
「本人に自覚はなくても……いや、むしろ天然の方が怖いですよ。そもそも、白宮このりのハートを掴んだのですから」
「黙りなさい。私、明日の予習やったら寝るから。自分の部屋に帰りなさいよ」
『お前の作るご飯がおいしくて、正直外で食べてくる気がしないんだ』
突然、あの玄蕃先生の名言が部屋に響く。
その声はミネアが手に持ったボイスレコーダーから聞こえた。
「あ、あなた……。いつ録音を……」
「1万円……」
「買った!!」
私は即決した。
ミネアからボイスレコーダーを奪い取る。
自分の手で、再生ボタンを押した。
『お前の作るご飯がおいしくて、正直外で食べてくる気がしないんだ』
その日、私は先生の声を聞きながら、夢の中に落ちていくのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる
まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」
父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。
清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。
なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。
学校では誰もが憧れる高嶺の花。
家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。
しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。
「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」
秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。
彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。
「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」
これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。
完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。
『著者より』
もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる