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第5話
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「では、どんな取引をおのぞみでしょうか」
口先は丁寧につかっているが、目だけは負けないだけのものを蓄えた。
「金とかそういうものでしたら、チケット代の他にお出しいたします。今すぐには無理ですが、約束はいたします」
「なんで翔を行かせた?」
蒼真の話を逸らして、ハラダは薄ら笑いをしながらドアを見る。彼とはもちろん翔のことだ。
蒼真はここに来た時からハラダが翔を気に入っていたことはわかっていた。
今回のチケット代の取引材料に持ち出されそうな気がしたので先に戻らせたが案の定だ。
しかし、このハラダという人物はこの世界でやっていけるのかというほどストレートな性格だなと蒼真は感心する。翔を狙っていることを隠しもしない。
「どう言った意味でしょう?」
「どうって、そりゃ言葉通りだ。中々好みだ。側に置いときてえなあと思ってな」
ソファに寄りかかり、指で顎を撫でながら口元を歪めて笑う。
思っていた以上に素直なハラダの言葉に、相馬は好感を持ちながら同じくソファの背もたれに沈んだ。
「チケットをとっていただく代償が翔では、少し大きすぎる気がしますが…。それにまだチケットは…」
蒼真がそう言いかけた時にハラダの端末が鳴り、ハラダがニヤッと笑いながら通話を開く。
「そうか、わかった。ドイツ便だなありがとう。お前ももう休め」
端末を置いた手を見つめていた蒼真は、どうにか取れたことに安堵した。
「明日の8時半の便だそうだ。空港で俺の名前で押さえてあるから、後はお前たちの名前を言えば手続きしてくれるらしい」
「ありがとうございます。なんと言ったらいいか…」
蒼真は本当に感謝をしていた。なんとかまた逃げられる。
「おいおい、堅苦しいのは抜きだ。で、さっきの話だが、まさか俺だって今すぐ翔
くんだけをここへ残せとか言わんよ。ただ今夜だけ俺のそばにいさせてもらえないか」
蒼真はため息をつく。
確かにハラダには好感をもった。歳より若く見える容姿も、それが弱点どころか、ハラダの生きる世界では脅威にさえなる匂いを醸し出す。兵隊を使ってではなく自らが先頭に立って行動を起こすのだろうその体躯も酷く引き締まって、いざという時のけじめの付け方を本能で知っている男だとも思う。
しかし、それとは話が別だった。
翔は自分の手元から離すわけには行かないのだ。翔の一生は最後まで自分が見なければならない義務が蒼真にはある。なので言い方は悪いが、たかがヤクザの親分さんに渡すわけには行かない。
「ハラダさん、ご迷惑をおかけしておいて本当に申し訳ないのですが、翔はたとえ1分でもお預けするわけには行かないんです。それはあなたでなくても、どこの誰でも同じことです」
蒼真の強い意志が目から感じられる。原田も諦めざるを得ないと感じたのか
「そうか…残念だな」
と一見あっさりと諦めた風に言い放った。元より無理強いする気は毛頭なかったのだからそれは仕方のないことだ。
蒼真は蒼真で、随分あっさりと諦めてくれて肩透かしを食ったような気分だ。
「もっとごねるかと思ってました…」
つい口をついて出てしまった言葉に、ハラダはワハハと笑い
「俺は無理強いしない主義なんだ」
と、少し結露したグラスを一気に煽った。
やっぱこの人好きだな。ハラダへの好感が上がってしまい、蒼真はどうするか悩む。この場合の代替案は…あれしかないか、やっぱり… と内心で覚悟をし、ハラダへと再び目を向ける。
「じゃあこうしましょう」
蒼真は立ち上がってハラダの方へ向かい、ハラダの座る椅子の肘掛けに腰掛けた。
「俺たちがドイツへついたあと、今回と同じ量のピュアをお約束します。これは絶対に」
「本当か?」
全世界を飛び回っているバイオレットとコンタクトを取るのは至難の業だ。今回ハラダが蒼真たちと取引できたのも3年越しの結果だ。
各組織は世界中に情報網を張り巡らせ、それにぐうぜんバイオレットの情報が引っかかるのを待つのみだ。
しかし実際は、全部蒼真が情報を操作し次に取引するところは自分たちで選んでいた。
それほど害はないピュアだが、問題になっている2次被害を起こさないような組織を選んで取引をしている。
酒場でも圭吾にドヤっていたが、蒼真の頭脳は計り知れないほどで今現在全世界のネットワークを蒼真は把握していると言ってもいいほどだ。
大体のシステムが、蒼真が12.3歳の頃に構築したプログラムが元になっている。まあ、そのメンテナンスも毎日怠ってはいないから、日々進歩をしているネットワークを全て理解はしていた。
実際その気になればネットを通じて世界制覇もできそうな勢いだが、蒼真には全く興味のない話なので、その力は今はバイオレットの取引にのみ使われているのだが。
そんな訳で、ハラダにとってこの申し入れは非常にありがたい話であって、チケットの取引要素としてはあまりあるものだ。
「翔の代わりとしてはいかがでしょうか?」
肘掛けに座ったままハラダの顔を横から覗き込んでにっこりと笑う。
「願ってもないな。いや、翔くんと比べる訳ではないが、チケットの代替としてはあまりある」
「喜んでいただけて光栄です。それと」
微笑みを蓄えたままハラダへと顔を近づけ、ハラダの唇に軽く触れてすぐに離した。
「こういうのもお付けしますが、如何ですか?翔には劣るかもですが」
艶然と微笑んで、今度はハラダの座っている足をまたぎ向かい合って座る。
その腰にハラダは腕を回し、引き寄せてもう一度唇を重ねた。
他人の好みは様々ではあるが、蒼真はその個人の嗜好さえ凌駕してしまう不思議な雰囲気を持っている。
一目見ただけでは、童顔のただの小僧にしか見えないが、話をして1時間以内に蒼真を求めてこなかった人間に、蒼真自身まだ会ったことがなかった。その自信が蒼真にはある。ハラダとて例外ではないと。
「わかった、こちらもありがたくいただこうか」
蒼真の唇を舐めて抱き寄せ腰を撫でる。
数時間前に出会った圭吾との事は忘れるしかない。今までも、生き残るために良いことも悪いことも忘れてきたはずだ。
「よろしくお願いします」
蒼真はそう言ってハラダの手を取り立ち上がった。
3度目のエラーが出て、圭吾は吐き出されてくるカードを忌々しそうにひったくる。
蒼真が忘れて行ったカードを返してやろうと連絡を取っているのだが、その結果が3度のエラーなのだ。
「一体どういうことだ」
手元のカードを指先で弄びながら舌打ちをする。IDカードがそのまま直通のコールカードになるのだからエラーはあり得ない。
「圭吾」
今はとりあえず仕事中なので、また後にしようと場を離れた時後ろからジョイスに声をかけられた。
「おはよお」
圭吾の頭をコンコンと叩きながら横へ並ぶ。
「なんだ、やめろ」
ジョイスの手を払って朝っぱらから絡むなと嫌な顔をする圭吾に今度はジョイスが
「そおおおおんなこといっていいい~~わけえ??」
と非難の声。
「昨夜お楽しみだったってじゃないか?んー?俺に残務整理押し付けてさ?」
ジョイスの指が頬をつつきまくるのをそのままに、圭吾は目だけを天井に向けた。やはりあの店に行ったのはまずかった…といまさら後悔してもアフターなんとかだ。
「男解禁だって?女泣かせの圭吾に、もう一つ名前が増えたな。…男泣かせ」
「人聞きの悪いこと言うな…。泣かされてるのは俺の方だ」
確かに圭吾は、男にも女にもよくモテた。
純日本人だという割には見事な金髪をしているし、女性であれば『美人』と言われるような端正な顔立ちもしている。いや、超美人の方がいいかもしれない。
「何言ってんだよ、何人の女が俺のところに泣きついてきたと思ってんだ」
ジョイスの言葉に取り合わず、ーお前こそ何を言っているーと歩をすすめた。たった今でさえ、昨夜交わした相手の連絡先、しかもIDカードが偽物かもしれない憂き目に遭っているのだ。ジョイスがなんと言おうと、今の圭吾には効かないだろう。
カードを返すのが目的にしても、圭吾の心の片隅に『もう一度逢える』といった感情がなかった訳ではないのだ。圭吾自身不思議に思っていることだが、どうにも蒼真が気になっていた。
「あ、待てよ圭吾、いい情報だ」
後ろから圭吾に追いついて、ジョイスは一枚のメモを圭吾の目の前に提示する。
「どうやらバイオレットが高跳びするらしいぜ」
圭吾はメモを手に取って見る。
「なんだこれは、空港 明日10時~?空港で張るってことか」
「と思う。で、明日って書いてあるけど、それ今日みたいでさ。特捜部もぬけの空っぽだった」
「なんでこれでバイオレットだと?」
「特捜が動いてんだぞ?だから何か掴んだんじゃないかなと思ってそれ貰ってきた訳さ」
2人は軽口を叩いてはいるが、内心穏やかではない。
ー自分たちがいない間にーという感情が腹の中で渦巻いている。自分たちの未熟故ではあったが、今更ながら不甲斐なくて涙が出そうだ。
「と、いう訳で今日から1週間休暇とってきた。あ、お前のもね」
「なに?」
呆れてものが言えないとはこのことだ。こんな時に何を言い出すんだこいつは…と呆れた顔を隠そうともせずにその場に立ち止まる。
「春先(この時期)の少年課は暇なんだな~休みくれって言ったら二つ返事で1週間もくれた」
ゲラゲラと笑っているジョイスに
「おいおいジョイス。お前一体何を考えてるんだ。バイオレットが今逃げようとしているのを理解した上で休暇とるっていうのか?」
「やだな圭吾、解んないのか?お仕事してたら何もできないでしょう?」
「え?まさか…」
「うん、今から空港張り込もうと思ってさ。個人的に」
そう言ってウインクをするジョイスに圭吾は負けたと思った。しかしである
「お前、バイオレットの顔とか特徴知ってるのか?」
「へ?」
あ、これは何も考えていない顔だ…そしてお得意のファジーな笑みで誤魔化す。 圭吾は大きく息を吐いて
「やってみよう」
とジョイスの腕を取り歩き始めた。
取ってしまった休暇は仕方ない。2人は署の廊下を出口に向かって歩いて行った。
口先は丁寧につかっているが、目だけは負けないだけのものを蓄えた。
「金とかそういうものでしたら、チケット代の他にお出しいたします。今すぐには無理ですが、約束はいたします」
「なんで翔を行かせた?」
蒼真の話を逸らして、ハラダは薄ら笑いをしながらドアを見る。彼とはもちろん翔のことだ。
蒼真はここに来た時からハラダが翔を気に入っていたことはわかっていた。
今回のチケット代の取引材料に持ち出されそうな気がしたので先に戻らせたが案の定だ。
しかし、このハラダという人物はこの世界でやっていけるのかというほどストレートな性格だなと蒼真は感心する。翔を狙っていることを隠しもしない。
「どう言った意味でしょう?」
「どうって、そりゃ言葉通りだ。中々好みだ。側に置いときてえなあと思ってな」
ソファに寄りかかり、指で顎を撫でながら口元を歪めて笑う。
思っていた以上に素直なハラダの言葉に、相馬は好感を持ちながら同じくソファの背もたれに沈んだ。
「チケットをとっていただく代償が翔では、少し大きすぎる気がしますが…。それにまだチケットは…」
蒼真がそう言いかけた時にハラダの端末が鳴り、ハラダがニヤッと笑いながら通話を開く。
「そうか、わかった。ドイツ便だなありがとう。お前ももう休め」
端末を置いた手を見つめていた蒼真は、どうにか取れたことに安堵した。
「明日の8時半の便だそうだ。空港で俺の名前で押さえてあるから、後はお前たちの名前を言えば手続きしてくれるらしい」
「ありがとうございます。なんと言ったらいいか…」
蒼真は本当に感謝をしていた。なんとかまた逃げられる。
「おいおい、堅苦しいのは抜きだ。で、さっきの話だが、まさか俺だって今すぐ翔
くんだけをここへ残せとか言わんよ。ただ今夜だけ俺のそばにいさせてもらえないか」
蒼真はため息をつく。
確かにハラダには好感をもった。歳より若く見える容姿も、それが弱点どころか、ハラダの生きる世界では脅威にさえなる匂いを醸し出す。兵隊を使ってではなく自らが先頭に立って行動を起こすのだろうその体躯も酷く引き締まって、いざという時のけじめの付け方を本能で知っている男だとも思う。
しかし、それとは話が別だった。
翔は自分の手元から離すわけには行かないのだ。翔の一生は最後まで自分が見なければならない義務が蒼真にはある。なので言い方は悪いが、たかがヤクザの親分さんに渡すわけには行かない。
「ハラダさん、ご迷惑をおかけしておいて本当に申し訳ないのですが、翔はたとえ1分でもお預けするわけには行かないんです。それはあなたでなくても、どこの誰でも同じことです」
蒼真の強い意志が目から感じられる。原田も諦めざるを得ないと感じたのか
「そうか…残念だな」
と一見あっさりと諦めた風に言い放った。元より無理強いする気は毛頭なかったのだからそれは仕方のないことだ。
蒼真は蒼真で、随分あっさりと諦めてくれて肩透かしを食ったような気分だ。
「もっとごねるかと思ってました…」
つい口をついて出てしまった言葉に、ハラダはワハハと笑い
「俺は無理強いしない主義なんだ」
と、少し結露したグラスを一気に煽った。
やっぱこの人好きだな。ハラダへの好感が上がってしまい、蒼真はどうするか悩む。この場合の代替案は…あれしかないか、やっぱり… と内心で覚悟をし、ハラダへと再び目を向ける。
「じゃあこうしましょう」
蒼真は立ち上がってハラダの方へ向かい、ハラダの座る椅子の肘掛けに腰掛けた。
「俺たちがドイツへついたあと、今回と同じ量のピュアをお約束します。これは絶対に」
「本当か?」
全世界を飛び回っているバイオレットとコンタクトを取るのは至難の業だ。今回ハラダが蒼真たちと取引できたのも3年越しの結果だ。
各組織は世界中に情報網を張り巡らせ、それにぐうぜんバイオレットの情報が引っかかるのを待つのみだ。
しかし実際は、全部蒼真が情報を操作し次に取引するところは自分たちで選んでいた。
それほど害はないピュアだが、問題になっている2次被害を起こさないような組織を選んで取引をしている。
酒場でも圭吾にドヤっていたが、蒼真の頭脳は計り知れないほどで今現在全世界のネットワークを蒼真は把握していると言ってもいいほどだ。
大体のシステムが、蒼真が12.3歳の頃に構築したプログラムが元になっている。まあ、そのメンテナンスも毎日怠ってはいないから、日々進歩をしているネットワークを全て理解はしていた。
実際その気になればネットを通じて世界制覇もできそうな勢いだが、蒼真には全く興味のない話なので、その力は今はバイオレットの取引にのみ使われているのだが。
そんな訳で、ハラダにとってこの申し入れは非常にありがたい話であって、チケットの取引要素としてはあまりあるものだ。
「翔の代わりとしてはいかがでしょうか?」
肘掛けに座ったままハラダの顔を横から覗き込んでにっこりと笑う。
「願ってもないな。いや、翔くんと比べる訳ではないが、チケットの代替としてはあまりある」
「喜んでいただけて光栄です。それと」
微笑みを蓄えたままハラダへと顔を近づけ、ハラダの唇に軽く触れてすぐに離した。
「こういうのもお付けしますが、如何ですか?翔には劣るかもですが」
艶然と微笑んで、今度はハラダの座っている足をまたぎ向かい合って座る。
その腰にハラダは腕を回し、引き寄せてもう一度唇を重ねた。
他人の好みは様々ではあるが、蒼真はその個人の嗜好さえ凌駕してしまう不思議な雰囲気を持っている。
一目見ただけでは、童顔のただの小僧にしか見えないが、話をして1時間以内に蒼真を求めてこなかった人間に、蒼真自身まだ会ったことがなかった。その自信が蒼真にはある。ハラダとて例外ではないと。
「わかった、こちらもありがたくいただこうか」
蒼真の唇を舐めて抱き寄せ腰を撫でる。
数時間前に出会った圭吾との事は忘れるしかない。今までも、生き残るために良いことも悪いことも忘れてきたはずだ。
「よろしくお願いします」
蒼真はそう言ってハラダの手を取り立ち上がった。
3度目のエラーが出て、圭吾は吐き出されてくるカードを忌々しそうにひったくる。
蒼真が忘れて行ったカードを返してやろうと連絡を取っているのだが、その結果が3度のエラーなのだ。
「一体どういうことだ」
手元のカードを指先で弄びながら舌打ちをする。IDカードがそのまま直通のコールカードになるのだからエラーはあり得ない。
「圭吾」
今はとりあえず仕事中なので、また後にしようと場を離れた時後ろからジョイスに声をかけられた。
「おはよお」
圭吾の頭をコンコンと叩きながら横へ並ぶ。
「なんだ、やめろ」
ジョイスの手を払って朝っぱらから絡むなと嫌な顔をする圭吾に今度はジョイスが
「そおおおおんなこといっていいい~~わけえ??」
と非難の声。
「昨夜お楽しみだったってじゃないか?んー?俺に残務整理押し付けてさ?」
ジョイスの指が頬をつつきまくるのをそのままに、圭吾は目だけを天井に向けた。やはりあの店に行ったのはまずかった…といまさら後悔してもアフターなんとかだ。
「男解禁だって?女泣かせの圭吾に、もう一つ名前が増えたな。…男泣かせ」
「人聞きの悪いこと言うな…。泣かされてるのは俺の方だ」
確かに圭吾は、男にも女にもよくモテた。
純日本人だという割には見事な金髪をしているし、女性であれば『美人』と言われるような端正な顔立ちもしている。いや、超美人の方がいいかもしれない。
「何言ってんだよ、何人の女が俺のところに泣きついてきたと思ってんだ」
ジョイスの言葉に取り合わず、ーお前こそ何を言っているーと歩をすすめた。たった今でさえ、昨夜交わした相手の連絡先、しかもIDカードが偽物かもしれない憂き目に遭っているのだ。ジョイスがなんと言おうと、今の圭吾には効かないだろう。
カードを返すのが目的にしても、圭吾の心の片隅に『もう一度逢える』といった感情がなかった訳ではないのだ。圭吾自身不思議に思っていることだが、どうにも蒼真が気になっていた。
「あ、待てよ圭吾、いい情報だ」
後ろから圭吾に追いついて、ジョイスは一枚のメモを圭吾の目の前に提示する。
「どうやらバイオレットが高跳びするらしいぜ」
圭吾はメモを手に取って見る。
「なんだこれは、空港 明日10時~?空港で張るってことか」
「と思う。で、明日って書いてあるけど、それ今日みたいでさ。特捜部もぬけの空っぽだった」
「なんでこれでバイオレットだと?」
「特捜が動いてんだぞ?だから何か掴んだんじゃないかなと思ってそれ貰ってきた訳さ」
2人は軽口を叩いてはいるが、内心穏やかではない。
ー自分たちがいない間にーという感情が腹の中で渦巻いている。自分たちの未熟故ではあったが、今更ながら不甲斐なくて涙が出そうだ。
「と、いう訳で今日から1週間休暇とってきた。あ、お前のもね」
「なに?」
呆れてものが言えないとはこのことだ。こんな時に何を言い出すんだこいつは…と呆れた顔を隠そうともせずにその場に立ち止まる。
「春先(この時期)の少年課は暇なんだな~休みくれって言ったら二つ返事で1週間もくれた」
ゲラゲラと笑っているジョイスに
「おいおいジョイス。お前一体何を考えてるんだ。バイオレットが今逃げようとしているのを理解した上で休暇とるっていうのか?」
「やだな圭吾、解んないのか?お仕事してたら何もできないでしょう?」
「え?まさか…」
「うん、今から空港張り込もうと思ってさ。個人的に」
そう言ってウインクをするジョイスに圭吾は負けたと思った。しかしである
「お前、バイオレットの顔とか特徴知ってるのか?」
「へ?」
あ、これは何も考えていない顔だ…そしてお得意のファジーな笑みで誤魔化す。 圭吾は大きく息を吐いて
「やってみよう」
とジョイスの腕を取り歩き始めた。
取ってしまった休暇は仕方ない。2人は署の廊下を出口に向かって歩いて行った。
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