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後輩と

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コンコン・・



「ほーい、入れーー。」


例の件の子が来たかな・・。読んでいた資料を元に戻し、受け入れの準備をする。
あっと、俺は永郷 耀(ながさと よう) 3年。生徒会副会長をやっている。ちなみに部活は野球部だ。


『失礼します。あの、野球部への転部届を出しに来ました。』


「おー。聞いてるよー。全く、生徒会は市役所じゃねえって顧問に言ってくれよー。」


本来は先生がやるべきであろう、生徒の活動の管理を今は生徒会が任されていた。



『す、すみません。お手数かけてしまって・・』


冗談のつもりが明らかに萎縮させてしまった。
こいつはどういう話だったかな。


「べっつにー。じゃーソファー座っていいよー。えっと、剣道部からー。野球部に転部、と。・・・って何でオレの横に座ってんだよ。」


対面式の応接セットなのに、
なぜか空いている向かいのソファーでなく、オレの隣に座ってきたコイツ。新庄隼人。




『・・・・・』


「だぁーかぁーらぁー」


『いひゃい!いひゃいれす・・!』


頬をつねってみてもシュンとした態度で退かないコイツ。
ちなみに初対面でもゼロ距離で攻める。それがオレのモットー。


『・・・剣道部に入ったのは、親が警察を目指せって・・』


「あぁー、なる。よくいるよなそーゆー奴。」


『けど・・・野球部に好きな人が出来て・・』


「・・・・・・」


なんだこのピュアの固まり。
昔はあんなだったなぁ。って2年前だけど。
まぁオレも生徒会兼野球部だから他人事じゃないんだよな。
気をとり直して。
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