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第1章
第9話 ずっとそばに… (前編)
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ある会場のステージにて。
暗闇の中、その女が立つところだけが、ひかりに照らされている。
長い黄金の髪を翻し、輝かせながら
その女。
金城まおは、1本の剣を手に持ちながら言う。
「あなたたちに。問うわ。…この世でもっとも、高貴なる存在は。果たして誰なのかしら……」
金城まおのその言葉に、観客たちは叫んだ。
まおーーーさまあああああああああああああああああああぁぁぁああああああぁぁぁーーーー!!!!!!!
そして、それを聞いた金城まおは、その手に持つ剣をザンっと地面に突き刺す。
そして言った。
「「魔王」じゃないわ。「女王(クイーン)」よっ!!!!」
ぎゃああああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁ
抱いてえええー!! かっこいいーー!!私の顔踏んでええええー!!
金城まおの言葉に観客は沸き立つ。
そんな中
金城まおは言葉を紡ぐ
「いい、下僕なるあなたたち。よく聞きなさい。この世界で生きる時に大切なものはなにか。わかる?……、そう。それは「気高さ」よ。
「気高さ」こそ、正義よ。
いついかなる時も、「気高さ」だけは忘れるな!
その崇高なる精神こそが未来を切り開き、世界を輝きに覆う。
それを忘れないように…。」
観客たちは金城まおの言葉を息もせず聞き入っていた。
そして、この言葉を皮切りに金城まおのステージが始まる
「さぁ、いくわよ。下僕ども!!」
と、金城まおは、勢いよく右腕をまっすぐに前に突き出し、言った。
わああああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁ!!
……
オレは、眠音ねむと、金城まおのステージを見ていた。
「なんか……相変わらず、金城まおのステージは。ゆきのソレとは違って、世界観?っつーのが独特だよなだな」
「そこがいいんじゃない。みんな同じよーなのだったらきっとつまらないよ」
「ふーん、確かにそれもそうかもな…」
実はオレも。ゆきと金城まお以外にも、色々なアイドルを見ては見たけど。悪く言えば、ゆきの真似のような、二番煎じのように感じる子が多かった。
金城まおが、ゆきとアイドル界の双璧をなせているのは。
ゆきともまるで被らない、唯一無二の個性を持っているからなのだろうか。
まぁ、金城まお自身は、ソレを無意識にやってそうなのが恐ろしいんだがな…
…………
暗闇の中、金城まおのいる場所だけが、光を放つ。
しかし、それは会場内のライトが彼女を照らしているからではない。
金城まお自身が、光輝いているからなのだ。
自身の身体から金色の光を放ち発光している。その輝きは、自身を中心に会場内を照らしだしているのだ。
高貴なる存在は、輝きすら自身で作り出す。
……
立ち上がれ 高貴なる者よ
闇に立ち向かい 光を導け ~
…金城まおが歌っている。
「はぁ……うっとりしちゃう。まおちゃんの歌声…」
「あぁ…やっぱり。上手いな…」
金城まおの強さは、その個性だけではない。
金城まおの歌声。それは、歌唱力も確かなものでありながら、その中に高貴な雰囲気や、育ちの良ささえ感じられる上品な美しさ。
そういった歌声も、彼女の武器なのだろう。
それもまた、人々を魅力するんだ。
高圧なる態度に対して、有無を言わさせない、圧倒的な力と存在感。そしてそれらが生み出す、高貴なる空間。
それが、「女王」のステージなんだ。
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