昭和アウトローガールズ☆

くとぉ

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8章 夏休みと花火大会 

⑤アタックNo.1!

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その場にいた者は、礼子以外の全員が凍りついた。

大きな炸裂音が響いた瞬間、そこそこ長身の副総長が、その場から消えてしまったが如く見えたのだ。

何人かの時が動き出し、元いた場所から1メートル程先のタイヤを積み上げ作った遊具の前で、副総長は白目を剥いて倒れていた。

しかし…礼子が吉野から聞いた喧嘩の心得、多対一の場合は頭を潰せ…

そんな喧嘩の心得は武闘派ぶとうはチームでは無い、裸撫汁巣には通用しなかった。

驚きはしたが、チームの実質的なリーダーとは言え副総長は素手の喧嘩は、その華奢きゃしゃな身体付きでも有り、大した実力では無いのはメンバーも良く知っている。

彼女はその狂人ぶりで恐れられてはいたが、今は素手の相手にも容赦なく振るう鉄パイプも持たず…

頭がイカれていると有名な残虐性や、喧嘩で負けた相手への屈辱的で残忍な仕打ちを発揮する間も無く…

背中か頭でも打ち付けたのか?白目を剥いて気絶していた。

過去のシンナー遊びのせいで身体がもろい副総長である。

不意打ちを喰らえばそんな事も有るかも知れない。

礼子のうわさを知らないメンバーはそう思った。

そうでは無い事を理解してるのは加代子と詩織、恵。

そしてレディース達の中で地元の山間出身で噂を聞いた事が有る里美のみである。

とは言え彼女も未だに半信半疑で、噂は本当だったのかと驚きの方が大きいかも知れない。

「こらぁ!クソ女!いきなり何してくれてんだぁ!!…」

「イキナリ瑠衣先輩を狙うとか、クソっ!油断してたわ…もうしてネェけど♫」

「…あ~あアンタ達のリーダー?その黒髪…バカだねぇ…アンタ達全殺し確定♪」

「ここ来る前に言ったかもだけどさぁ、ウチら裸撫汁巣は喧嘩チームじゃないけどぉ~ウチらの遊び邪魔した喧嘩チーム1個…潰してんだよねぇ…」

「ボコッてから全員裸に剥いて、縛ったまま飲み屋街にでも放置してやるよ!…酔っ払いのおっさんの腹の下で悶えてろ…」

里美は警戒しながら何も言わなかったが、他の七人はそれぞれに嘲笑ちょうしょう恫喝どうかつ、戦闘開始の啖呵たんかを切る。

一番いきり立っていた娘がツカツカと歩み寄り、礼子の襟首を掴んだ。

「オルァ!ケジメだ!瑠依ネェのカタキ取らせて…うっ!くぅぅ!」

予想もしていなかった力。

襟首を掴んだ腕を逆に礼子に掴まれ、無理やり引き剥がされ、思わず苦痛の呻きを漏らす。

無理やり引き剥がされ、襟にでも引っ掛かったのか、付け爪がポロリと落ち、娘の爪の付け根が少し裂け、指先から血が滲む。

喧嘩のセオリーが不発に終わり、恐れの感情が湧き、礼子にも若干の焦りが見える。

だが…

引くつもりは毛頭無い、そんな自分とは一年前に決別している。

数が多かろうが力の限り抵抗し、暴れるのみ。

「……少し…数が多いわね、恵!詩織を連れて下ってなさい!」

「はい!」

恵は詩織を囲むレディースのメンバーの一人を思い切り後ろから突き飛ばす。

涙で顔がぐしゃぐしゃになってる詩織を抱き起こし、公園の入口まで下がる。

突き飛ばされた娘は肘でも打ったのか、倒れながら苦痛の呻きを上げ悪態を付く。

「…ってぇぇぇ…クソ…あのガキ後ろからいきなり…殺すぅ…」

そして礼子は加代子に視線を移し、命令する。

「加代子!アンタの担当は三人ね!街育ちの娘なんて大した事ないんだから!アンタも手伝いなさい!」

礼子はそう信じて疑わない。

路地裏での唯や、家にアルバイトに来た瑞稀、誰でも運べる様な味噌が入っただけのタッパーを抱えて、フラフラしていた都会育ちの娘。

そして学校の屋上での…清美とのタイマンで確信した。

街の娘、都市部の人間は大した事が無いと…

実の所は決してそんな事は無く、同年代の男女に比べ、礼子の腕力が規格外過ぎるのだ。

礼子の親も息子達にはそう言った遺伝的な力の事も教えては居たのだろうが…

女の子がそうそう荒事などしないであろうと決めつけ、礼子には何の説明もしていなかった。

それに、頭の良く無い礼子はその自身の考え、認知に確信を持っている。

或いは、その認知…信じ込む事が強さの源なのかも知れない。

だから同じ農村部出身の加代子も、体格差も身長差も違うので同じとは言わないが、近い事なら出来る筈…そう思っている。

「はぃぃぃぃ?!無理無理無理無理!アタシ喧嘩なんてした事無いもん!無理だょぉぉ……」

礼子に掴まれた仲間が何故…うつむいたまま腕を釣られて動かないのか警戒しつつも、今の会話を聞いたレディースのメンバーが嘲笑う。

「はぁ?!今の聞いたぁ?!ビビってさっき土下座してたコイツがぁ?!おい金髪ぅ♪アンタのボス…頭が暖ったかいねぇ?!アハハハ♪」

今の話を聞いた礼子の冷たい視線が加代子に突き刺さる。

「土下座?したの?私の取り巻きが?余所者に?……」

「だ、だって詩織が連れて行かれそうに、それにこんな人数…私には…うぅ…」

礼子は溜息を着き、頭を切り替える。

危機に陥いりつつ有る状況で礼子の足りない脳味噌はフル回転仕始めた。

この圧倒的に戦力が足りない状況で加代子にやる気を出させるにはどうするべきなのか?

そう…数ヶ月の付き合いで加代子が何に怯えるか知っている。

煽り方を知っている。

礼子のオツムは大した事は無いが、それでも今現在瑞稀以外のメンバーの事は大体理解しているのだ。

「痛いのなんて、一瞬なのに、がっかりね、じゃあ…やんないなら…アンタが今度からハムちゃんの…いえ、清美の代わりね。私の取り巻きでいる価値無いもの、ペットがお似合いよね?そうじゃ無い?」

加代子の顔が一気に青褪め、小さな悲鳴が漏れる。

「ひぃぃっ!」

ここで殴られるのは一瞬。

もしペットになればその羞恥と屈辱は卒業迄、残り一年半は続く。

唯が恍惚こうこつとした表情で潮を吹いて気絶し、恥部からチョロチョロと小便を漏らす情けない姿を思い浮かべる。

あの二年のトップだった清美が、卑屈な笑いを浮かべながら全裸のままで首輪とリードに繋がれ、四つん這いで犬の様に片足を上げ放尿する悲痛な光景。

それを自分が後輩達の前で、みっともなく泣きながら同じ事をさせられている姿。

その光景が脳裏に浮かぶ…想像してしまった。

レディースの一人が、ワケのわからない話に水を差す。

「はぁ!?ペット?意味解んねぇ事を言ってないで仲間の手を離しな!」

公園に加代子の悲痛な叫びが響く。

「いっ!いゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「な、何?!突然何なの?!」

加代子がガバッと立ち上がり、蒼醒めた顔で、右手を振り上げながら雪駄を脱ぎちらし、レディースの一人に走りより…跳んだ。

バレーボール部のキャプテンではあったが、エースにはなれなかった。

それでも花形のエースアタッカーを目指し、少なくとも中学二年生の一年間は練習に明け暮れていた。

努力は実らなかったが積み上げた技術は裏切らない…のか?

それとも身体に染み付いた動きが自然に出てしまったのか?

窮地に陥って、自然と自身が最も信を置いている技能を使ったと言う事なのだろう。

跳躍からの高所からの体重を乗せた一撃。

レディースメンバーの首の後ろから耳の辺りに強烈なチョップの一撃を受け、バキッと鈍い音が鳴る。

先程加代子を笑った娘が倒れ、首の筋でも違えたのか、けたたましい叫びを上げながら地面をのたうち回る。

「首がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

礼子は大声でその叫びをかき消すが如く、更に加代子を追い詰める。

(やった♪これで勝ち目が増えた♪)

「加代子!やるじゃない~!!あと二人!!ノルマね~!!じゃーなーいーとーペット♪」

「ヒィ!!!」

森加代子は恐怖に顔を歪ませ…

次の標的に走り、跳躍する、

だが相手は歴戦のレディース、早々不意打ちも通じない、サッと身を躱す。

「そんな不意打ちが何度も通じるかよっ!」

加代子が体勢を崩しながら着地した所で、レディースの渾身のストレートパンチ。

加代子の右目に命中し、よろけて倒れる。

だが…

「ペットは嫌ぁ!!!!!」

今の加代子は引かない…バッ!と立ち上がり、殴って来た娘に掴み掛かる。

「んだっ!コイツ!意味不明なんだっ……このっ!」

レディースの娘は逆に掴み返し加代子の浴衣が少し脱げ掛け、ブラジャーの肩紐が見える。

細いが少し盛り上がった肩の筋肉が露出する。

学校に通うのに毎日山を登り降りし、足腰は自然と鍛え上げられ、中学時代はアニメのエースアタッカーに憧れ毎日練習を続け鍛えていた。

(うっ!何よコイツの肩、やけに厳つい…割と力もあっ…ヤバい!押し負け…)

取っ組み合いで膠着(こうちゃく)したのも束の間、押し負けて加代子に投げ飛ばされる。

「ペットは!いやぁ!!!」

「ぐぇっ!!!背中がっ!…」

そこに加代子が馬乗りになり、マウントポジション。

「お願いだからぁ!このまま私にやられてよぉ!お願い!お願い!お願い!お願い!………」

馬乗りの状態からパンチの乱打。

だが、他のメンバーも黙って見ていない、礼子を包囲していた一人が駆け付け、加代子の首に背後から回し蹴りを叩き込む。

加代子がもんどり打って倒れ、顔面から地面を舐めるが、今の加代子は止まらない。

標的が蹴りを放った娘に変わる、

「いっ!……痛いのは!一瞬っ!!!」

だ最初に首をやられ、マウントを決められた娘も少し腫れた顔面でヨロヨロと起き上がる、

「あがが…首がぁ…顔がぁ…金髪ぅ……!よくも…」

混戦が始まる。

(加代子…思ってた程じゃ無いけどやるじゃ無い、これなら…)

礼子が掴んでいた娘の腕を離し、続けて空を裂く炸裂音、つけ爪が取れかけていた女が数メートル吹っ飛ぶ。

「ぎぃっ!!!」

暫くは動けないだろう。

地元出身の里美が叫ぶ。

「コイツは今売り出し中の【お嬢】って女だよ!みんな近付かないで囲むんだ!遠くから蹴りでっ!」

礼子の太腿に、後ろから里美のローキック。

「痛っ!」

「オッケー里美ぃ…コイツ地元の有名人ってわけね…」

「もう舐めないよ、数はこっちの方が多いんだ…パワーだけでどうにかなると思うんじゃ無いよ!」

「総長が、栄子がいればこんなの屁でも無いんだけどぉ、でも…アタシらも修羅場それなりにくぐっててさぁ…」

彼女達に、もう舐めた雰囲気は無い。

「今蹴ったのは誰?!」

礼子が里美を睨みつける。

「ヒィっ!あんたらぁ!は、早く!コイツを後ろからっぁ!」

後ろから再び別の娘に蹴りを食らい、礼子の脇腹に痛みが走る…。

「OK分かったわ…」

浴衣を捲り上げ、腰で縛る。

雪駄を脱ぎ散らし、下着が丸見えになり、長く美しい足があらわになるが気にしない。

狙うのは今後ろから脇腹を狙った娘、地面の上を裸足のままダッシュで掴み掛かり、再び炸裂音が夜の公園に響く。



 ◆ ◆ ◆



「ちょ、ま、わたし、もう…っ!!」

最後に残った里美の頬を平手で打ち吹っ飛ばすと、駄目押しとばかりに呻いて立ち上がろうとする女達に、一回づつビンタを食らわせて行く。

流石にこの人数では礼子も苦戦した様で、口の端には青痣が出来、鼻に一撃を受けたのだろう。

既に血も止まり拭き取ってはいたが、鼻血の跡が薄っすらと残り、鼻はやや赤く、浴衣もアチコチ裂け…血の垂れた跡もある。

加代子も似たようなモノでボロボロである。

次の相手は最初ほど上手く行かず、ジャンプ攻撃は警戒され空振りに終わった。

そこからは取っ組み合いの喧嘩になったが、加代子も必死であった。

中学高校と遊んでいた娘たちと、少なくとも中学時代は真面目に部活動に励んでいた娘の違いなのか?

吹っ切れて半狂乱になれば地力が違う、徐々に加代子が圧倒し何とかノルマをクリアし、力尽きた。

今は肩で息をして地面の上に座り込んでいる。

「あんた達!仕事よ!この娘達裸に剥いちゃって!」

詩織と恵に命令する。

そして加代子に近づき労いの言葉と次の命令をする。

「ノルマクリアおめでとう、ペットは…保留にしといてあげる…でも、早くあの娘達を手伝って裸に剥いちゃいなさい!」

「ヒィ!りょ、りょうかぃ…」

加代子はヨロヨロと倒れている娘に近付き作業を開始する。

今の喧嘩で流石に慣れたのか、弱々しくも抵抗する娘には、容赦なく蹴りや拳を叩き込み黙らせる、

「オラッ!もう動かないでっ!!!」

そして、全裸に剥かれたまま地面に転がり苦痛に呻く娘が九人。

正確には八人、副総長は全裸にされた後も白目を剥いて気絶したままで有る。

恵が副総長を剥いていた時に思わず零す。

「うわ~何…この人…身体じゅう入れ墨だらけ…あっ…あそこの毛が無い…」

しかし無軌道で鳴らした最悪のレディース、援助交際や男遊びを常習的に繰り返すだけあって、裸に剥かれてなお抵抗しようとする者がいるのは流石といった所か、或いは、そのゾンビの様な活力は例の…不在の総長故なのか?

恵は服と下着を選別して分けている、持ち物の中にライターを見つけ、礼子の下に駆け寄り耳打ちする。

「先輩…ライターで……」

「ふーん、そう…じゃあ…恵!アンタはバイクから全部剥がして持って来なさい!…服は…戦利品よ!」

自分や加代子のボロボロの浴衣と、詩織の尿と土と泥にまみれた浴衣を見てそう言った。

連中の服も大概だが、浴衣よりは丈夫だ、ホコリを落とせば使える物もあるだろう。



 ◆ ◆ ◆




副総長、霧島瑠衣が意識を取り戻した時に見た光景は…

(痛っ!何…これ…え?裸?!一体何が…それにあの女…私のオイルライター?!)

彼女は全裸に剥かれたまま遊具の隅に転がされ、放置されていたらしい。

メンバーも酷い有り様で、顔を腫らしている者や擦り傷だらけの者…

全員裸に剥かれて一箇所に集められ、黒髪の…ボロボロではあるが、美少女を憎々しげに睨みつけ見上げていた。

(!!!まさか…たった一人にやられたって言うの?!痛っ…肋…ヒビが入ったみたいね…)

あの黒髪の美少女の手にはライターと…

(ウチのステッカー…そう言う事!?…許せない!…殺す……)

すぐ近くのブランコには、瑠衣のブランド物のバッグが掛かっている。

痛む身体をそっと起こし。

全裸のまま静かにブランコに近づきバッグの中身を探る。

目的のモノが見つかり思わずニヤけ、溶けた歯が剥き出しになる。













    
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