昭和アウトローガールズ☆

くとぉ

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1章 受難と覚醒 

④逆鱗に触れる

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絵美の周囲には一年生~三年生までの主だった不良少女が集まり、半円状に千里達三人を取り囲んでいる。

三人とも既に、全裸に剥かれ絵美の前で正座していた。

服や下着はポリ袋では無く三人の後ろにキッチリと折り畳まれている、絵美がそうさせたのだろう。

千里と澄子は恐怖と羞恥で乳房を両手で抱きしめながら、すっかり怯え、泣きはらし…小さな嗚咽を漏らしている。

涙と鼻血で派手なメイクもドロドロに落ち、千里の体の割にやや幼ない顔と、澄子の印象の薄い地味な顔が露わになってしまった。

茶髪の娘、栗原唯だけは怯えてはいたが泣いてはいなかった。

羞恥心が薄いのかも知れない。

ヤンキーメイクが取れて…小動物めいた、それなりに可愛らしい顔立ちではあるが、その表情は何処か緊張感に欠ける。

正座しながらも両手を膝の上でモゾモゾとさせたり、体を時折揺らせていて落ち着きが無い。

礼子の時とは違い、身体に痣は無いが、三人共に鼻血が垂れた跡もあり、それなりに痛々しい雰囲気ではある。

そして絵美の動員で集まった。三年の不良娘達は彼女達三人を無表情で見下ろす。

二年と一年の不良娘達は恐怖と緊張で夏にもかかわらず、冷や汗を流している。

千里達三人はその横暴さ素行の悪さ、悪辣さで中学時代から山間第一中学の三悪女などと呼ばれ、それなりに名が知られてもいた。

イジメや万引き、一中だけで無く、他校の生徒とのトラブルさえあり、尾形市西中学の不良娘のグループとデパート裏で喧嘩して補導された事も有る。

直ぐに手が出る乱暴な千里。

意地悪で執念深い澄子。

悪戯好きで狡猾な快楽主義者の唯。

その悪名は中学時代から地元のみならず、他の地域にまで知られており、勿論、同学年の他の不良娘にさえ毛嫌いされていた。

この三人一組で現在の第一高校では二年生のカースド上位に位置してはいたのだが…

人を纏めて仕切る様なタチの娘達では無く、やりたい放題に悪行を重ねるだけの存在であった。

絵美と同じ第一中学出身で有るのに絵美から、二年の女子の仕切りを任されてる娘は二中の出身。

この三人の鼻摘み者ぶりが、その点からも良く分かる。

無軌道にやりたい放題生きている人間が、不良のトップになるわけでは無い。

スジを通して世間に突っ張る、だからこそのツッパリと言うモノだろう。

そんな傍若無人、無軌道を絵に書いた娘達が絵美の前ではなす術無く、あられも無い姿に…全裸に剥かれて、怯え、涙を零している。

それが噂を知る、または実際に三人と揉めた事のある者達ですら、良い気味だと嘲(あざけ)る者さえも居ない。

それは、絵美が招集する時に間違った噂を正すと告知した為でもある。

実際その噂の拡散に一役買っていた娘達も多いのだろう、特に二年生や一年の娘武闘派を気取る娘達は絵美の苛烈な制裁の伝説に憧れさえ持っていたのだ。

絵美のこの三人に対する仕打ちは、一つ間違えば自分達にも波及する可能性すらある、心当りの有る娘も居るのだろう。

だから冷たい汗を流すのだ。

 

 ◆ ◆ ◆ 




…………………にゃいかねぇからよぉ!」

吉野が大きな声で絵美に労(ねぎら)いの言葉を述べる。

「あー!別に良いよ!私もこの子らに言いたい事あったしぃ!」

吉野に応答した絵美は眠たそうにも機嫌が悪そうにも見える、一重瞼の目元を三人に向け、重たげに口を開く。

「千里つったっけぇ~?アンタさぁ?ウチの随分いい加減なウワサ流してくれてんだって~?」

千里がしゃくり上げながら慌て気味に訂正しようと試みる。

「ううっ、いい加減なんて、そんなつもり無くて…ただカッコイイと思ってて…」

絵美は手入れし過ぎて細くなり、ほとんど無い様に見える眉を釣り上げ薄い目をカッと見開き三人を恫喝する。

「格好良いねぇ?!あ~~~~~!それがテメェ等の価値観かよ!、違う!カッコ良いって何だよ!?アタシがさぁ!あんなヒデェ事をさぁ!アレを好きでやったとでも思ってんの?悪いけど…タダの喧嘩なら鼻潰して終わりだよ…あんな事ワザワザやんねぇよ!やらせて喜ぶ趣味もねぇ!弱いモンイジメなんかしねぇよ!マジメちゃん相手にさ、お前等と一緒にすんな!この制裁だって男連中の視線隠してやってんだろうが!分かれよ!」

千里の弁明の言葉を途中で遮ぎり、一気にまくし立てる。

「いい機会だから皆にも言っとくね!あの例の制裁はね!しょっちゅうヤラせてるみたいな事言うバカいるけどさぁ!ホントにいい迷惑!過去にも二回しかやってねぇし!それにさぁ!ちゃんとした理由だってあんの!」

一度息を着いて周囲を見渡し、圧をかけ、再び続ける。

周囲を囲む下級生達は冷や汗が止まらない。

「みんなだって聞いたらそれぐらいされても仕方ねぇって思うからぁ!っとね?部活中に頻繁に女子更衣室に入って下着盗んだり財布から金抜く様なクソ野郎が居たのよ!ソイツとさぁ!こいつらみたくイジメでウチのイトコに同じ事した進学校の女ね!…しかも、ウチのイトコはよぉ!大勢の男子生徒の前に連れてかれて裸に剥かれてよぉ!見世物にされたんだぜ!?頭に来るだろう?お前らだって身内が家族がそんな事されたらさぁ!同じ事すんだろ?ウチもそれとおんなじだよ!そんなんイトコの学校にだって乗り込むだろっ!」

三年の女子達は良く知っていた。

実際に市内にある進学校、山間第二高校へ一緒に乗り込んだ者もいる。

気に食わない程度の理由で不良でも無い、落ち度も無い生徒にそんな事を繰り返していたら絵美はここに居なかったろう。

絵美がここにいるのは相手のやった事を明るみに出し、キチンと相殺して来たからだ。

世間に対して自らの正義を突っ張ったのだ。

「だからさぁ!この学校で今後この三人と同じ事する奴はウチが同じ目に合わせてやるよ!休み明けたら他の連中にも言っ……」

太陽が中天に登り、絵美の金色に染めた髪と、やや広い額が光を反射する、そんな熱弁中に空気を読まず手を上げながら、媚びる様に声を発した者が一名…

「あのぅ~せんぱぁ~い、私ぃチョットおしっこ漏れそうでぇ~服着てトイレ行って来てもいいっスかねぇ、あ…戻って来たらまた脱ぎますんで…ヘヘッ♪…無理なら…その辺で……」

千里と澄子、他の二年と一年の女子の顔が青くなる。

その言葉を聞いた絵美の表情が、そのフザケた言葉を脳内で反芻でもしたのだろうか?徐々に…少しづつ…変わり…目がより細くなり…眉間には縦皺…雰囲気も、蒸し暑い屋上であるのに、冷たい底冷えする様な物になる。

…栗原唯は【チョーパン絵美】の逆鱗げきりんに触れてしまったのだ。






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