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1章 受難と覚醒
⑥切れない絆
しおりを挟む幼少期から両親は常々礼子に、こう言い聞かせていた。
「礼ちゃんはお婿さん取ってうちで働いとりゃええよ、最近は畑や田んぼ辞める人多いでねぇ、家で買い取らんかっちゅう話沢山来とるで、父ちゃん、母ちゃんが礼ちゃんに良い旦那さん見つけてあげるでねぇ…」
そうなるのだろうと漠然と思って生活していたのだが…
高校に入学してからは様々な刺激を受け、状況も精神的にも変容しつつあった。
良くも悪くも、ではあったが…
あの…千里達に屋上に呼び出され、吉野に助け出された数日後から、礼子は今まで使っていなかった頭をフル回転させて考えた結果、吉野に付いて回っていた。
家では幸いにも、見える部分にはケガも無かった事もあり、イジメを受けた事が両親に露見する事は無かった。
礼子は家の事を良く理解してはいなかったが、もし両親が知っていたらもっと大変な事態になっていた事だろう。
豪農篠田家は政治家にも顔が効く、曾祖父の代から、そっち方面ではパトロンとして有名であった。
実際礼子の両親は二人の息子に起こった問題を、政治家を使って揉み消している。
父親への反発から非行に走った長兄の耕作は暴走族と派手に抗争した暴力事件。
耕作は数十人を病院送りにしたのにも関わらず、なんのお咎めも無しでその後、農業大学まで卒業し、原因の一つとなった恵子と入籍さえしている。
そして次男の耕二は真面目で優秀な男であり、県内でも有数の進学校、山間第二高校に通っていたのだが、余所の都市から来た不良学生に絡まれ…
半狂乱で暴れた結果、警察の世話になってしまったのだ。
結果はお咎め無し、父親に泣き付かれた県知事が介入した結果、絡んだ相手は酷い怪我を負った上に退学処分になっている。
十年も前の話ではあるので、礼子は全く知らないし、家族も礼子には何も語っていない。
吉野や絵美が介入しなければ、もっと大事になっていた可能性すらある、千里達にしてみればどちらが良かったか分からないが…
兎も角、両親にはバレる事が無く、それにあんな事を両親に伝える事などしたく無かった。
理不尽な気持ちではあったが、あの場に助けに来なかった家族に対して若干の虚無感を覚えており、心が離れつつも有り…表には出さないにしろ、家族に対して一歩引いたやや冷ややかな目線にも変わっていた。
礼子は吉野の気を引く事に必死になった。
恐らくは生まれて初めての努力であったろう。
最初にやったのはお菓子作り、義姉や母親を巻き込んで大騒ぎだった。
何も知らない義姉達は礼子も年頃なのだと微笑ましい視線を送っていた。
お礼と称して近づき、他の女生徒の苛ついた視線は全て無視して、吉野との繋がりを強調する事に終始した。
他の男子達からのアプローチも忙しい、吉野の所へ行くからと全て断った。
吉野の名前を出した事で、礼子を落とそうと躍起になっていた男子達も徐々に近付かなくなった。
義理の姉、恵子の助言で男は胃袋を掴め、との言葉があると聞き、料理本を買って弁当を作って持って行きもした。
努力の甲斐あって一ヶ月もしない間に、吉野からの告白を受ける事に成功し、正式に付き合う事になった。
当の吉野は未だ童貞であり…
不器用無骨な吉野の背中を押したのは、周囲の人間のバックアップがあってこそだろう。
硬派な岡倉、吉野の弟分の佐藤、スケベな猿渡まで…
礼子の良い所の一つとして、人を外見で差別はしない、そもそも多少の美醜など礼子の前では大した違いが無い。
実の所礼子は人前で裸になる事もそれほど抵抗は無い、例えそれが異性の前であっても…
礼子の実家の様な田舎では、母親の主催する婦人会の繋がりで、温泉旅行などにも行く、田舎の常で小学生くらいであれば母親達の付き合いで一緒に男の子達と風呂に入る事も多い。
とはいえ、男の子達は母親達の集団にオチンチンを触られたり、からかわれたりするのが恥ずかしくて、少し離れた所で纏まって体を洗ったり、チラ見しながら大人しく入浴するくらいで礼子の元に近づいて来る事は無かった。
そんな環境ではあったので父や兄達だけで無く、温泉などで異性や他人に対して裸を見せる事自体にはそれ程の抵抗は無い。
だから吉野の舎弟、二年の佐藤が礼子の裸をチラチラ見ていた事を、何時までも気に病んでいるのが良く理解出来ていない。
猿渡にしても嫌悪感を抱かず、兄にでも対するように気軽にスキンシップをして懐いている。
これは猿渡には大変珍しい事ではあったが、相棒の吉野の彼女になった事も有ってか、女としてでは無く妹分として可愛がっていた。
彼に取って礼子は…有る意味特別な存在なのかも知れない。
後年、周囲の者達は礼子と猿渡の関係を不可解に思って首を傾げていたが、猿渡の方が礼子を女としては見ていなかった事に起因する。
彼に取ってはあくまでも妹分、または生徒の様な存在である。
他の女の子にする様なキモいセクハラ発言など、そもそも礼子に対してはしていない、仲間に話す様に猥談を語る為に、そこに気持ち悪さは無かったのだろう。
岡倉などは酷い目にあった礼子に対して常に同情的であり、自分達が守ってやらねばとさえ思っていた。
後ろめたさや同情、可愛い妹分の為にと三人はそれぞれ吉野を後押しした。
「吉野…羨まし過ぎるぞ、こんな美少女が好意を持ってくれてるなんて、腹立たしい!俺ならこんなチャンス逃さねぇ!』
「篠田の事だけどよぉ、お前だって悪い気はしてねぇんだろ?この子ほっとくとさ、コレからもあんな目に遭うぞ、それに、男から行かねぇと…な、違うか?」
「先輩~男見せて下さいよ?こんだけ頻繁に来てんスよ?篠田が可愛いそうスよ~まさか、フラれる事考えて♪ビビってんスかぁ?」
そして絵美も、いつも矢鱈と吉野とくっつけようと画策している、何が変な勘違いをしている自分の取り巻きに聞こえる様に大きい声で吉野を焚き付けた。
「行っちゃえ行っちゃえ~お前みたいなガサツなクソヤンキーに、好意寄せてくれてる清楚系美少女なんて二度と出会え無いよ?前からああ言うのが好みだって言ってたじゃん♪」
絵美にしてみれは変な気を使われるのがウザったくて仕方無い。
友人達は善意でやっているのであまり酷い事も言えない、が…これ幸いと積極的にキューピットに徹してくれた。
絵美の内心は、友人としては兎も角として、吉野の様なガサツなヤンキーは願い下げである。
と、そんな周りの後押しと努力の甲斐あって吉野が礼子に交際を申し込んで来たのは、出会って一ヶ月後の事であった。
そして、より関係を強固にする為に自ら誘惑して、処女も捧げた。
そこに至る迄には、相当な苦労があった、長兄夫婦の夜の生活をなんとか盗み見しようと離れへ忍び込んでみたり、結局諦めて知人の提案で次兄の部屋の押し入れを漁りアダルトビデオを盗み見たり。
最初こそ優しい耕二がそんな物を持ってるのかとショックを覚えもしたが、徐々に興味を覚え、逆にのめり込み、猿渡の実家がレンタルビデオショップだと知ると吉野に内緒でこっそりと18禁のビデオを回して貰いさえした。
吉野が我慢出来ずに求めて来た時も準備は万端だったのだが…
初めての時に関してはAVで得た知識はあまり役に立たず、苦痛の涙を流しもした。
「…あぁ、すまねぇ上手く行かない、今日は止めとくか、お前も…辛そうだし…」
だが礼子は…必死だった。
「ううん…早く…早く…正樹さんと繋がりたいの、一日でも早く一つになりたい…」
簡単に切れない絆が欲しい…
吉野はその思いに全力で応えた。
少々乱暴ではあったが、貫通するまでに二時間も必要とした。
破瓜の痛みで礼子が握りしめたパイプベッドの柵が外れたり太い支柱にに凹みが出来る程だった。
それから一ヶ月間、吉野を喜ばせる為に時には性器以外、口や手で、そして人払いをして体育館倉庫や図書室や教室でした事さえあった。
前から後ろから、ビデオで見たあらゆる体位を試し、最近やっと苦痛よりも僅かではあったが快感を感じる様になっても来た。
が、最終的には挿入よりも互いの性器を愛撫してフィニッシュを迎える事が増えたかも知れない。
礼子も陰核を舐められるのは、それなりに気持ち良かったし、吉野は礼子のフェラチオを事の他喜びもした。
単純に吉野が喜べば何故か礼子も嬉しかったのも有る。
基本的にには他人が喜ぶ事で自らも喜びを感じるタチの娘であった。
歪みさえしなければ彼女の人生はもっと違ったものになっていたのかも知れない…
自分がした事で人が喜ぶのが嬉しいわ後の礼子を知る者も、そこは意見は別れるが基本的には一貫して同じであった筈だ。
吉野に対する恋愛感情など無かったが、そこだけは嘘では無い。
それもまた後に【恐怖の女帝】と呼ばれる事になる少女の真実の一つではあったのである。
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