昭和アウトローガールズ☆

くとぉ

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7章 番外編 コケシ少女の冒険 

⑥サトちゃんと愉快な仲間

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「あぁ…【軟派師】って三中の山川だったんかぁ、高木の件で世話になって以来だよな?」

「おっ一中仕切ってた田辺?久しぶり~相変わらずデカいねぇ…何?サトちゃんと仲良いん?」

「まぁな…佐藤が何も言わねぇから知らなかったぜ…つう事はそっちが相棒の柴崎ってコトかぁ…凄え筋肉だな…おっ…俺も負けて無いけどね!」



と…田辺が張り合う。

「こんな可愛い娘達が三人も…ハーレムって奴か…なんて羨ましい…これが【軟派師】!」



羨望の眼差しで純子達ををチラ見する、金山の肩をガシッと抱き寄せ佐藤がハッパを掛ける。

「こんな奴の事を羨ましがるんじゃねぇ!篠田と話し進んでっからよぉ!夏祭りの日に山野にバッチリ決めて来いよ!な!女一人を愛すべし、ってよ!それに…こっちには馬渕がいる!普通科の誇る伝説のモテ男…馬渕サンがよぉ!」

山川への対抗心から過剰に仲間のモテぶりを喧伝する、だが当の馬淵は困惑気味に迷惑そうな顔をするのみ。

「佐藤…そう言うの勘弁してくれよぉ、山川って佐藤の知り合いってコトは三中の五人衆の一人だったってコトでしょ?そんな猛者と一緒にされたらさぁ…生きた心地しないんだけど…」



理香が佐藤を見て感心した様に一言だが、どうしても馬渕に目が行ってしまうのが伝説のモテ男と呼ばれる所以なのか?

「へぇ~流石第一高校のトップ!女一人を愛し抜く、良い事言うじゃない、まぁ…彼女いんなら関係無いけど、馬渕…へ、へ~割と良い男じゃん♪ま、まぁ…私の好みじゃ無いけどねえ♡」

などと頬を赤らめながら声を上ずらせる。

そんな理香をジト目で見る純子がチクリと一言呟く。

「アンタ、男がどうとか言う割りに気が多いよね…あ~普通科のお兄さん達ぃ♪勘違いしないでねぇ~?アタシらこのロン毛にナンパされた訳じゃなくてコッチの娘助けた行き掛かりでここにいるだけだからさぁ~」

「このロン毛って、純子チャン酷くねぇ?まぁ~そうなんだけどさぁ…ウチの女子と仏女の娘等が揉めててサァ、何やかんやあってそこの市子チャンのオゴリでココにいんのよ~」

と…山川が適当な説明をする。

「はぁ?全然意味分かんねぇ?ケド仏女っていやぁ、確か今は西中に居た浜野がトップだったっけ?相棒か何か居たよな?ん~?あれは冥王星めいおうせい姉妹の片割れだったっけか?いや?アレはメイとオッ子だったっか?まぁ、会った事はねぇけど名前くらいは知ってんよ?」

自分達のリーダーの名前が出たのが嬉しかったのだろう、理香が珍しく男に愛想を振りまく。

「へぇ~浜ちゃんってやっぱ結構有名だったんだねぇ♪流石♪佐藤クン?の事も今度聞いてみるね♪…冥王星姉妹、凄いネーミングだね…」

西中の不良や冥王星姉妹を知っているらしい山川が口を挟む。

「あ、俺知ってんよ♪西中の雅と香菜だろ?浜野ちゃんは名前くらいしか知らねーけど、冥王星姉妹なら会った事あんのよ♪中央区のディスコでちょこっと遊んだ事あんぜ♪姉妹って言ってるけど、別に姉妹とかじゃなくてさぁ~んで、オッ子の方なんだけどサァ♪コレモンで…こんな感じで…結構…」

「マジか!そんじゃあメイは………」

他の女の話で盛り上がる彼氏と、山川に眉をひそめ文句を言いつつ、明子はチラリと市子の校章が刺繍されたジャージを見て驚く。

「ちょっとぉ!大志ぃ!女の子のそう言う噂は…アレ?貴女は…それって山ノ中女学院の校章じゃない?」

「あ、はい…三年生の花柳院市子と申します…」

明子の顔がパァと明るくなる。

「え?!本物?私ん家あの山の麓で農家やっててさぁ~休み前とか国道を高級車で通ると思うんだけど、分かるかなぁ山の下の方に階段みたいになってる畑有るじゃない?アレ、ウチの畑なんだよね~♪」

「あ!はい!存じております!今日も街に降りて来る時に眺めておりました…見事に青々と遠くまで広がっていて…」

「え~!知っててくれたんだぁ!嬉しぃ~私、昔からねぇ~あのお城みたいな学校に憧れてたんだよね~家からちょっとだけ見えるお城のテラスみたいな所が学校だって聞いてたから、私も将来あそこに通うのかな~なんて思ってたんだけど…気付いたら底辺校に通ってて…」

お城みたいな…に興味を惹かれた理香が食い付く。

「お城みたいな学校ってどういう事?!ちょっと興味有るんだけど?アンタの学校って一体…それと…普通科の娘ってヤバイ奴が多いって聞いてたけど、意外と普通…さっきもエロい格好してるのいたからみんなそうなのかと…でもアンタはロンスカなんだねぇ?」

「え?そんな事無いよ~?それっぽく見えると思うけどそもそも私は別に不良とかじゃ無いし、頭は良く無いケドね…コレは大志が足見せんなってさ、五月蝿うるさいんだから、でも二年とか一年生はミニスカの娘が多いかも知れないね。」

純子も普段交流の無い他校の女子に話を聞きたいらしい。

「へぇ~三年も寮にいると外の流行りとかに疎くなっちゃって、ウチの学校ってさぁ、一般の娘達は真面目な娘が多いし、あんま派手な格好する娘いないから、結構ウチ等みたいな寮生とは距離あってサァ~、ちょっと他の学校の話し聞きたいなぁ~♪」

そんな純子の言葉にウンウンと追随しながら理香が山川と柴崎を追い払う。

「はぁ~い♪今から佐藤クンの彼女さんと市子ちゃんへの質問コーナー始まるから♪山川クンと柴崎クンは普通科の人達と冥王星人の話でもしててね♪…ほらぁ!早く!席空けて!今から女子会すんだから!野郎はあっち行って!」



 ◆ ◆ ◆




純子と理香に追いやられブツブツ言いながら、渋々男女で別々に席を分けたが、それはそれ、それぞれ情報交換で盛り上がる。

そこで聞いた尾鰭が付いた噂や個人的なバイアスが掛かった情報が拡散される訳だが…ともあれ不良達の情報は早い。

「五人衆なんて呼ばれていたのか?悟は…」

「あぁ…柴ちゃんは山向うの海岸の方だから知らないよね?俺達の代の三中は不良の黄金時代なんて呼ばれててさぁ…俺と、普通科に行った佐藤と鮫島、工業科に行った高木と工藤、みんな強えってコトで五人衆なんて呼ばれてたなぁ。二中とは何度か喧嘩したけど、コレって奴は居なかったな、一中はそこの田辺とかが名前通ってて、ウチの高木とごちゃごちゃしてて、そんなわけで黄金時代ってコトなのよ、別に仲良くないから不本意だけどさ」

二中の件で馬渕が何も言わず苦笑いし、高木や鮫島の名前を聞いて田辺と金山がそれぞれ嫌な顔をする。

「髙木かぁ~二度と喧嘩したくねぇなぁわ強えけど…凄いバカなんだもんよぉ、シツコイしな、勝負付かなくてさぁ…もう俺の負けで良いって言ってんのに、学校の校門のトコまで来て毎日毎日…あんまりしつこいから、んじゃあ仲良くしようぜ!ったら…また毎日来やがって、遊びに行こうってよぉ~、お前が引き剥がしてくんなきゃどんだけ付きまとわれてた事か…」

田辺の情けない顔を見て山川が爆笑する。

「アハハハ♪アレなぁ♪アイツから、一中の奴と友達になったって聞いてさぁ、中坊になっても一緒に虫取りするバカが一中にもいんのかと思って見に行ったら、あいつバカだからダメな時は駄目ってハッキリ言わねぇと分かんねえのよ、そういや小学生ん時アイツに山でオオクワ見つけたって言ったらさぁ、一晩中探し回ってたらしくて、奴の親から家に来てねぇかって電話あってさ、青くなったぜ…嘘だったのに…」

佐藤がジト目で山川を見る。

「山川…お前…酷い奴だな…アイツ割と良い奴なのに…バカだけど…そういやぁ…お前と同じ団地だろ工業科クビになったんだよなぁ?工業科に吉野さんと何度か喧嘩売りに行ったけど、一度も見なかったぜ?工藤もだけど…」

「あ~クビじゃなくて一年で留年して自主退学したよ、今は県庁都市の左官屋で住込みで見習いやってるみたいよ?工藤は家が尾形市寄りで近く無いし、最後に喧嘩した時に道具でバチボコにされて入院させれてっからさぁ、知りたくもねぇんだけど…噂じゃどこぞの暴走族の副総長か何かやってて…女にタイマンでのされたらしいぜ?」

山川が取っておきの情報を佐藤に提供するが、佐藤の方はその話をいぶかしむ。

「はぁ?なんだそのフカシ臭い噂…嫌な野郎だけどよぉ…悔しいが俺等ん中じゃ最強なんて言われてたんだぜ?俺も五回はやり合ってるケド一回しか勝てた事ねぇよ…間違っても女にやられる奴じゃねぇ…」

「だから噂だって…鉄船市の方のレディースの総長で…なんつったか…柔道やってた女らしいよ?知らんけど…そういやサトちゃん、りょう鮫島さめじまはどうしたん?全然名前聞かねぇよな?…弟の方は工業科行ってんのは知ってるけどさ」

佐藤は金山に視線を移し…仲間達に順番に視線を送る…

「あぁ…それな…実は色々あって…奴と喧嘩になってよぉ…」



 ◆ ◆ ◆



三人の質問責めも一旦落ち着き、今度は明子と佐藤の馴れ初めやら純子の彼氏自慢…と性的な話題に移り…

どうしても自分の悲惨な現状と比較してしまう。

重雄との強引で一方的な睦事(むつごと)で純子が語る様な多幸感に満ちた経験などした事は無い。

少し辛くなりふと、男性陣の与太話を聞く、ああでも無いこうでも無いと言いながらバカ笑いする姿を眩しそうに見つめる。

(男性って…いえ…男の子達は荒っぽくて…下品で…騒がしくて…でもどうしてこんなにキラキラして眩しく見えるの?…それに今こうしている間は凄く楽しいけれど…もうすぐ…)

瞳から涙が伝い、頬を濡らす。

「市子?!どうしたの?あ、もしかして…あいつ等見た目は厳ついけど別にそこまで悪い奴じゃ無いみたいだから安心し…」

市子は首を振りながら否定する。

「いえ…なんだか眩しくて…今が楽しくて…それも…後少し…」

「市子……」

理香にしてみれば庶民と旧家の違いは有れど、共に古い家だけに多少は通じる部分も有り、多分に同情的な視点になってしまうのは仕方無い。

明子は其の辺の詳細は一切聞いていないので良くは理解出来て居なかったが、今迄に質問した情報から自分が夢見ていた様な世界では無い事は想像出来た。

だが純子は…

「市子ちゃんさぁ~、親に文句の一つでも言ってみた?」

「そんな…まさか!家に…私には果たさなければならない責任がありますし…約束は守らなければ…」

「ウンウン…責任は良いケドさぁ…そりゃアンタの約束事じゃ無いでしょ?それに従うってんならそれはそれだけどね、親に文句の一つくらい言ってもバチは当たらないよ?その政治家のどら息子と一緒になるにしてもさ…別に…親に思いっきり文句言って愚痴でも零してから嫁に行ったって良いじゃない…愚痴の一つくらい聞くのは親の義務だよ…どうにもならないっても…さ」

理香は純子を窘(いさ)め様とする。

「純子…皆がアンタみたいに自分に忠実に生きられる訳じゃ無い…古い家には…」

「そう言うんじゃ無いって!アンタだって愚痴や泣き言くらいいつも人に言うでしょ?それぐらい親にぶつけてみたらって言ってるだけ!まぁ、アタシは確かに自分の世界は自分で作るんだって思ってるけどさ、それを他人に強要はするつもり無いよ?でもね~少なくともアタシは親に反抗して仏女の寮にぶち込まれて、浜ちゃんに喧嘩売ってアンタと一緒にボコられて、アンタと仲良くなれて、テッチャンに出会えて…良かったと思ってるよ?全部ね、逆らってばっかだけどさ」

市子も理香も、ほぼその件に付いて何も知らない明子もその勢いに押し黙る。

特に市子はその言葉に大いに動揺し心を揺さぶられる。

そんな……少々微妙な空気が女子組に広かった時だった…

男達の方からやや険悪な怒声が飛んで来た。

意外にもその怒鳴り声は、飄々ひょうひょうとしたイメージの山川だった。

    


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