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第1話ー鬼と人間ー
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ジリリ…
俺は目の前で立ちすくんでしまった
村が燃えていたのだ
「お父様、お母様、華蓮!」
俺は家族の名前を呼んだ
必死に呼んで探したのに姿は見当たらない
「うっ…うっあぁぁぁぁ!」
俺は泣き崩れた
地面に手をつけ絶望した
あいつだ…
この辺りに、あいつが来ていたことは知っていた
だがもうここまできたのか
「なんで!なんで!」
俺は、拳で地面を殴りつけた
誰もいないその村からは、泣き叫ぶ声もないただただ火の音がするだけだった
「なんで!俺は、一足いつも遅いんだ!クソ!あぁぁぁぁ!」
拳からは血が出ているのに俺はその手を止めなかった
気づけば地面にひびがはいって、壊れていく
「くそ!くそ!」
俺は、自分を責めた
俺が早く帰ってきていたら、まだマシだったかもしれないのに
19歳の俺は、15歳からずっとこの村にいなかった
俺の力があまりに強大すぎて、封印するために…
村の人たちから出て行けと言われ、俺は仕方なく出て行き自分の力を制御するための訓練をした
でも、俺を教えていた師匠もあいつに殺された
その時も一足遅かった
帰ってきた時にはもう、師匠は死んでいたのだ でも師匠も人間だからしたがないと思った元々帰る予定だった、家族がいる村へ帰ってきたのだ
俺は、怒りが耐えずまた暴走をおこそうとしている
「うぁぁぁぁ!」
この村を消し飛ばすほどの能力を持った力
これは、生まれつきで年齢を重ねる度強くなっていく力
その姿になる時必ず目が赤くなる
そう俺は、鬼の血と人間の血を持ったバケモノだ
俺は、誰にも愛されないバケモノ
家族しか信じる人がいない
元々この世界は、人間と鬼が共同して暮らしている
人間も鬼も仲良くなり、共に生きることが出来るようになった
でも、俺は違う
半分半分の俺は、気持ち悪いとも言われ
どっちなんだよとも言われてきた
そして同時に、強すぎて怖がられもした
鬼の力は簡単に引き出すことが出来て、普通の時には人間
怒りや恨みに狩られると鬼になる
俺は、そうやって暮らしてきた
そして怒りや恨みに狩られた時には自分でも制御出来なくなってしまう
昔は、普通の時でも鬼になってしまうことがあって友達がいなくなってしまった
だから俺は、制御しようとしてきた
力が小さいのに強いからいつかこの村にも災いが起きるって言ったやつのことを
見返したかった
〝人間として〟強くなりたかった
今だって、怖がられて嫌われてってことはよくある
だから家族しか信じれなかった
「うぁぁぁぁ!」
ドンッ…
俺はその村を壊してしまった
誰もいないその村ごと…
この力があるのにいつも俺は一足遅い
「お父様、お母様、華蓮…ごめんなさい
またやってしまいました 約束を守れなくてごめんなさい」
俺は、跡形もなくなったその場所を見て静かに謝った
「泉月まぁたやってしまったね」
後ろから声がした
でも、誰だかは分かっていた
あいつだ…
「何しに来た?この村を焼き払った張本人が何故きた」
俺は振り替えらずに言った
「うーん…また説得しに来ただけだよ
俺たちの仲間にならないか?ってね
お前のその力は強いから是非とも欲しんだよ」
くすくす笑いながら言うあいつに、また怒りが湧いてきた
また、目が赤くなる
「その姿いつ見ても、たまんないねぇ
我々鬼は人間と同じサイズで、角が生えている
でも、お前は所詮半分人間、半分鬼…
人間と同じサイズでも、角が1本しかない
俺達鬼はみんな角は2本と決まっているんだよ…でも、目が人間の時には青
鬼の時には赤になるのは、お前だけなんだよ
その姿は、いつ見てもいいよ
だからお前と戦うのも好きなんだ」
こいつは狂っている
「俺はお前のことが嫌いだよ」
そう言った
そう俺は、半鬼半人だ
だから、俺はどっちの味方でもない
人間でも無い、鬼でもないどっちでもない
ただのバケモノだ…
「酷いなぁ
まあいいわ…じゃあな泉月
そして、我が兄…」
そうあれは、俺の弟だ
いつからだっけな…こんなに仲が悪くなったのは…
俺達の家はみんな、人間か鬼かのどっちかだった
お母様が人間、お父様が鬼、華蓮も鬼、弟も鬼だった
俺は、唯一人間の血と鬼の血が混じった人だった
顔を上げると、人影が見えた
「え?」俺は思わず変な声が出る
あっちから、人が歩いてきている
俺がさっきこの村を消したはずなのに…
村の形は残ってないが、家は所々に残っている
火の匂いがして、死んだ人の匂いがするこの村はもう誰も生きていないはずなのに…
ぼんやりと霧の中歩いてきた人物がわかった気がした
鬼?だんだん顔もはっきりしてくる
あれは…
「華蓮?」
そこから歩いてきたのは華蓮だった
鬼がいくら頑丈だったとはいえ、俺の力がこの村に加わって生きてるはずがないのに…
「なんで…」
「泉月兄さん?なの?泉月兄さん!」
華蓮が俺に抱きついてくる
震えた声で、喋り出した
「お母様が…ありったけの力を使って私を守ったの…お父様は外で鬼と戦った…」
「お父様が、鬼と戦う必要なんてなかっただろ?お父様も鬼なのだから」
「いや、弟を嘉一を止めるために戦ったの
でも、嘉一と互角で戦えるのは、泉月兄さんしかいないのよ…
だから、この村の人間達もお父様に加勢して頑張った
なぜならあなたが今日帰ってくることを知っていたから…」なんで…
俺なんか頼ったんだよ
逃げればよかったじゃないか
俺は、この力をまだ制御しきれてない
いつかは…お前達だって殺すかもしれないのに…
「なんで…人間達は加勢したんだ?」
「お父様が力を貸せとお願いしたの…
この村を守らせてくださいと…言った
そしたら、人間達はお母様がいるし、死にたくないと戦った…
そして、あなたの帰りを待ったの
元々この村では鬼も人間も関係なく仲がよかった」
そうだったな…俺だけが嫌われていたんだった
「でも、俺の事を嫌いだった人間達は俺なんて求めてなんになる」
「泉月兄さんが出て行く前は、泉月兄さんが何かと、嘉一側の鬼を倒してくれてたでしょ?」
「いいや…俺はあの時強くなかった
だから、いっぱい犠牲も出した…
今はそんなことしないけれど、俺を追い出した奴らを見返したかった
違う意味で強くなりたかった
誰かに求められたくて、頑張った
でも、そんな求められ方だったら、俺の事はどうでもいいから、今まで散々言われたのに都合がいい時のために戦えと言っているじゃないか」
「そうじゃない!泉月兄さん…違うの」
「いいや違わない!俺は、失敗作だ
半分半分で生まれてきた時点で後悔したんだ
俺は愛されたいだけだ
こんな俺でも愛してくれて心から俺を必要としてくれる人がいて欲しいだけだ」
そうだ俺は、ずっと愛されたことがない
みんなに…
鬼として生まれてきたわけでもなく
人間として生まれてきたわけでも無い
「お前にはわかんねぇだろ…」
「わかんないよ…でも、兄さんは失敗作なんかじゃないよ
私の大好きな泉月兄さんなんだもん」
苦しそうな笑顔で言った
華蓮がそんなこと言ってくれるなんて…
「泉月兄さんがいくら半鬼半人だったとしても、兄さんは兄さんでしょ?」
そうかもな…でも俺はいつか、この力に喰われる
半鬼半人は何故か、死ねない
死にそうになっても死ねないのだ
1度、俺は死んだんだ
1回、嘉一の鬼に殺された
だけど、気づけば焼き払われた後の焦げた臭い匂いがする村で俺は気を失っていた
死にたいのに死ねない人生
これがこれからずっと続くんだと思った
でも、死にそうになる度に、
怒りに飲み込まれ、さっきみたいに暴走をする度に
どんどん自分で高めてきた封印が溶けているようだった
最終的には、この世界を壊し、人々を殺し、
自分じゃ制御出来なくなってしまうと気づきつつある
これは俺が生まれつきもっている、〝呪い〟だと思う…
だからって飲み込まれることを恐れているわけじゃない
でも、そんなこと家族に言えるわけでもなく
俺は、言わなかった
もう最初から分かってた
「とにかく来て…」
そう言われて、俺は華蓮について行った
ついて行くとたくさんの人が大怪我を負って、寝転がっていた
「ここは…」
「私がさっき村人や鬼達を移動させたのよ」
だから、華蓮は生きていたんだな
他のところに連れて行っている合間に俺が帰ってきたんだな
「移動し終わる時に、鬼が呻く声が聞こえたの
もしかしたらって思って、村を見に行ったら兄さんがいた
目の前で村が消し飛ぶんだもん
びっくりしたよ」
そう言った
「やっぱり強くなってたんだね
半鬼半人はやっぱり強いんだよ
お願い…その力で、人を救ってよ」
分かっている…俺の力を求める人がいっぱいいることくらい
「すいませんでした…泉月様をどっちの味方とか
気持ち悪いとか、半鬼半人だったこと馬鹿にして、ほんとにすいませんでした。泉月様が出て行ったあの日嘉一様が、ここに鬼をよこした
その時は華蓮様のお父様が戦って勝ちましたがその日からこの村で、災いが沢山起きた
だから、あなたが必要なんです
お願いします…」
彼はそう言った
全く何を言ってるか分からない…
すいませんでした?ふざけるなよ…
俺にしてきた仕打ちはこれですかい
都合がいい時ばっかり、助けてくださいだと?
「俺には、悪いが無理だ…
俺は、されてきたことを恨んできた
なのに今更死ぬのが嫌だからって、俺を頼っていいように使ってるだけじゃないか」
そうだ…俺はお前らみたいな人間を助けたいんじゃない
俺の事を大切に思ってくれる人に会って、その人を守りたいんだ
「どうか…どうか…お願いします」
そう言われた
「うるさい!
俺がどれだけ、傷ついたのかも知らないくせに!お前らみたいな人間がいるから、この世界は残酷だ
お前らに何がわかるんだ?」
村人達は俯いたままだった
知らねぇよ…自分のエゴで助けてくれだなんて知ったこっちゃない
「お前らに何が分かって俺に謝ってんだよ
俺だって好きで生まれてきたわけじゃない!本当は死にたいんだ…でも…」
死ねないんだ
そう言おうとした、でも華蓮がいる前で言えるわけない
「とにかく、俺には無理だ」
俺は、泣いていた
どれだけ辛い思いをしたのかなんて自分でも想像が出来ない
毎日のように、なんで生まれてきたんだろうと言われ、強すぎるぞ!バケモノだ!と怯えられ、石などを投げられる気持ちがお前らに分かるのか?
死ねばいい…その言葉を言われたことがあるのか?
ないよな…あるわけない…
息を吸って顔を上げた
「あっ」俺は声を漏らす
気づけば、村人の後ろに鬼が立っていたのだ
「おい!伏せろ!」
そう俺はでかい声をだし、強く拳を握った
鬼の体に手が入る
「うっ…」鬼が呻いた…
俺の体は、鬼の返り血で血だらけで村人や華蓮を守ることが出来た
鬼は、体が貫かれてもまだ動こうとした
でも、俺は手を出さなかった
鬼の心臓を1発で潰せば死ぬことを知っていたから…
血の雨が降った
すると鬼が何か言う
「都にこい…」そう言った
嘉一の使い回しか…
「ちっ」俺は軽く舌打ちをする
都か…行くしかないか?
俺はずっと、拳や足で戦ってきた
だから、俺は鬼の力を少し引き出すだけでこんな鬼は1発で殺すことが出来たのだ
「泉月兄さん、今の凄すぎない?何したの?」華蓮がキラキラした目で俺を見てくる
大したことはしていない
ただ鬼の力を少し借りて1発で仕留めただけだ
「泉月兄さんやっぱり凄いよ!
今の不意打ち、泉月兄さんしか倒せないよ!」
そんなことない
確かに俺は、半径2メートルくらいの気配や、殺気は感知できるがこんな力何の役にも立たない
今だって、気配に気づけていなかった
考え込むと周りの音が聞こえなくなるというのはこの事か…
それに、いつも肝心な時に助けることが出来ないからだ
「華蓮…お前は鬼の力は開花したか?」
「うーん…どうだろう
でも、大抵の鬼は倒せるようになったよ
泉月兄さんまでには行かないけどね」
そう笑って言った
俺はこの笑顔を守りたいと思った
これ以上何も失いたくない
「ありがとうございます…あなたがいなかったら俺達はみんな死んでいました
ほんとにありがとう」
「たまたま前にいたから倒した
それだけだ…行こう華蓮」
俺は、ほっとけなかっただけだった
人が死ぬざまなんて見たくないし、見捨てたなんてなるなんてもっと嫌だったから
「もう行かれるのですか?」
そう村人は俺にそう言った
「俺なんかといるともっと狙われてしまう
それに襲われる心配はないぞ…さっきの鬼は嘉一の使い回しだ
だから、嘉一の元へ行く…嘉一は都に来いと言っただから急ぐ…」
都に行く理由はなんでかわかっていた
あいつは、俺に復讐をしたいだけなのだ
この世界に復讐したいのだ…
だから、王がいる都にしたのだ
嘉一は俺を恨んで、この世界を恨んでいる
人間達に友達を殺され、俺のせいでいじめられた
だから嘉一は変わってしまった
俺が責任を持って、片をつけなくちゃならない
俺達は走り出し、その場を去った
「はぁはぁ」
「華蓮?大丈夫か?ちょっと休むか?それとも俺がおぶろうか」
だいぶ息を切らしている
俺はまだまだ大丈夫だが、結構都まで遠いからな
でも、早く行かねぇと喜一はすでに襲っているかもしれない
「華蓮?おぶろうかほら乗って?」
俺は、華蓮にそう言った
華蓮は「ありがとう」と言って俺に乗る
なんて軽いのだろう
女の子との体はこんなに軽いのだと初めて知った
「よし、行くか」
また走り出し、俺は都へと急いだ
「華蓮悪かったな 俺のせいで嘉一が変わった
俺のせいなんだ…」
「ううん、泉月兄さんのせいなんかじゃないよ?兄さんが悪いんじゃないよ…
あいつが弱かっただけだから…」
そう言う華蓮はいつだって俺に優しかった
俺のせいじゃないか…
それはとても、嬉しいな…
大切に思ってくれてありがとう
そういつも思った
「そういえば…華蓮さ何だか変わった?
感情を表に出さなくなったっていうか…
昔はもっと感情を表に出てたような…」
お母様やお父様がなんかあったりしたら
すぐ泣いていたような…
「ううん…そんなことないよ
泉月兄さん来るまで泣いてたし」
そっか…
まあ別に少し大人になっただけだろうから気にしてないけどさ
「もうすぐ着くぞ…都に」
俺は、あともう少しのところを全力で走ったやはりもう始まっていた
「華蓮手を貸してくれないか?」
「言われなくたって!兄さん降りるからそのまま離して」
大丈夫か?と少し思ったが俺はそのまま手を離した
華蓮は綺麗に着地し、俺と走っていた
「さぁ…行こうか!」
「えぇ!」
これが初めの戦いだった
華蓮が死にそうな時には必ず助けに行くと誓って
俺は、走った
嘉一目を覚ましてくれ
お前がしたいことはこんなことじゃないだろ?
「嘉一」
俺は、小さく大好きな弟の名を呼んだ…
俺は目の前で立ちすくんでしまった
村が燃えていたのだ
「お父様、お母様、華蓮!」
俺は家族の名前を呼んだ
必死に呼んで探したのに姿は見当たらない
「うっ…うっあぁぁぁぁ!」
俺は泣き崩れた
地面に手をつけ絶望した
あいつだ…
この辺りに、あいつが来ていたことは知っていた
だがもうここまできたのか
「なんで!なんで!」
俺は、拳で地面を殴りつけた
誰もいないその村からは、泣き叫ぶ声もないただただ火の音がするだけだった
「なんで!俺は、一足いつも遅いんだ!クソ!あぁぁぁぁ!」
拳からは血が出ているのに俺はその手を止めなかった
気づけば地面にひびがはいって、壊れていく
「くそ!くそ!」
俺は、自分を責めた
俺が早く帰ってきていたら、まだマシだったかもしれないのに
19歳の俺は、15歳からずっとこの村にいなかった
俺の力があまりに強大すぎて、封印するために…
村の人たちから出て行けと言われ、俺は仕方なく出て行き自分の力を制御するための訓練をした
でも、俺を教えていた師匠もあいつに殺された
その時も一足遅かった
帰ってきた時にはもう、師匠は死んでいたのだ でも師匠も人間だからしたがないと思った元々帰る予定だった、家族がいる村へ帰ってきたのだ
俺は、怒りが耐えずまた暴走をおこそうとしている
「うぁぁぁぁ!」
この村を消し飛ばすほどの能力を持った力
これは、生まれつきで年齢を重ねる度強くなっていく力
その姿になる時必ず目が赤くなる
そう俺は、鬼の血と人間の血を持ったバケモノだ
俺は、誰にも愛されないバケモノ
家族しか信じる人がいない
元々この世界は、人間と鬼が共同して暮らしている
人間も鬼も仲良くなり、共に生きることが出来るようになった
でも、俺は違う
半分半分の俺は、気持ち悪いとも言われ
どっちなんだよとも言われてきた
そして同時に、強すぎて怖がられもした
鬼の力は簡単に引き出すことが出来て、普通の時には人間
怒りや恨みに狩られると鬼になる
俺は、そうやって暮らしてきた
そして怒りや恨みに狩られた時には自分でも制御出来なくなってしまう
昔は、普通の時でも鬼になってしまうことがあって友達がいなくなってしまった
だから俺は、制御しようとしてきた
力が小さいのに強いからいつかこの村にも災いが起きるって言ったやつのことを
見返したかった
〝人間として〟強くなりたかった
今だって、怖がられて嫌われてってことはよくある
だから家族しか信じれなかった
「うぁぁぁぁ!」
ドンッ…
俺はその村を壊してしまった
誰もいないその村ごと…
この力があるのにいつも俺は一足遅い
「お父様、お母様、華蓮…ごめんなさい
またやってしまいました 約束を守れなくてごめんなさい」
俺は、跡形もなくなったその場所を見て静かに謝った
「泉月まぁたやってしまったね」
後ろから声がした
でも、誰だかは分かっていた
あいつだ…
「何しに来た?この村を焼き払った張本人が何故きた」
俺は振り替えらずに言った
「うーん…また説得しに来ただけだよ
俺たちの仲間にならないか?ってね
お前のその力は強いから是非とも欲しんだよ」
くすくす笑いながら言うあいつに、また怒りが湧いてきた
また、目が赤くなる
「その姿いつ見ても、たまんないねぇ
我々鬼は人間と同じサイズで、角が生えている
でも、お前は所詮半分人間、半分鬼…
人間と同じサイズでも、角が1本しかない
俺達鬼はみんな角は2本と決まっているんだよ…でも、目が人間の時には青
鬼の時には赤になるのは、お前だけなんだよ
その姿は、いつ見てもいいよ
だからお前と戦うのも好きなんだ」
こいつは狂っている
「俺はお前のことが嫌いだよ」
そう言った
そう俺は、半鬼半人だ
だから、俺はどっちの味方でもない
人間でも無い、鬼でもないどっちでもない
ただのバケモノだ…
「酷いなぁ
まあいいわ…じゃあな泉月
そして、我が兄…」
そうあれは、俺の弟だ
いつからだっけな…こんなに仲が悪くなったのは…
俺達の家はみんな、人間か鬼かのどっちかだった
お母様が人間、お父様が鬼、華蓮も鬼、弟も鬼だった
俺は、唯一人間の血と鬼の血が混じった人だった
顔を上げると、人影が見えた
「え?」俺は思わず変な声が出る
あっちから、人が歩いてきている
俺がさっきこの村を消したはずなのに…
村の形は残ってないが、家は所々に残っている
火の匂いがして、死んだ人の匂いがするこの村はもう誰も生きていないはずなのに…
ぼんやりと霧の中歩いてきた人物がわかった気がした
鬼?だんだん顔もはっきりしてくる
あれは…
「華蓮?」
そこから歩いてきたのは華蓮だった
鬼がいくら頑丈だったとはいえ、俺の力がこの村に加わって生きてるはずがないのに…
「なんで…」
「泉月兄さん?なの?泉月兄さん!」
華蓮が俺に抱きついてくる
震えた声で、喋り出した
「お母様が…ありったけの力を使って私を守ったの…お父様は外で鬼と戦った…」
「お父様が、鬼と戦う必要なんてなかっただろ?お父様も鬼なのだから」
「いや、弟を嘉一を止めるために戦ったの
でも、嘉一と互角で戦えるのは、泉月兄さんしかいないのよ…
だから、この村の人間達もお父様に加勢して頑張った
なぜならあなたが今日帰ってくることを知っていたから…」なんで…
俺なんか頼ったんだよ
逃げればよかったじゃないか
俺は、この力をまだ制御しきれてない
いつかは…お前達だって殺すかもしれないのに…
「なんで…人間達は加勢したんだ?」
「お父様が力を貸せとお願いしたの…
この村を守らせてくださいと…言った
そしたら、人間達はお母様がいるし、死にたくないと戦った…
そして、あなたの帰りを待ったの
元々この村では鬼も人間も関係なく仲がよかった」
そうだったな…俺だけが嫌われていたんだった
「でも、俺の事を嫌いだった人間達は俺なんて求めてなんになる」
「泉月兄さんが出て行く前は、泉月兄さんが何かと、嘉一側の鬼を倒してくれてたでしょ?」
「いいや…俺はあの時強くなかった
だから、いっぱい犠牲も出した…
今はそんなことしないけれど、俺を追い出した奴らを見返したかった
違う意味で強くなりたかった
誰かに求められたくて、頑張った
でも、そんな求められ方だったら、俺の事はどうでもいいから、今まで散々言われたのに都合がいい時のために戦えと言っているじゃないか」
「そうじゃない!泉月兄さん…違うの」
「いいや違わない!俺は、失敗作だ
半分半分で生まれてきた時点で後悔したんだ
俺は愛されたいだけだ
こんな俺でも愛してくれて心から俺を必要としてくれる人がいて欲しいだけだ」
そうだ俺は、ずっと愛されたことがない
みんなに…
鬼として生まれてきたわけでもなく
人間として生まれてきたわけでも無い
「お前にはわかんねぇだろ…」
「わかんないよ…でも、兄さんは失敗作なんかじゃないよ
私の大好きな泉月兄さんなんだもん」
苦しそうな笑顔で言った
華蓮がそんなこと言ってくれるなんて…
「泉月兄さんがいくら半鬼半人だったとしても、兄さんは兄さんでしょ?」
そうかもな…でも俺はいつか、この力に喰われる
半鬼半人は何故か、死ねない
死にそうになっても死ねないのだ
1度、俺は死んだんだ
1回、嘉一の鬼に殺された
だけど、気づけば焼き払われた後の焦げた臭い匂いがする村で俺は気を失っていた
死にたいのに死ねない人生
これがこれからずっと続くんだと思った
でも、死にそうになる度に、
怒りに飲み込まれ、さっきみたいに暴走をする度に
どんどん自分で高めてきた封印が溶けているようだった
最終的には、この世界を壊し、人々を殺し、
自分じゃ制御出来なくなってしまうと気づきつつある
これは俺が生まれつきもっている、〝呪い〟だと思う…
だからって飲み込まれることを恐れているわけじゃない
でも、そんなこと家族に言えるわけでもなく
俺は、言わなかった
もう最初から分かってた
「とにかく来て…」
そう言われて、俺は華蓮について行った
ついて行くとたくさんの人が大怪我を負って、寝転がっていた
「ここは…」
「私がさっき村人や鬼達を移動させたのよ」
だから、華蓮は生きていたんだな
他のところに連れて行っている合間に俺が帰ってきたんだな
「移動し終わる時に、鬼が呻く声が聞こえたの
もしかしたらって思って、村を見に行ったら兄さんがいた
目の前で村が消し飛ぶんだもん
びっくりしたよ」
そう言った
「やっぱり強くなってたんだね
半鬼半人はやっぱり強いんだよ
お願い…その力で、人を救ってよ」
分かっている…俺の力を求める人がいっぱいいることくらい
「すいませんでした…泉月様をどっちの味方とか
気持ち悪いとか、半鬼半人だったこと馬鹿にして、ほんとにすいませんでした。泉月様が出て行ったあの日嘉一様が、ここに鬼をよこした
その時は華蓮様のお父様が戦って勝ちましたがその日からこの村で、災いが沢山起きた
だから、あなたが必要なんです
お願いします…」
彼はそう言った
全く何を言ってるか分からない…
すいませんでした?ふざけるなよ…
俺にしてきた仕打ちはこれですかい
都合がいい時ばっかり、助けてくださいだと?
「俺には、悪いが無理だ…
俺は、されてきたことを恨んできた
なのに今更死ぬのが嫌だからって、俺を頼っていいように使ってるだけじゃないか」
そうだ…俺はお前らみたいな人間を助けたいんじゃない
俺の事を大切に思ってくれる人に会って、その人を守りたいんだ
「どうか…どうか…お願いします」
そう言われた
「うるさい!
俺がどれだけ、傷ついたのかも知らないくせに!お前らみたいな人間がいるから、この世界は残酷だ
お前らに何がわかるんだ?」
村人達は俯いたままだった
知らねぇよ…自分のエゴで助けてくれだなんて知ったこっちゃない
「お前らに何が分かって俺に謝ってんだよ
俺だって好きで生まれてきたわけじゃない!本当は死にたいんだ…でも…」
死ねないんだ
そう言おうとした、でも華蓮がいる前で言えるわけない
「とにかく、俺には無理だ」
俺は、泣いていた
どれだけ辛い思いをしたのかなんて自分でも想像が出来ない
毎日のように、なんで生まれてきたんだろうと言われ、強すぎるぞ!バケモノだ!と怯えられ、石などを投げられる気持ちがお前らに分かるのか?
死ねばいい…その言葉を言われたことがあるのか?
ないよな…あるわけない…
息を吸って顔を上げた
「あっ」俺は声を漏らす
気づけば、村人の後ろに鬼が立っていたのだ
「おい!伏せろ!」
そう俺はでかい声をだし、強く拳を握った
鬼の体に手が入る
「うっ…」鬼が呻いた…
俺の体は、鬼の返り血で血だらけで村人や華蓮を守ることが出来た
鬼は、体が貫かれてもまだ動こうとした
でも、俺は手を出さなかった
鬼の心臓を1発で潰せば死ぬことを知っていたから…
血の雨が降った
すると鬼が何か言う
「都にこい…」そう言った
嘉一の使い回しか…
「ちっ」俺は軽く舌打ちをする
都か…行くしかないか?
俺はずっと、拳や足で戦ってきた
だから、俺は鬼の力を少し引き出すだけでこんな鬼は1発で殺すことが出来たのだ
「泉月兄さん、今の凄すぎない?何したの?」華蓮がキラキラした目で俺を見てくる
大したことはしていない
ただ鬼の力を少し借りて1発で仕留めただけだ
「泉月兄さんやっぱり凄いよ!
今の不意打ち、泉月兄さんしか倒せないよ!」
そんなことない
確かに俺は、半径2メートルくらいの気配や、殺気は感知できるがこんな力何の役にも立たない
今だって、気配に気づけていなかった
考え込むと周りの音が聞こえなくなるというのはこの事か…
それに、いつも肝心な時に助けることが出来ないからだ
「華蓮…お前は鬼の力は開花したか?」
「うーん…どうだろう
でも、大抵の鬼は倒せるようになったよ
泉月兄さんまでには行かないけどね」
そう笑って言った
俺はこの笑顔を守りたいと思った
これ以上何も失いたくない
「ありがとうございます…あなたがいなかったら俺達はみんな死んでいました
ほんとにありがとう」
「たまたま前にいたから倒した
それだけだ…行こう華蓮」
俺は、ほっとけなかっただけだった
人が死ぬざまなんて見たくないし、見捨てたなんてなるなんてもっと嫌だったから
「もう行かれるのですか?」
そう村人は俺にそう言った
「俺なんかといるともっと狙われてしまう
それに襲われる心配はないぞ…さっきの鬼は嘉一の使い回しだ
だから、嘉一の元へ行く…嘉一は都に来いと言っただから急ぐ…」
都に行く理由はなんでかわかっていた
あいつは、俺に復讐をしたいだけなのだ
この世界に復讐したいのだ…
だから、王がいる都にしたのだ
嘉一は俺を恨んで、この世界を恨んでいる
人間達に友達を殺され、俺のせいでいじめられた
だから嘉一は変わってしまった
俺が責任を持って、片をつけなくちゃならない
俺達は走り出し、その場を去った
「はぁはぁ」
「華蓮?大丈夫か?ちょっと休むか?それとも俺がおぶろうか」
だいぶ息を切らしている
俺はまだまだ大丈夫だが、結構都まで遠いからな
でも、早く行かねぇと喜一はすでに襲っているかもしれない
「華蓮?おぶろうかほら乗って?」
俺は、華蓮にそう言った
華蓮は「ありがとう」と言って俺に乗る
なんて軽いのだろう
女の子との体はこんなに軽いのだと初めて知った
「よし、行くか」
また走り出し、俺は都へと急いだ
「華蓮悪かったな 俺のせいで嘉一が変わった
俺のせいなんだ…」
「ううん、泉月兄さんのせいなんかじゃないよ?兄さんが悪いんじゃないよ…
あいつが弱かっただけだから…」
そう言う華蓮はいつだって俺に優しかった
俺のせいじゃないか…
それはとても、嬉しいな…
大切に思ってくれてありがとう
そういつも思った
「そういえば…華蓮さ何だか変わった?
感情を表に出さなくなったっていうか…
昔はもっと感情を表に出てたような…」
お母様やお父様がなんかあったりしたら
すぐ泣いていたような…
「ううん…そんなことないよ
泉月兄さん来るまで泣いてたし」
そっか…
まあ別に少し大人になっただけだろうから気にしてないけどさ
「もうすぐ着くぞ…都に」
俺は、あともう少しのところを全力で走ったやはりもう始まっていた
「華蓮手を貸してくれないか?」
「言われなくたって!兄さん降りるからそのまま離して」
大丈夫か?と少し思ったが俺はそのまま手を離した
華蓮は綺麗に着地し、俺と走っていた
「さぁ…行こうか!」
「えぇ!」
これが初めの戦いだった
華蓮が死にそうな時には必ず助けに行くと誓って
俺は、走った
嘉一目を覚ましてくれ
お前がしたいことはこんなことじゃないだろ?
「嘉一」
俺は、小さく大好きな弟の名を呼んだ…
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ラズロ伯爵家の娘リリアは、幼い頃に伯爵家の危機を次々と予言し『ラズロの予言姫』と呼ばれているが、実は一度殺されて死に戻りをしていた。
二度目の人生では無事に家の危機を避けて、リリアも16歳。今宵はデビュタントなのだが、そこには……。
『お前を愛する事はない』なんて言ってないでしょうね?
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政略結婚で妻を娶った息子に、母親は穏やかに、だが厳しく訊ねる。
「『お前を愛する事は無い』なんて言ってないでしょうね?」
婚約破棄から50年後
あんど もあ
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王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。
そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
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突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
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何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
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三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
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戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
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これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
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妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
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