ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。

米糠

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 村の宿屋「月影亭」の一室――

 依頼の報酬でいつもより良い部屋を取った俺たちは、疲れを癒やすために夕食後のまったりタイムを満喫していた。

「は~っ、風呂気持ちよかった~。今日だけで3年分くらい働いた気がする~」
 沙耶がベッドに飛び込むように転がりながら、タオルのままの姿でごろごろしている。

「それ、毎日言ってるよね?」と純子が呆れ顔で返す。

「えへへ、でも今日のはマジだから!  脚が棒!  杖使いたいくらいだもん!」

 俺は窓辺に腰かけながら、百点カードを確認していた。百点ポイント550。大量に魔獣を倒し『買い取り』に回した成果である。

 ポイントで何をしようか? どう使おうか。まず魔法効果を200加算は確定だよね。他と揃えたいし、ヒールの回復量にも影響するし。

 さて、残り350ポイント、何か良いスキルはないかなと探していると、目に留まったのが__

 必要ポイント200のスキル 『完全見切り(30秒)』;30秒の間敵のが動きがスローモーションのように見える。発動中、自身の速度は相対的に上昇し、敵の攻撃を「見てから避けられる」状態に入る。

 戦っている時のあの集中した感覚。ゾーンに入ったようなあの状態、あれをスキルでいつでも再現できるなら――これにしよう。俺は迷わず、完全見切りに200ポイントを投資した。

 残り150……これは貯めといて、何か後でスキルを覚えればいいかな。

 現在のステータスは、こうなった。


 百点ポイント150、銅級、冒険者レベルE、
 ステータス、HP:200/200 MP?/? 
 攻撃力:209 魔法効果:215 防御力:200
 速度:284 知力:200 器用:200、
 力の一撃、完全見切り、ヒール


 まあ、良いんじゃないか?

 俺の行動を何してるのかなと有紗が見つめていた。

「……俺、ちょっとは冒険者っぽくなったのかな」
 呟いた俺に、有紗がそっと微笑む。

「ちょっとどころじゃないよ。今日の戦い、見てて本当にかっこよかった」
 その言葉に、思わず耳まで赤くなる俺。でも、有紗のほうも同じくらい顔を赤くしていた。

「わ、私、尊敬してるって意味で言っただけだからね!? そういうんじゃなくて、あの……えっと……」 

「ふーん?」と純子がすかさずニヤニヤ顔で割って入る。

「なんか、告白っぽく聞こえたけどなあ?」

「じ、純子ぉぉぉぉ!!」
 真っ赤になって枕で顔を隠す有紗。その姿を見て、沙耶がケラケラ笑う。
 そこに明が割り込んでくる。

「ところでさ! 卓郎」

「ん?」

「俺たち、次は『霧の谷』なんだろ?  だったらさ――もっと装備強化したい。俺のロングソード、今日の戦いで結構キツかったし、卓郎のミスリルソード見てると……正直、羨ましい」

「確かに……強敵が続くなら、強力な武器が欲しいよね」

「それに、防具もな!  今日の爪、ギリギリだったぞ!  俺、次の一撃でヘソから真っ二つになってたかも!」

「それ言うな!  イメージ湧くだけで気持ち悪いわ!」と純子がツッコミ。

「でも実際、あぶなかったよね……」と有紗がしみじみ。

「『お取り寄せ』でここでも武器とか防具とか買えるんだよな?」
「うん。まあね」

 今日、一人82万ゴルドも稼いだし、ここのところの稼ぎも合わせれば、かなりの金が貯まっているはず。明もミスリルの剣が欲しいのなら、運が良ければ買えるかもしれない。

「探してみるかい?」

「いいのか?」

「じゃあ、俺の肩に手を置いて、『お取り寄せ』画面を一緒に見ようぜ」

「おう。さんきゅう」

 俺の体に触れていれば、俺の見ているメッセージボードを見ることができるようになるのだ。

「これミスリルせいだけど200万ゴルドだね」

「ロングソードだし、良い感じだけど200万ゴルドは全財産だな。うーん、悩む」

 明はしばらく考えた末に購入を決めた。

 俺は明から大金貨20枚受け取ってミスリル製ロングソードを取り出す。
 百点ポイントが200加算され350ポイントに増えている。毎度あり明。

 明は大喜びでミスリルソードを振り回していた。


 その夜――

 窓の外から微かな音が聞こえ、俺はふと目を覚ました。虫の鳴き声に紛れるように、草を踏むわずかな音。カチャリ……と金属の擦れる音まで聞こえてくる。

「……ん? なんか音、しなかったか?」

 寝ぼけた頭が次第に冴えてくる。何かがおかしい。俺はゆっくりとベッドから起き上がり、足音を殺して窓際へ近づく。そっとカーテンをめくると、月明かりの中、ひとつの黒い影が荷物袋を漁っていた。

(……泥棒!?)

 心臓が跳ね上がった。けれど、ためらっている暇はない。

「てめぇ、泥棒か!?」

 思わず声が出た瞬間、人影がこちらを振り返り、次の瞬間には森の方へ走り出していた。

「おい、待て!!」

 すぐに俺も追いかける。部屋の騒ぎで起きた仲間たちが、驚いた顔で飛び出してくる。

「なに!?  泥棒!?」 

「追うよ!  沙耶、足止めできる!?」 

「任せてっ!」

 月明かりの下、逃げる黒ずくめの男。森の手前で沙耶が弓を構え、ピシッと音を立てて矢が放たれる。男の足元に突き刺さった矢が地面を抉り、驚いた男はバランスを崩して転倒した。

「今だっ!」

 俺は猛スピードで駆け寄り、跳び蹴り一閃。腹にズドンと一撃を入れると、男はうめき声を上げて地面に倒れたまま動かなくなった。

「……チッ、クソッタレが!」

 明が荒く呼吸をしながら、男の頭巾を乱暴に引き剥がす。現れたのは、昼間見かけた男の顔だった。

「……あれ、こいつって……村の、雑貨屋の店番やってたやつ?」

「うそ……なんで……?」

 有紗の声が震えている。

 明かりを持ってきた純子が照らすと、顔を背けるように目を伏せる男。その姿はみすぼらしく、昼間の印象とはまるで違って見えた。

「……言い訳なんか、聞きたくないけどな」

 明が呆れたように言うと、男が唇を噛み締めながらぽつりと漏らす。

「……こんな村で、あんたらみたいな奴らが何百万も稼いでるの見たら、我慢できなくなったんだよ……っ」

 誰もが一瞬、言葉を失った。

 男は続ける。

「こっちは一日働いても金貨1枚ももらえねぇんだ……それなのに、お前らは……金貨50枚も報酬で貰ったって、村の噂になってた……! ……つい……!」

 明が眉をひそめ、低く唸るように言う。

「我慢できない? だから盗むのかよ? 働いて、正々堂々と稼げよ」

「……分かってたよ。でも、欲しくなっちまったんだ。金、装備、力……俺にもあったら、って……!」

 その姿は、哀れだった。情けないけれど、人間の本音だった。

 やがて、村の警備隊と共に村長が駆けつけてきた。犯人を確認すると、村長は深く息を吐き、誰よりも情けなさそうに顔を歪めた。

「……こんなことが起きてしまうとは……本当に、申し訳ない……!」

 村長は泥棒を引き取り、我々に向き直ると、深々と頭を下げた。

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