ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。

米糠

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 俺たちは、ダンジョン最奥の財宝の間からダンジョンの入り口へと戻ってきた。

「それじゃあ、転移魔法で王都に行こう」

「頼むぜ、卓郎」と明。
「卓郎って、色々な魔法が使えて、ほんとに便利ね」と純子。
「みんなの役に立てて、嬉しいよ」
「ありがとうね。卓郎君」
「たっくん。ずーっと一緒にいようねー」

「それじゃあみんな、俺につかまって! いくよ! 『ポータルシフト』!」

 光の揺らめきとともに、俺たちは王都グランティアの中央街区へと転移した。

 視界が開けた瞬間、景色が一変した。石畳の広場には多くの人々が行き交い、馬車の車輪が響き、商人たちの威勢のいい呼び声が飛び交っている。露店の香辛料や焼き菓子の匂いが混じり合い、鼻をくすぐった。

 目を上げると、王都特有の高い建築が並び、赤煉瓦の屋根と尖塔が空に映えていた。遠く、王城の白亜の塔がそびえ立ち、まるでこの国の誇りを象徴するかのようだった。

「うわー、やっぱり王都って人多いね!」
 沙耶が目を輝かせながら見上げる。高層の建物が立ち並び、遠くに見える王城の塔はまさに栄華の象徴だ。

 明は腕を組んで周囲をぐるりと見回している。
「ふっ、相変わらず騒がしい街だな。こういう喧騒も嫌いじゃないぜ」
 その口ぶりは偉そうだけど、どこか楽しげだった。

 純子は眉をひそめつつも、目線はしっかり周囲の動きに向けている。警戒心が強いのは彼女らしい。

「活気があっていいところだね」
 有紗は目を細め、遠くの広場で大道芸をしている一団を見て微笑んでいた

「じゃあ……行こうか」
 俺は頷いて、王都中央広場の一角にある「王立公認オークション会場」へと足を踏み入れた。

 *

 オークション会場は想像以上にきらびやかだった。

 豪奢なシャンデリアが天井から吊るされ、赤い絨毯が敷かれた床には貴族や有力商人たちが思い思いの姿で集まっている。俺たちみたいな冒険者の姿は少数派だったけど、ギルドを通じて登録済みの身分があるおかげで、会場の一角に堂々と座ることができた。

 そして、まずは宝の出品手続き。

 俺が〈ストレージ〉から一つずつ、あの宝部屋で手に入れた宝物を取り出していくと、係員の目の色が変わった。

「こ、これは……一つ一つが国宝級の財宝だ……!」

 黄金の冠、魔導貴族の古代装飾箱、未知の魔法陣が刻まれた魔導書、金貨に金塊、それに、魔力を帯びた宝石の数々。どれもこれも、出品リストに並べた瞬間、即座に評価がついた。

「おい、あれ見ろ。あの剣、光ってるぞ……」
「古代グラント王国の王印付きじゃないか!? 本物ならとんでもない値が……!」

 ざわつく会場の中で、いよいよオークションが始まる。

 *

「さあ、皆さま。本日の目玉は、冒険者〈フォーカス〉によるダンジョン最深層からの発掘品でございます!」

 拍手と共に、司会者の声が響き渡る。

 一品目。魔力触媒宝石【蒼星の涙】。

「開始価格50万ゴルドから!」
「100万!」
「150万!」

 会場の空気が、一気に熱を帯びていく。競り合いは激しく、やがて落札価格は500万ゴルドに達した。

「……やば、あれ一個で村が買えるかも」
 沙耶がぽかんと口を開ける。

 二品目。魔導貴族の装飾箱。

 三品目。王印付きの儀式剣。

 次々と競り落とされていき、合計額は想像以上に膨れ上がっていく。

「すげーな、これ……マジで、しばらく働かなくていいんじゃないか?」
 明が笑いながら俺の肩を叩く。

 純子も腕を組みながら小さくうなずいた。
「これだけあれば、一生贅沢できるわね」

「でも、たっくんが全部管理してくれるって信じてるよ!」
 沙耶がにっこり笑って俺に抱きついてきた。いや、ちょっと恥ずかしいからやめて……。

「私も……無駄遣いしないって信じてるから」
 有紗がふわっと微笑んだ。やっぱり彼女の言葉には重みがある。


 最終的に、売却額の合計は――

 驚愕の「2000億ゴルド」越えだった。

 係員も思わず何度も計算し直し、「間違いありません」と言ったとき、俺たちは顔を見合わせて、しばし呆然とした。

「……と、とりあえず、みんなにちゃんと分配しよう。一人400億か?」
 隣で、明がにやっと笑う。

「……これは、とてもその場で持ち帰れる額ではありませんね」

 オークション会場の係員が、渋い顔で言ったそのときだった。

「失礼。王都中央銀行より参りました。お取引の内容を確認させていただきたく」

 きっちりとした身なりの中年男性が、数人の護衛を伴って会場に現れた。背筋の伸びた態度に、まるで貴族のような品格がある。

「我々としても、こうした高額取引には迅速な対応が必要ですので」

 その言葉に、俺たちは思わず顔を見合わせた。

「……まあ、確かにずっと俺が持ってるわけにはいかないもんな……」と俺。

「この金を持ち歩いたら、確実に命狙われるわね」と純子。

「そもそも俺たち、金持ちムーブに慣れてねえしな!」と明が笑う。

 それを聞いた銀行員はにこやかに微笑んだ。

「ご安心を。我々が全額お預かりし、必要に応じて口座から引き出せるように手配いたします。もちろん、王国認可の元、利息も付きますし、資産運用のご相談も承ります」

「……利息? 資産運用?」と沙耶が首をかしげる。

「なにそれ、金が勝手に増えるの?」と有紗が控えめに聞いた。

「ええ、預け方によっては、月に十万ゴルド単位の利子も不可能ではありません。もっとも、リスクのある投資商品もございますが」

「ふむ……悪くない。金が金を生むのか。俺の剣が切った敵からは何も生まれないけどな」
 明が妙な感想を漏らしている。

「……じゃあお願いしよう。全額、みんなの名義で預けて、口座もそれぞれ作ってほしい」
 俺が代表してそう言うと、銀行員はにこりと笑った。

「かしこまりました。それでは皆さま、こちらへどうぞ。ご本人確認と署名をお願いいたします」

 広い控室に案内され、それぞれが名義を書き込み、指印を押していく。慣れない手続きに、沙耶は途中でペンを落としたり、有紗が何度も読み返したりしながら、ひとつずつ丁寧に進めていった。

「これで……全部、終わったのか」
 大金が銀行の係員によって運ばれていくのを見届けながら、俺はふと深いため息をついた。

「たっくん! お祝いに、みんなでケーキ食べにいこーっ!」
 沙耶の声が空気を明るくする。

「おう! いっちょ、王都で豪遊と行こうぜ!」
 明が大きく笑った。俺たちは顔を見合わせて、再び笑った。
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