ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。

米糠

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 俺たちは王都グランティアの中央街区にある高級店が立ち並ぶ「黄金通り」へと繰り出した。

「うわー! このケーキ屋さん、窓から見えるケーキが光ってるーっ!」
 沙耶がショーウィンドウにぴたっと張り付いて、目を輝かせている。

「これは『聖なる三層ケーキ』ってやつだな。素材に光の果実とか使ってるらしいぜ」
 明がパンフレットを読みながら、ドヤ顔で解説する。

「お、お値段が……一切れ三千ゴルド……!? 本当に食べるの?」
 有紗がおそるおそる言ったが、

「いいじゃない、今日は特別だよ」
 純子が笑って、有紗の肩を軽く叩いた。

「よし、じゃあ全種類一つずつ頼もう! あと飲み物は……俺はミントラテ!」
 俺が言うと、店員がやや緊張した顔でうなずいた。

「か、かしこまりました……。五名様で『聖なる三層ケーキ』全種と、ドリンクセットですね……!」

 豪華な内装の喫茶室に通され、ふわふわのソファに腰を下ろすと、目の前に宝石みたいなケーキがずらりと並べられた。

「はむっ……んん~~~っ! なにこれ! 口の中でふわって溶けて……最後に光の香りがする~っ!」
 沙耶が夢見心地で口元を押さえる。

「光の香りってなんだよ……でも、うまいな、これ。甘さが濃いのに、全然しつこくねぇ」
 明がフォークを止めずに、すでに三つ目に突入している。

「うん……上品な味。どこか懐かしい感じもする」
 有紗が小さく微笑みながらティーを口にした。

「私、この味……子どもの頃に夢見てたやつだな……」
 純子がぽつりと呟き、ふと笑った。

 俺もひとくち食べてみると――なるほど、これは、まさに「ご褒美の味」だった。

 ケーキのあとは、ブランド装備の専門店へ。

「見てくれこのマント! 裏地が魔獣の絹らしいぞ! 魔法耐性付きだ!」
 明が全力で試着している。店員がひやひやしながら見守っているのはご愛敬。

「これ……弓用の手袋、すごくフィットする。しかも、射撃精度を自動補正……!」
 純子が目を見開いて真剣に品定め中。

「こっちは……携帯用のポーション精製器具!? すごい、コンパクトで効率的……!」
 有紗も道具屋のブースで小さな機械に夢中だ。

「たっくーん! これ見て! 『しゃべるぬいぐるみ・ねむりドラゴン』だって! 可愛い~~!」
 沙耶が大きなぬいぐるみを抱えて目をきらきらさせている。

 ……結局、俺も釣られて小さな懐中時計型の魔道具を買ってしまった。時間と気温、魔力量が計れる優れもの。

 夕方になって、俺たちは街角の屋台村に繰り出し、今度は庶民的な「食べ歩き豪遊」モードに突入。

「うっわ! この串焼き、肉汁が止まらねえ!」
 明が豪快にかぶりつく。

「スパイスが効いてておいしいね。これで二百ゴルドなんて安すぎる」
 有紗が頷く。

「たっくんたっくん! 焼きたてのチーズまん、口に放り込んで!」
「えっ、ちょ、熱っ! うまっ……でも熱っ!」

「ふふっ、相変わらず反応が面白い」
 純子が肩をすくめながら、笑顔を浮かべる。

 夜の王都は、灯火と笑い声に包まれていた。
 俺たちは満腹で、買い物袋をいくつも抱えて、ひとまず広場の噴水前で休憩。

「……なんか夢みたいだな」
 俺が呟くと、明が隣で「うん」と頷いた。

「でもよ、ここまで来たのは、全部俺たちがやったことだぜ? ダンジョンも、魔物も、宝も――全部、勝ち取ったんだ」

「……そうだね」
 純子が空を見上げた。

「たっくん、これからもいっぱい冒険しようね!」
 沙耶の笑顔が、夜空よりもまぶしく見えた。

「うん。みんなで、もっともっと遠くへ行こう」

 俺たちは笑い合いながら、次の冒険を思い描いていた。



 夜の王都グランティア。高級店が立ち並ぶ中央街区の「黄金通り」は真夜中になっても活気に満ち、行き交う人々の声や足音が石畳に響いていた。

 食べ歩きを終えた卓郎たちは中央通りを抜け、宿屋が立ち並ぶ通称〈休息の通り〉へと足を運んでいた。

「うー……歩き疲れた……。一刻も早くベッドにダイブしたい……」
 沙耶がふらふらと卓郎の背に寄りかかる。

「いや、さっきまで、ノリノリだっただろ」
 明が呆れたように言いつつも、若干足取りが重いあたり、彼も疲労しているようだった。

「でも、ちゃんとしたお風呂がある宿がいいよね……」
 有紗が小声でつぶやく。

「同感。あと静かな部屋じゃないと休めない」
 純子が淡々と付け加える。

「じゃあ、前にロメオさんが言ってた宿にしてみる? たしか……『旅人の羽根亭』って名前だったはず」
 卓郎が記憶を辿るように言った。

「あー、あそこか。商人とか冒険者向けだけど、設備いいって評判だったよな」
 明がうなずいた。

 そうして路地を一つ曲がると、洒落た木造二階建ての建物が目に入った。
 入口の上には、白い羽根の模様が描かれた看板が揺れている。

 ──〈旅人の羽根亭〉。

「……あ、ここ! ここだよ!」
 沙耶がぱっと目を輝かせ、駆け足で玄関に向かう。

 卓郎が扉を開けると、木の香りが心地よく広がる。
 奥には受付カウンターがあり、年配の女性がにこやかに迎えてくれた。

「いらっしゃいませ、羽根亭へようこそ。今日はご宿泊ですか?」

「ええ、五人なんですが、空いてますか?」
 卓郎が丁寧に尋ねる。

「はい、大丈夫ですよ。ちょうど五人用の大部屋がひとつ空いております。お風呂は共同になりますが、温泉水を使っております。一泊一人5000ゴルドになります」

「よっしゃ、それでお願いします!」
 沙耶が即答し、他の面々も頷いた。

「お支払いはまとめて?」

「俺が払います」
 卓郎が財布を取り出し、金貨を渡す。

 受付の女性が柔らかく微笑んで言った。

「ありがとうございます。では鍵を──こちらです。二階の一番奥、『白羽の間』となっております。ごゆっくりお休みください」

 一行は廊下を抜け、木の階段を登って部屋へ向かった。



「うわ、広っ……! ベッドふっかふかーっ!」
 沙耶が部屋に入るなり、ダイブした。

 白を基調とした室内には五つのベッドと、ちょっとしたテーブルセット、窓辺には椅子とランプが並んでいる。

「……いい部屋だな。落ち着くぜー」
 明が壁にもたれかかって大きく息を吐く。

「ねぇ、有紗、一緒にお風呂行かない?」
 純子がぽつりと誘う。

「うん、行く。ゆっくり温まろ」

 ふたりがタオルを持って出ていく。

「……さて、俺もシャワーくらい浴びてこようかな」

 俺は軽く微笑んで、部屋を後にした。
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