ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。

米糠

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 森に分け入った俺は、『魔力感知』と『気配察知』の魔法を発動する。『魔力感知』は周囲の魔力を感知して魔獣の所在を認識する魔法であり、『気配察知』より広範囲で魔力を持つ生き物の所在を認識できる。『気配察知』は『魔力感知』より狭い範囲だが、動くものを感じ取る魔法である。

 数百メートル先にそれらしい魔力の影を発見、それ以外にも認識範囲には複数の魔力の影は感じているが近くから潰していけば、間違いない。おそらく、縄張りというものがあるだろうから、その影を狩っておけば十分だろう。

「あっちか……」

 俺は魔力の影を目指して森の中を進み始めた。

「あそこにいるな。アースバインド」

 アースバインドは、地面から泥の手を伸ばして敵の足を拘束する魔法だ。魔力の影が泥の手に捕まっているはずだ。

 近づいてみると体調2メートルほどの猪型魔獣が拘束されていた。

「ロックランス!」

 地面から尖った岩の槍が突き上がり、喉元から貫く。一撃で猪型魔獣は、絶命した。

「百点カード!」

 現れたカードの『商業ギルド』の枠をタップして続けて『買い取り』の枠をタップし猪型魔獣を現れた次元収納口を持っていき収納する。

 画面の所持金表示に20万ゴルドが追加され587万5200ゴルドに変わった。

「また命を奪っちゃったな。これも弱肉強食ってことで成仏してもらうしかないか……」

 俺は、魔獣が元居たところに手を合わせて冥福を祈った。しばらく祈ったのち、踵を返して畑を目指す。畑に戻ったら水魔法でキャベツに雨をかけてやろう。

 畑に戻ると誰か俺の畑を眺めている男がいる。黒っぽい外套に、つばの広い帽子。農業に関係ありそうには全く見えない。俺は警戒しつつ近づいて話しかける。

「何か、ごようですか?」
 男は顔を上げ、落ち着いた口調で言った。

「こちらに〈聖光の戦士〉の称号を持つ卓郎さんという方はいらっしゃりませんか?」

 思わず一瞬だけ間を置いてしまう。俺の、あまり知られたくない肩書きだった。

「卓郎は僕です。その称号もあってます」

 男はうなずき、懐から封書を取り出した。白地に金の封蝋――教会の正式文書だ。
「教会からこのお手紙を預かっております。どうか教会にご協力お願いします」

 その言葉を聞いて、俺の脳裏に嫌な予感が走った。これは厄介な要件の呼び出しだろうなと。
 俺は手紙を受け取りその場で目を通す。
 文面を目で追うたび、過去の記憶がちらついてくる。神殿、封印、血の匂い。
 あの戦いから、もう何年経ったっけか。

「あなたは教会の関係者ですか。お返事はあなたに預けてよろしいので?」

「承ることは、やぶさかではございません」

「では招集に応じますとお伝えください。集合日時に遅れないようにお伺いします」

「はい。そうお伝えしておきます」

 男はそういうと会釈をして帰っていった。

「さて、まず畑に水を撒こうかな。その後しばらくの間、畑は諭吉さんに頼んでみよう」

 手紙にはこう書かれていた。
 ――“神聖フェルミナ王国の聖都・教会本部の大神殿へ、七日以内にお越しください。封印に関わる戦力として、あなたに大きな期待を寄せています。”――

「聖女様や、勇者様たちの補強戦力として期待されてるのかなあ? 引退した冒険者の俺をここまで呼びに来るなんて、かなりやばい状況かもしれないな。急いで行ってやった方が良さそうかな」
 畑に水をまきながら、卓郎は独り言ちた。

 水をまき終わると諭吉さんのところを再び訪れる。

「諭吉さーん。ちょっとお願いがあるんですが?」
 
 軒先から声をかけると、中からゆっくりと老農夫が顔を出した。
 麦わら帽子を外しながら、俺の姿に目を細める。

「ああ、卓郎くんかい。魔獣はてごわいかね?」

「いえ、魔獣は狩ったんですけど、……ちょっと、教会から呼び出しがかかりまして」

「教会? そりゃまた、そりゃ穏やかじゃないね」

 俺は苦笑いで返し、事情を簡単に話した。
「昔、封印の手伝いしたことがあって、またということらしんですが、しばらくここを離れることになりそうなんで畑の世話をお願いしたく……」

「どのくらいかかるんだい?」

「さー、まったく見当がつかないんです。たぶん1か月はかからないと思いますが、命がなくなったら帰ってこれませんし。その時は、畑は諭吉さんの者にしてください」

 そう言うと、諭吉さんは手にした帽子を軽く握りしめ、しばらく何も言わなかった。
 やがて、ゆっくりと口を開く。

「けっこう危ないんだね。封印ってのは」

「……まあ、冒険者の仕事は、だいたい危ないですよ」

 言ってから、自分の言葉がどこか虚しく響いた。

「そうだろうけど、そこは安全マージンってのをとるとか、自分の実力に会った仕事を選ぶとか……あるだろ、戦争じゃあるまいし、死にに行くわけじゃないんだから」

「そうなんですけど……」
 俺は視線を畑に戻した。

 この静かな場所を離れ、向かうのは、瘴気漂う“封印”の現場。
 それは、かつての戦いの続きのようなものだ。

 そして、たぶん――俺が戻れる保証は、どこにもない。
 俺は、ある意味戦争のようなものかもしれないなと暗くなった。
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