ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。

米糠

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 俺たちの目の前には鬱蒼とした森林が広がっていた。その森の奥に《エイル断層帯》という高魔力地帯が存在し、強力な魔獣や珍しい植物が存在する。もちろん、《エイル断層帯》での活動には危険が付きまとうためベテランの冒険者でもあまり入りたがらない場所である。

「さあ、魔獣の気配に注意して、《エイル断層帯》をめざそうぜ」

「はーい。う入っていくんです?」

「入りやすいところから、魔獣に気を付けて奥を目指そう。魔力が濃くなってきたら《エイル断層帯》だと思って《星露草》もさがすんだよ」

「了解です。《エイル断層帯》って、ここからけっこう奥ですよね?」

「30分くらいかかるらしいよ。たぶん草木の様相も変わってくるんじゃないかな。魔獣も強くなってるだろうし」

「えー、脅かさないでくださいよう」

「脅しじゃないぞ。ギルドでも、『《クラック・トラッパー》っていう地中型魔獣が棲みついてるから気を付けろ』って言ってたじゃないか」

「分かってますよう。卓郎さんの意地悪ぅ」

 俺たちは、リーナを先頭に森の奥に分け入った。
 森の奥へ踏み込むと、しっとりとした湿気と土の匂いが強まってくる。足元には奇妙な形のキノコや、光る苔のようなものも生えている。

「うわ……足、滑りそうです」

「気を付けろよ。ここは腐葉土が厚いから、ぬかるんでるんだ。」

「は、はい……あっ! ひゃっ!」

 リーナが足を滑らせそうになり、慌てて木に手をついた。俺はすかさず背中を支えてやる。

「ったく……大丈夫か?」

「だ、大丈夫ですっ……! ありがとうございます……」

 歩みを進めるうちに、ふいに獣の気配を感じる。

「ん、リーナ、止まれ!」

 俺が声をかけると、彼女の目の前の茂みがガサガサと揺れた。

「な、なに!?」

 ずるり、と現れたのは体長半メートルほどの四足獣――毛並みが禿げかけ、牙だけが異様に発達した《フォレスト・ドッグ》だ。

「魔獣ですね……!」
「そうだ、Dランク級の雑魚だけど、群れだったら厄介だ。リーナ、一撃で沈められるか?」

「やってみます!」

 リーナは杖を構えて詠唱に入る。

「――ウィンドカッター!」

 風の刃が閃き、フォレスト・ドッグの首を浅く切った。だが倒れない。

「っ、もう一発!」

「慌てるな。距離を取れ!」

 俺が声をかけると同時に、後方からもう一匹が飛びかかってきた。

「こっちは俺に任せろ!」

 俺はすかさず精錬銀のミスリルソードを抜き、突進を受け流しながら脇腹に一撃を入れる。フォレスト・ドッグは悲鳴を上げて転がった。

「リーナ、落ち着け! 集中して!」
「はい――ウィンドカッター!!」

 今度はしっかり狙いを定めた風刃が、最初の個体の首筋を深く断ち切る。

「やった……倒しました!」
「よし、他はいないか?」

 しばらく耳を澄ませたが、茂みは静まり返っていた。俺はスキル魔力感知と気配察知で安全なのは分かっていたが、リーナに確認させるのが重要なのだ。倒したフォレスト・ドッグを『買い取り』に出し、二匹で16万ゴルドに換えながらリーナの様子を確かめる。

「……ふぅ、いないみたいですね。」
「フォレスト・ドッグがいるってことは、もう少し先に巣があるかもしれない。油断するなよ。」
「う、うん……やっぱり魔獣って怖いです。」

 そんな会話を交わしながら、さらに森の奥へ進む。

 次第に空気が重くなり、肌を刺すような魔力の濃さが伝わってくる。

「……ここ、さっきよりずっと空気が重い気がします」
「間違いない。もうすぐ《エイル断層帯》の領域に入るな」

 そのとき、リーナが足を止めて指さした。

「卓郎さん、あれ……!」

 苔むした倒木の根本に、薄い光を放つ青白い花のような植物。

「……星露草だ」

 だがその直後、足元の地面が微かに揺れた。

「リーナ、動くな!」
「え……?」

 ずず、と地面の奥からうねるような気配。

「これ……まさか《クラック・トラッパー》?」
「たぶんな。地面を探ってる。振動を与えるな」

 リーナが息を呑むのが伝わった。

「ど、どうします……?」
「まずは星露草を取る。動くと狙われるから、極力静かにな」
「し、静かに……静かに……」

 小さく震えるリーナの手を、俺はそっと押さえて囁いた。

「大丈夫。俺がカバーする」
「……はいっ」

 ふたりはそっと呼吸を整え、薄青く光る星露草へと慎重に近づいていった。

 リーナが星露草に手を伸ばし、慎重に根元から掘り起こす。極力振動を立てぬよう、息を殺して、まるで卵を扱うようにそっと。

「……取れましたっ」

 リーナが小声で報告する。掌にのせられた星露草は淡く輝き、朝露を思わせる小さな花弁を震わせていた。

「よくやった。落とすなよ。とりあえず一つは確保だな」

 俺がうなずいた直後――

 ズドンッ

 地面が大きく跳ねた。

「っ! 動いたか!」

 リーナの足元、地面が裂けるように開き、暗灰色の巨大な蟲が飛び出した。岩のような甲殻を持ち、節足の脚が地面を穿ち、無数の複眼がこちらを見据えている。胴体は五メートルを超え、下半身はなお地中に潜ったままだ。

「――《クラック・トラッパー》!!」

「わっ、こ、こわ……! ひっ……!」

「リーナ、後ろに下がれ!」

 俺は咄嗟に魔力を集中させ、片手を振り上げる。

「ファイアボール!」

 炎の球体が爆ぜ、赤い炎が《クラック・トラッパー》を包んだ。だが、《クラック・トラッパー》は強力な甲殻に身を包んだ防御力の高い魔獣だ。

 案の定、甲殻がきしむ音と共に、平然とこちらへ向けて突進してくる。

「くっ……!」
 ミスリルソードで受け流しながら、後退して間合いを取る。だが重い。とにかく重い。

「卓郎さんっ、なにか援護できませんか!?」

「リーナの魔法じゃ致命傷を与えるのは無理だ。攻撃すれば、あいつは地中に逃げる。逃げられたら、また地面の下から襲ってくる。――動きを止めるんだ!」

「動きを……?」

「足だ! 脚の関節部を狙え!」

「わ、わかりましたっ!」

 リーナが杖を構える。

「……ウィンドカッター!」

 《クラック・トラッパー》の左前脚の節に風の刃が命中する。が、完全に止まりはしない。だが――

「今だっ!」

 俺は脚のつけ根を狙って跳び、ミスリルソードを深く突き立てた。

 ガンッ!
 甲殻が硬い。刃は深くは通らないが、動きが鈍る。

「リーナ、もう一発!」

「はいっ! ウィンドカッター!」

 今度は反対の脚。ついに《クラック・トラッパー》の巨体が地面に倒れ込んだ。

「終わりだ――!」

 俺は気合を剣に集中させる。

「鋼壁斬!!」

 渾身の振り下ろしで、クラック・トラッパーの頭部を断ち切る。

 しばらくして、巨体がピクリとも動かなくなり、森が再び静寂に包まれる。

「…………」

「ふ、ふえええ……心臓止まるかと思いました……!」

 リーナが尻もちをつきながら、ようやく息をつく。俺はにっこり笑って手を差し出した。

「よくやった。正確な風刃のコントロールだったよ」

「ほんとに怖かったですけど……なんとか……!」

 俺は《クラック・トラッパー》の死骸を『買い取り』に出す。牙と甲殻、特に牙は魔道具の素材として高値で取引される。60万ゴルドで引き取られた。

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