十魔王

nionea

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不実の王

↑エピローグ

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「大丈夫かい?」
 耳を擽るような、囁く声に起こされ、博士は目を覚ます。
「陛下…」
 ぼやけた視界で、不実の王の姿を見とめ、呟いた。
「大丈夫そうだね」
「…はい」
 蚊の鳴くようなその返事に頷いて、不実の王の姿が消えた。
(大丈夫です)
 体を内側から溶かされ、捕食された。
 それでも、死にはしない。
(この程度の苦痛で…許されるものか………)
 何度でも、何度でも、繰り返しこの身で感じなくてはいけない。
 己の内側が溶けゆく痛みを、どうあっても抵抗のできない捕食者に食われゆく死への恐怖を、何度だって、刻み付けなくてはいけない。
「………父さん」
 それが、博士の贖罪なのだから。

□fin
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