十魔王

nionea

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荒野の王

9.

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「どうしたんですか? コータ、なんだか困ってますか?」
「いや、ちょっと、ジェンダーってものに悩んでる」
 肉体的な性差が存在し得ないならもうジェンダーに頼るしかない孝太は、心の中で女の子を頑張ってまとめようとしてる。
(俺は女の子が好き。だけど、俺の好きな女の子は………まず、認めよう。胸がある事が大事だ。大きくなくていい。でも男の胸筋とは違うやわらかな膨らみがあると嬉しい。そうだ。嬉しい)
 心配そうにしているアリェを見返す。
「だからやっぱりアリェは女の子だ」
「?」
(穴がなくてもこんなに可愛いんだから女の子だ)
 間違いない、と自分に言い聞かせて、孝太は思考を続ける。
 一人で腕を組んでうんうんと小刻みに頷く孝太をみて、アリェは少しの間首を捻っていたが、考えるように視線を宙へ彷徨わせた。
 孝太がしばらくして思考から現実に戻ってくると、今度はアリェがぼうっと考え込んでいる。ひらひらとその視界で手を振ると、はっと孝太の顔を見つめた。
「考え事?」
「コータの世界の事を考えていました。アリェはアリェだけしかいないので、ちょっとよく解らないけど。羨ましい気がします。同じ生命がいっぱい群れているというのは、どんな感じですか?」
「え、どんな感じだろう…説明が難しいなー。でも、俺とアリェが一緒に居るのとそう変わらないと思うよ?」
「? コータとアリェは違う生命です」
「うん。でもさ、人間も、体の特徴とかは一緒だけど、違う人間なんだよ。一人一人それぞれ考え方とか感じ方とかがあって…そういう違いのあるのが集まってるって事だから。ここでは特徴が大きく違うのかもしれないけど…みんな荒野の魔王の力から生まれたんだろ? なら、きっとみんな魔王の子供で、みんな兄弟で、良いんじゃないか?」
「陛下の子供」
 アリェはキラキラした目で孝太を見上げると、
「アリェは兄弟が居ます!」
と、言って嬉しそうに部屋を出ていった。
 楽しそうな少女を見送って、孝太は溜息を吐く。
(兄弟という概念を理解してもらったのは良いけど…アリェにお姉さんはいるんだろうか………俺、ここきて人型なのって巨人とアリェと王と妖精しか見てない。言葉を話したのはアリェと魔王だけだし…。)
 ぐったりと座面に寝そべって、ふと思いつく。
「あれ? でも、魔王ってどう考えても男なんじゃ………」
 女性はいないのに男性はいるのか、なんだその不公平、と思わず愚痴が口から溢れる。
「呼んだか?」
「呼んでないです。マジで」
 何でこの人部屋入る時ノックしないんだ。そんな事を思いつつ身を起こす。近頃はもう恥じらいも消えてきたので、乱れた裾もそのままだ。
「なんか用?」
「アリェが楽しそうにしていた。面白い話をしてくれたのだろう?」
「おもしろいか、どうかは、その人次第だと思うけど…?」
 そうか、と言いながら楽しそうな顔が近付いてきて、孝太は思わず仰け反る。
「………すんの?」
「しないのか?」
「………」
 不思議そうに聞かれてつい黙ってしまう。確かに、行為を必要としているのは自分の方だが、孝太はそれしか手段がないというから大人しくしているのであって、さも当然の事のように言われると不満だ。
「したいなら、してもいいけど…」
 抵抗代わりに、主体を相手側にしてみるが、
「しよう」
と、衒いのない笑顔で言われて言葉に詰まった。
 寝そべっていた座面にそのままで伸し掛られる。
「狭い」
「うん」
「いや、うんじゃなくて、狭っ…!」
 文句を続けていたが、軽々と抱き上げられて思わず黙る。ベッドに連れて行かれながら、身を寄せた王の体温と匂いに快さを感じた。
(っ! 違う。俺は女の子が好きなんだってば!)
 うっとりしている自分に気付いて慌てて身を離そうをするが、既にベッドに転がされた。
「んぅ」
 再びのしかかられ、文句はキスに封じられる。ついこの間ファーストキスを体験したばかりだというのに、もうすっかり慣れたディープキスにまたうっとりとした表情になっていった。
 舌が口蓋をなぞるのも、絡まり合うのも、心地良い。
「はぁ…」
 息を吐いて目を合わせれば自然と次に移っていく。
 何より、孝太はそんな自分にそろそろ疑問も抱かなくなりつつあった。
(もう何か、駄目な気がする…気はするけど)
 体を撫でる手に身を任せると駄目だと考える理性は霧散していく。
「なぁ…俺ホントに力ついてんの?」
 慣れてしまった指が体の中を解す感覚に力を抜きながら、目元を腕で隠しつつ質問した。
「ああ。確実に力は溜まっている…ここに」
 汗ばむ腹の上を撫でられ、臍のあたりを押すようにされた。
「注ぎ込む度に溜まっていっているぞ」
 からかい混じりとも、朗らかな笑とも違う、食らいつくような背をゾクリとした危機感が走る笑みで言われ、孝太はぎくりと体を強ばらせた。
(何だよ…その言い方)
 腕の隙間から見ていた視線を完全に隠す。
「っぅ…」
 指が抜かれ、王の性器があてがわれた。ゆっくりと押し入ってくる熱に意識を持って行かれながら、その動きが止まるまで荒く息をする。
「な、に?」
 すっかり奥まで詰め込まれたと思っていると、顔を隠していた腕を掴まれた。
「心配するな。すぐに溜まるようたっぷりと注いでやるから」
「っ…言い方!」
 言い方に変態めいたものを感じるが、顔の良さで全てがかき消えていった事に、腹立たしさを感じる。
(ちくしょうイケメン爆ぜろ!)
 だが、最終的には格好良いと思ってしまっている自分に最も腹が立つのだった。
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