そうだ、壁になりたい ~ ゲーム世界に転生した俺 ~

nionea

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おまけ ※基本3人称

2.入学 ※

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 これから始まる四年間の学園生活に思いを馳せて、ルイは俯いたまま溜息を吐いた。
 様々な所で交流する場がある貴族子弟は、十四歳にもなれば既にコミュニティが完成している。そうした場に行く事のなかったルイ以外は。
 親し気な雰囲気で挨拶を交わし会話を始めているこれから同級生になる少年少女達をちらりと見て、避けるように端に寄った。どう話しかければいいのかなど解らない。会話どころか挨拶さえままならない。明るい日差しの中で楽しそうに笑い合う同級生達は、まるで遠い世界の物語を見るようだ。
 じわりと涙が浮かびそうになり、慌てて人気のない脇道に入った。
 脇道は両サイドに木々が茂り、正門から真っ直ぐに校舎に向かう道に比べると薄暗くなっている。一度その薄暗い中にしゃがみこむと、人気が失くなっても明るい中に出て行くのは恐ろしかった。遠くに開式の鐘を聴きながら、とぼとぼと脇道を奥へ向かって歩き出す。
 校舎とは独立した建物に辿り着くと、ドアの横に図書館と書かれているのが解った。
 日中は家の蔵書室で独り過ごす事が多いルイは、心惹かれるままに扉を開ける。司書のイースが僅かに驚いたように眉を上げたが、すぐに微笑みかけてくれた。
 年上のイースが持つ物静かな雰囲気に、ルイはほっと肩の力が抜ける。小さく会釈をして中に入り、足を奥へ向けた。本が持つ独特の匂いに心が落ち着き、目に付いた本をとって奥まった席に座る。
 夢中になって読み耽っていると、イースに閉館の時間を告げられた。
 慌てて席を立ち謝るが、相変わらず静かな微笑みが返ってくる。
「その本、借りるかい?」
「お願いします」
 カウンターの中で貸出手続きをするイースを見つめながら、ルイは心がざわついた。同級生達に感じる恐怖感とは違う。優しい年上の青年に、これから四年間は会う事ができなくなった使用人達を重ねたのだ。
 本を受け取り、会釈を返して図書館を出て行く。傾きかけた日差しに驚きつつ、急いで寮へ向かった。
 ルイが慣れない敷地内を迷いつつ寮に着くと、既に入寮のオリエンテーションは終わってしまっており、管理人が苦笑しながら部屋へ案内してくれる。大浴場の存在と利用時間の説明を受け、もし入りそびれたら上級生の部屋風呂を借りると良いとも教えてくれた。
「お手数をおかけして、すみませんでした」
 管理人は、申し訳なさに肩を竦めて縮こまるルイを見かね、手の中の本を理由に、図書館で勉強してたんだろう気にするな、と言って慰め、頭を撫で帰っていく。
 大きな手のひらの熱と抱きしめた本。ルイは震える指で扉の内鍵をかけると急いで奥へ向かった。ベッドの端に本を置き、焦りながら制服を脱いでいく。裸になる頃には、既にルイのペニスは勃ち上がっていた。
 本が、イースの優しい笑顔を思い起こさせ、イースと先ほどの管理人の存在が使用人達を思い起こさせる。そして、管理人が与えてくれた大きく温かな手のひらの体温が、彼らと過ごした日々をまざまざと体に呼び覚ましたのだ。
「っんぅ」
 ルイはベッドの上で膝立ちになると、使用人達との夜を思い起こしながら、自分の体を慰め始める。
『上手だ、ルイ』
 まず、右手指を口に含み、左手を胸に這わせ、音を立てて指に唾液を絡めながら頭の中ではサートに褒められた言葉を思い返していた。
 いつも、夜の間だけ、名前で呼び捨てにされる。興奮を隠した低い声で名前を呼ばれると、ルイは頭の中でカチリと何かが切り替わった。普段なら恥ずかしくて口にできない事も、怖じて上手くできない事も、切り替わってしまえば躊躇い無くできる。
「はぁっ…んぅ、サート」
 白い肌の上で赤く染まる乳首を、美味しそうだ、とよく口に含んで弄られるのだが、自分で自分の乳首を口に含む事はできないルイは、指で摘みながら足りない感覚のもどかしさに身を捩った。いつも体中を撫で回る温かな手は少しざらついていて、自分の手で撫でるのとは違う感覚がするのだ。
 僅かに背と首を反らせ、体に触れるものが無い事に戸惑う。
「…ユージ」
 巧みに体の敏感な所を責め立てるサートの舌に悶えている間、背を預けるのは筋肉質なユージの胸板だった。
 凭れたルイの体を支えながら、口の中を皮が厚くごつい指で掻き回すのだが、見た目のイカツさからは想像もできないほど優しい手つきなのだ。三本で口をいっぱいにする太い指で舌を押すようにされるとじわりと唾液が溢れ、口蓋を爪でするりと撫でられその擽ったさに口を窄めると、たっぷりと唾液を絡めた指は抜けていく。その指を追うように舌を突き出して頭を動かせば、伸ばした首に唇が吸い付き、舌が這い、歯を立てられる。痛いような感覚は熱に浮かされたようになっている時、はっきりと刺激として背筋を走り、ペニスを固くするのだ。
 今、触らずとも硬く勃ち上がり涎を垂らすルイのペニスはベッドの上で身悶える度にふるりと揺れている。
「ふぁ、ゲイン」
 いつもだったなら、ルイのペニスを好んで口に含むのはゲインだ。彼らに比べれば小さなルイのそれを口全体に頬張るようにしてしゃぶり、吸い上げ、パンパンに張った睾丸を玩ぶように舌で転がす。更にはルイの小さな鈴口に舌を捻じ込むようにして穿り、敏感な場所を執拗に苛められては泣いて腰を振るルイを可愛いと撫でるのだ。
 頭の中で必死に彼等の声と手を思い出そうとする。
 ゲインに前を弄られている間、楽しそうに後に触れるジョウの指や舌もその熱も、ここには無い。
「ジョウ………」
 汚いと驚くルイを他所に、キレイだイイ匂いがする甘いと言って舌を這わせるジョウも、ゲインと同じで執拗だ。いつまでも浅い所を弄られて堪らなくなったルイが、もっと中を、奥を、深く掻き混ぜて欲しいと強請るまで、絶対に止めようとしない。しかも、何を願ってもすぐには応えてくれず、何度も泣いて訴えるまで指で浅い場所を広げるように掻き回すのを続けるのだ。
 ルイはぴちゃりと唾液を絡めた右手を口から引き抜き、前かがみになりながらペニスに触れる。
「はぁ…あぁっ…」
 左手で竿を扱き、ぬるつく右手で亀頭を包むように撫でたが、ゲインの熱い口中に比べると冷たいような、寒々しい感覚がする。
(足りない…)
 たっぷりと唾液が絡んだ右手を股の間にまで伸ばし、鈴口から溢れ竿を伝った体液で既に濡れていたそこに躊躇い無く指を突き入れるが、必死に腕を伸ばしても望む場所には上手く届きそうにない。
「やぁ…とど、かなぃ…もっとぉ、おくなのぉ…」
 もどかしさで頭がくらくらとするが、ルイの要望を聞いてくれる者はここには居ないのだ。
(こんなんじゃ、足りない)
 サートとジョウが一緒だと、よく手足の動きを封じられた。サートが手を押さえ、ジョウが足を押さえるのだ。体をたたむ様にされ、自分の視界で触れてもらえず涎を垂らすペニスと見せつけるようにジョウが舌を這わせる秘部が露になる。恥ずかしさで言葉を失くせば、中々イかせてもらえず、サートに教えられる卑猥な言葉を繰り返して、ようやく解放される。そうすると、いつものように失神してしまうのだ。我慢を強制されて、でも耐えられるのは、その先に絶対に開放があるからだった。
(違う…こんなんじゃ)
 肝心な場所に届かないもどかしさはその時に似ている。だが、盛り上がる熱は違った。ルイは届かない指を抜いて、ただペニスを扱く事に専念する。
(どこだっけ)
 ユージとゲインの時も、よく失神してしまった。この二人の時は、じらされるというより、ひたすらイかされて気を失う。胡坐をかくように座ったユージの足の上に乗り、ルイの中をいっぱいに広げる大きなモノを咥え込んで、前はゲインに責められて、身動きができない状況。そのまま前に刺激を与えられると、口がきゅうっと締って内壁が絞るようにひくりと動くのだ。初めはただの反射だったが、それを意識してできるようになると、ユージは若様の中は誰よりも気持ちが良いと褒めてくれた。
「はぁ、あんっ」
 ちゃんと意識すれば、徐々に自在に、敏感になっていき、目隠しをされても今自分が中に咥え込んでいるのが誰なのか、解るようになる。滅多にある事ではないが、四人とも同じ夜を過ごせた時には、目隠しをして当てっこをしたりもした。当たる度、優しく頭を撫でて褒められるのだ。
「あ、みんなぁ、あぁ、はぁ…んぅ…」
 勝手に触れないようにジョウに手を取られ、ゲインにペニスの根元を握られて射精を制御され、必死に締め付けているユージのモノを不意に引き抜かれると、頭の中が真っ白になるような快感が体中を駆け抜ける。激しい射精感に痙攣するように体がびくつくが、実際には精子は出ていない。サートは、それが絶頂だと教えてくれた。
「はぁ、あぁ、あぁ」
 教えてもらった行為も言葉もしっかりと覚えている。だが今は、手が、舌が、熱が、匂いが、言葉が、視線が、欲望が、足りない。
「っんん」
 自分の手の中に精を吐き出しながら、ルイの目からは寂しさを起因とする涙が零れ落ちる。
 もはや、泣いても涙を拭ってくれる手は無く、汚れた手を清めてくれる手も無い。
 裸の背がぞくりとして、蹲るように体を丸めて泣きじゃくった。
「っひぅ………ひぐっ、っふく…」
 ルイの中では寒さは寂しさへ直結している。寒い事、冷たい事、それは寂しさと孤独を体の感覚で味わう事だ。優しやさ幸福は、満たされたという感覚は、いつだって温かさと共にある。
 これからの四年間。昼も夜も、ずっと独りきりの学園生活が始まってしまった。学園を辞める事は許されない。
 その事実が実感されて、寂しくて悲しくて、苦しくて辛かった。
 今日は逃げ出したが、明日からもずっと逃げる訳にはいかないだろう。楽しそうに笑い合う少年達を羨ましく、遠く見つめるだけの毎日は、考えただけで身が縮む。話しかける自分も想像できなかったが、話しかけられて答える自分も想像できない。あの明るい中に、自分が居る姿が全く想像できないのだ。
 独りきりの部屋には慣れているが、部屋を出ても独りきりの夜は怖い。
 明るく楽しげな少年達の中で、自分だけが違うのだと突きつけられるのは怖い。
 誰もいないのは怖い事なのだ。
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