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おまけ ※基本3人称

3.始まり ※

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 ルイは、ひとしきりベッドの上で泣いた後、頭痛にふらつきながら、立ち上がる。
 トイレにある小さな洗面台で手を洗い、トイレを出ると、入っている間に完全に日が沈んだらしく、薄暗かった部屋は完全に暗くなっていた。手探りで部屋の電気を点け、へたり込むようにベットに座り、少しぼうっとする。手を伸ばして本を取るが、楽しかった本の続きを読む気は全く起きなかった。
 しばらくそうして本を膝に乗せ、呆然としていたルイは、大浴場の利用時間が過ぎている事に気付いた。管理人は上級生に風呂を借りると良い、と言っていたが、そんな社交性があるのなら風呂に入りそびれるほど泣きはしない。
(どうしよう)
 着替えを手に、一度大浴場に降りてみるが、施錠され真っ暗だった。困り顔で寮の玄関へ向かうと、ルイに気が付いた管理人が大浴場に入りそびれたとすぐに察して、今外に居る上級生なら誰でも貸してくれるだろう、と教えてくれた。元気付けるように背を押され、玄関を出ていくが、二人以上で会話をしている集団に声をかける事ができない。
 ルイは、視線を避けるように歩き出し、あてもないのに三年生が入っている寮の近くまで俯いたまま来てしまった。
「一年坊主がここで何やってんだ?」
 背後から声をかけられ、ルイは驚いて振り返る。不機嫌そうな顔の上級生と目が合って、ぎくりと体が強張った。
 彼はその怯える表情に嗜虐心をそそられ、にやりと内心でほくそ笑んだ。着替えを抱きしめて困り顔をしている一年生とくれば、大浴場に入りそびれた以外には考えられない。
「ああ、なんだ、風呂入りそびれたのか」
 愛想笑いでそう言えば、ほっとした顔をしてこくこくと頷いてみせる。
「じゃあ、俺の部屋の風呂貸してやるよ」
 驚いて戸惑い、ルイは首を横に振ろうとするが、その前に手をとって引き摺るように連れて行かれてしまった。
 困りながらも強く出られれば拒否の言葉すら発せられないルイの様に、彼は自分の勘が当たった、と見えないように笑う。掴んだ手の細さと、手に伝わる触感。ふわりとした柔らかそうな明るいオレンジの髪に怯えて潤む同色の目。血の気が引いて青白くも見える頬を叩いたら、真っ赤に腫れるのだろうと考えるだけで、下肢に血が集まるようだ。
「ほら、遠慮すんなよ」
 彼は部屋に入り、脱衣所に押し込むようにしてルイの手を離した。
 突然の事に事態を飲み込めずにいるが、風呂を貸して貰える事はルイにとってありがたい話だ。幸いにも上級生の方で察してくれて、口を開かずとも風呂を貸してくれる事になるなど、思ってもみなかったが、幸運である。
 ぺこりとお礼の意思を込めてお辞儀をして、ルイはそのまま風呂を借りる事にした。一人脱衣所で服を脱ぎ、洗い場でシャワーを浴び始める。
 緊張し通しだったせいか、少しベタついているように思えた肌を温かなお湯でざっと流す。頭を洗い。顔を洗い。体を洗って、石鹸を流していると、冷えた風を感じた。
 驚いて振り返ると、ドアの前に先ほどの上級生が全裸でたっている。ルイは思わず後ずさり、洗い場の壁で止まった。
 その怯えように笑顔を浮かべて、彼はルイの両側の壁に手を付き、囲うようする。
「なぁ、風呂貸してやったんだ、礼くらいしてくれても良いだろ?」
 上級生の大人に近い体つきと、低い囁きに、ルイは胸の内がざわつくのを感じた。目の中にぎらつく欲望が何を求めているのかを察せられると、恐怖からではなく鼓動が高鳴るのが解る。
「まずは、そうだな、背中でも流してくれよ。この柔らかい手で、優しくな」
 言葉と共に石鹸を渡され、ルイは小さく頷いた。
 座台に座って向けられている背中に石鹸を泡立てた手を滑らせながら、ルイはその広さと逞しさに、大人の男を感じてしまう。風呂の中に入って来た時からずっと、汗をかいた後らしい体臭がしていた。それは、ルイにとって狂おしいほど欲している、興奮を抱いた雄の匂いだ。体の中で熾火のようになっていた、先ほど満たされなかった熱が膨れ上がる。
「そうそう、上手いな。その調子で全身頼むわ」
 背中、と言われたが、肩や首へも指を這わせ、そこから先にも伸ばして良いのか惑っていると、首だけで振り向いた上級生にそう言われた。優しい、というには凶暴さが滲んでいたが、笑顔で褒められれば、ルイは嬉しくなってしまう。
「はい」
 控えめに微笑んで、上級生の体を懸命に泡をまとわせた手で撫でていった。
 ルイの様子を見て彼は内心で手を打って舌なめずりをする。普通、脅すように言い付けられても、これほど真剣に男の体を洗おうなどとはしない。まして、他人の体を洗いながら前を勃ち上がらせるなど考えられない。だが、ルイは違う。さすがにおずおずとした様子だが、彼の股間にも自ら手を伸ばし洗い始めた。
「良いなお前…ちゃんと丁寧に洗ってくれよ」
 自分の股の間で跪いてペニスに洗うというより奉仕をするルイの頭を撫で、彼は幼さの残るルイの顔に明確な欲を見つける。脅すようにして無理矢理犯すつもりだった。だが、後々面倒事になる可能性もある。納得ずくでできるというならそれに越した事はなかった。
「なぁ」
 彼は俯いていたルイの顔を上に向け、半開きになった口と潤んだ目にもはや隠しきれない興奮を見て取って、思わず優し気な顔で笑いかける。
「コレが、欲しいか?」
 示されたのが上級生のペニスだという事は解った、だが、ルイは示す手の動きは見ていない。自分を肯定してくれる言葉と優しい笑み、頬に触れる温かさに頷いていた。
 彼は立ち上がって体の泡をざっと流すと、前屈状態で湯船の縁に手を付かせたルイの突き出された白い尻を撫で、お湯を流し込んで、ひくついて男を知っていると教えるアナルを丁寧に洗う。ただ清めているだけで声を上げ、膝を震わせるルイの痴態に思わず笑みが浮かんだ。
 興奮でふらつきながら上級生にタオルで体を拭かれ、先に寝室に行けと言われて、ルイは薄暗い廊下を歩いて扉が開けっ放しの寝室の中に入り、ベッドに膝を乗せる。しばらくベッドの端に膝立ちになっていたが、堪え切れなくなって前に倒れ、四つ這いになった。肩で体を支えるようにして、両手をペニスへ伸ばす。
「はぁ、あぁ、あっん」
 これからこの切なさが埋まるのだと思うと、あと少しの我慢が出来なかった。
「あーあー、堪え性がねぇな」
「ひぃやぁっ、あぁ!」
 潤滑剤を塗り付けた中指が突然捻じ込まれ、ルイは喘ぎながら射精する。
「ちんこ大好きってか」
 彼は、道具を持って寝室に来て、四つ這いで尻を突き上げたルイの姿をしばらく見ていたのだが。堪え切れなくなって揺れ始めた辺りでにやりとした笑みを浮かべ、ルイ自身の手で押し広げるようにされたアナルに潤滑剤を塗り付けた指を捻じ込んだのだ。突き入れただけで果てたのは解ったが、休ませないつもりでぐりぐりと前立腺を押し責める。
「やぁ! ああぁ、だめぇっんぅ…」
「あんまデカい声出すなよ。ほら、抜いてやるから」
 悲鳴のような嬌声をあげるルイの口を手で覆って、彼は中指を引き抜いた。
 その刺激に体を仰け反らせ、口を塞ぐ手に縋るように触れて、ルイは必死に首を横に振る。抜いて欲しいとは思っていない。むしろもっと埋めて欲しいのだ。
 潤む目も上気した頬も、必死に首を横に振る仕草も、全てが何を求めているのか解っていながら、彼は両手をルイから離して自分の頭の横に上げて見せる。嫌なんだろう、これ以上は触らないから安心しろよ、と態度で示して見せた。
 上級生の様子に自分から強請らなくてはいけないのだと察して、ルイは体の向きを変えると、自身で膝裏を持ち上げて中指を捻じ込まれた時に付いた潤滑剤で濡れたアナルを広げて見せる。
「お願い、僕の中、もっとかき混ぜてぇ」
 やるように誘導したのは自分だが、予想以上にいやらしいお強請りに彼の背はぞくりと震えた。左手に潤滑剤を出し、右手に持ったチューブをルイの口を開いてヒクつく穴にあてがい、思い切り握る。
「やぁ、つめたいっ!」
 反射的にぎゅっと閉まった口からチューブを引き抜き、人差し指と中指を揃えて捻じ込んだ。きゅうきゅうとよく締まりはするが、指で広げるようにすればすぐに柔らかく解れていく。
 ルイは馴染みの無い荒々しい手つきで内壁を擦り上げられる度、短く悲鳴のような喘ぎを上げてしまう。また、声がうるさいからと指を抜かれるのが嫌で、必死に抑えようとはしているのだが、待ち望んだ刺激に抗い切れないのだ。
「冷たいのは、嫌なんだよな?」
 彼は三本に増えていた指を引き抜いて、力が入らなくなっていたルイの手から足を奪った。左足を肩に担ぐようにして、大きく股を開かせ、左手で潤滑剤を塗り猛り切った熱をあてがう。
 関節が痛むほど大きく開かされ、慣れぬ荒さに戸惑う思いがありながらも、ルイはあてがわれた熱に全ての意識を持って行かれた。四年間、きっと手に入らないと思っていたモノがすぐそこにあるのだ。
「あっうんっ…おねがいぃ…なかぁ…あつい、のでいっぱいにしてぇ」
 ルイの下の口は、あてがわれた亀頭を呑み込もうと、くちゅりとした音を立ててキスをする。
「ホント、堪んねぇな…この淫乱!」
 一気に半ば過ぎまで押し込まれ、ルイは衝撃に息を止めた。
「手、口に当てとけよ。あんまうるせぇと止めるからな」
 本当は今更止める気などさらさらなかったが、彼はそう脅すと、両手で自分の口を塞ぐルイの中を蹂躙し始める。一気に捻じ込んだモノを半ば程までゆっくりと引き抜き、再び勢い良く押し込んだ。先ほどより更に奥に進み、またゆっくりと引き抜き、更に奥へと繰り返す。
「んっんぅっんんっ…」
 何度か繰り返す内にまざまざと感じた。ルイの中は酷く気持ちが良い。押し込む時の抵抗感に、引き抜こうとすれば絡みついてくる内襞、ただ留まっているだけでも逃さないようにと締め付けて来る入口に包み込む内壁が堪らなく淫らだ。
「お前、こんなエロい体、誰に仕込まれたんだよ。くそっ、あぁ、堪んねぇ…」
 ルイは待ち望んだ快楽に蕩け切っていて、ろくに上級生の言葉を聞いていない。ただ、気持ち良さそうに自分の中を掻きまわす姿に、湧き上がる悦びに、学園でも確かなモノを手に入れられるのだと安堵していた。
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