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転校
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二人の命は、この世界を変えた。
それはきっと、誰も予想できない、ハッピーエンドだった。
ただ、もしもそこに愛があったら。
転校。僕の学校生活の中のそれは、他の一般的な家庭と比べると、とても軽々しいものだった。
小学校入学、その三ヶ月後に転校、二年に上がると同時にまた転校。四年、中二、中三、高二、そして高校三年生二学期。まさに今日、僕は今、人生七回目の転校先に来ている。
二学期初日。学校に向かって歩いていたが、さっきから視線が痛い。今歩いている道は、学校まで一本道で、目の前には学校が見えている。朝のこの時間は、登校中の生徒で溢れていて、みんな数人の生徒で固まって歩いている。
ちらちらと、僕を見ながら笑っている。僕の顔が、そんなに面白いのか。いや、理由は分かっている。
僕の転校先の学校は、かなり田舎の高校で、周りに他の高校がなく、一番近いところでも電車通学で、電車も一時間に一本程度しか通らないので、ほとんどが小、中、高、同じ学校なのだ。だからみんな他学年でも顔見知り。知らない顔がここにいて、同じ制服を着ているんだから、僕が転校生だと、気づいているのだろう。
まぁ、そんなこと気にしてたって、何か起こるわけでもないので、僕はあのサイトを開く。
今日も、見知らぬ誰かの投稿がある。
「恋愛をしたことがなく、私はーーーーー」ドンッ
後ろからの衝撃に、手に握っていたスマホを落としたかと思ったが、それは相手の物だった。
「ごめんっ」
目の前には、慌てて両手を合わせてそう謝罪する女の子が立っていた。急いで走って来たんだろう。それで僕にぶつかった。急ぐような時間じゃないのに。
僕は親切に彼女が落としたスマホを拾ってあげる。
「あ」
一瞬見えた彼女のスマホの画面に、つい声が出てしまった。
「ありがと。って、君もしかして噂の転校生ですか?」
噂なのか。転校生なのは合っているので、僕は正直にいった。
「そうだよ。」
「ふーん。珍し。」
「だろうね。」
「てか大丈夫ですか。どっか怪我してないですか。」
「してるって言ったらどうするの。」
我ながらとてもつまらない返事をしたなと感じる。
「全力で学校までおんぶして保健室まで連れてく。」
そう言うと思った。なんて言えず、またつまらない返事を返した。
「それは君が潰れるだけだけど。」
「そっか。」
馬鹿か、天然か、こういう奴との会話は疲れる。と言うより、人とは、なるべく関わらないようにしたかった。
「じゃあ、先行ってる。」
僕は彼女を置いて歩いた。逃げるように。後ろから彼女の声は聞こえてこなかった。もう二度と、話さないだろう。
これが、僕と彼女の最初の会話。
全ての始まり。
僕と彼女の、いや、この世界のーーー
ハッピーエンドへ続く、悲劇の物語ーーーーー。
それはきっと、誰も予想できない、ハッピーエンドだった。
ただ、もしもそこに愛があったら。
転校。僕の学校生活の中のそれは、他の一般的な家庭と比べると、とても軽々しいものだった。
小学校入学、その三ヶ月後に転校、二年に上がると同時にまた転校。四年、中二、中三、高二、そして高校三年生二学期。まさに今日、僕は今、人生七回目の転校先に来ている。
二学期初日。学校に向かって歩いていたが、さっきから視線が痛い。今歩いている道は、学校まで一本道で、目の前には学校が見えている。朝のこの時間は、登校中の生徒で溢れていて、みんな数人の生徒で固まって歩いている。
ちらちらと、僕を見ながら笑っている。僕の顔が、そんなに面白いのか。いや、理由は分かっている。
僕の転校先の学校は、かなり田舎の高校で、周りに他の高校がなく、一番近いところでも電車通学で、電車も一時間に一本程度しか通らないので、ほとんどが小、中、高、同じ学校なのだ。だからみんな他学年でも顔見知り。知らない顔がここにいて、同じ制服を着ているんだから、僕が転校生だと、気づいているのだろう。
まぁ、そんなこと気にしてたって、何か起こるわけでもないので、僕はあのサイトを開く。
今日も、見知らぬ誰かの投稿がある。
「恋愛をしたことがなく、私はーーーーー」ドンッ
後ろからの衝撃に、手に握っていたスマホを落としたかと思ったが、それは相手の物だった。
「ごめんっ」
目の前には、慌てて両手を合わせてそう謝罪する女の子が立っていた。急いで走って来たんだろう。それで僕にぶつかった。急ぐような時間じゃないのに。
僕は親切に彼女が落としたスマホを拾ってあげる。
「あ」
一瞬見えた彼女のスマホの画面に、つい声が出てしまった。
「ありがと。って、君もしかして噂の転校生ですか?」
噂なのか。転校生なのは合っているので、僕は正直にいった。
「そうだよ。」
「ふーん。珍し。」
「だろうね。」
「てか大丈夫ですか。どっか怪我してないですか。」
「してるって言ったらどうするの。」
我ながらとてもつまらない返事をしたなと感じる。
「全力で学校までおんぶして保健室まで連れてく。」
そう言うと思った。なんて言えず、またつまらない返事を返した。
「それは君が潰れるだけだけど。」
「そっか。」
馬鹿か、天然か、こういう奴との会話は疲れる。と言うより、人とは、なるべく関わらないようにしたかった。
「じゃあ、先行ってる。」
僕は彼女を置いて歩いた。逃げるように。後ろから彼女の声は聞こえてこなかった。もう二度と、話さないだろう。
これが、僕と彼女の最初の会話。
全ての始まり。
僕と彼女の、いや、この世界のーーー
ハッピーエンドへ続く、悲劇の物語ーーーーー。
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