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時は金なり
アリスは腹ペコ
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チクタクチクタク...。
時計が好き。
特に、秒針が動くヤツ。あのチクタク回るのが好きで、ついついいつも見入ってしまう。じっと見ていると、秒針が時間そのものみたいな気がして、時を刻む音が時間の足音みたいに聞こえて……。
これは失敗と後悔のお話。
『失敗は成功の元』なんて言うけれど、溢れたミルクはもう飲めない。過ぎた時間はもう戻らない。
その日もいつもみたいに、家のリビングでぼんやり時計を眺めていた。何でもない暖かな穏やかな休日の午後。……のはずだった。
チクタクチクタク…...。
秒針を目で追っていると、突然くらくらっと時計以外の世界が回った気がした。
それは一瞬のことだった。
「あれ?」
目の前には綺麗な青空が広がっていた。ついさっきまで、我が家にいたはずなのに。
いつの間にか、見覚えのない山道で大の字になっていた。青空の下に緑の森が広がり、遠くには外国風のお城が見える。
「何処や、ここ?!」
身体を起こすと、頭がぐるぐる世界が回る。あまりのめまいに耐えられず、すぐに仰向けになった。何回もでんぐり返りをした後のように気分が悪い。たまらず、じっとうずくまっていると、誰かが近づく気配がした。
「おやおや。
もう次のアリスが来たのかい?」
妙に馴れ馴れしい口ぶりにめまいをこらえて振り向いた。
中性的で整った顔立ち。ファッションモデルのようなお洒落で奇抜な洋服。ただ、頭の上には……。
猫耳カチューシャが乗っている!!
なんで?!こんな山の中で?!どこぞの遊園地ではしゃぐ若者やん?!変人やん!!
さっきのめまいも吹っ飛んだ。
その『変人』は夢見心地にニッコリ微笑むと、手を差し出した。
「僕はチェシャ!
『金色の午後』へようこそ!アリス!」
輝くような笑顔っていうのは、こういうのを言うんやろうなぁ…。
わけも分からず、ぼんやり呆けていると、チェシャと名乗ったそいつはお構い無しに、こちらの身体をベタベタと確認し始めてた。
変人じゃなくて、変態……いや痴漢か!
「んー……。
アリスかと思ったけど……お腹の中身がないみたいだねー。
誰かに盗られでもしたのかい?んんー?でも、たった今、穴から転がり出てきたばかりのようだし……」
何のことを言ってるのか、さっぱり分からない。ただこんなヤツから離れたくって、脱兎のごとく駆け出した。チェシャは相変わらずこちらの気持ちなんてどうでもいいようで、飄々とした口ぶりのまま、後ろから言葉を投げかけた。
「帰りたいなら、女王を探しなよ!」
時計が好き。
特に、秒針が動くヤツ。あのチクタク回るのが好きで、ついついいつも見入ってしまう。じっと見ていると、秒針が時間そのものみたいな気がして、時を刻む音が時間の足音みたいに聞こえて……。
これは失敗と後悔のお話。
『失敗は成功の元』なんて言うけれど、溢れたミルクはもう飲めない。過ぎた時間はもう戻らない。
その日もいつもみたいに、家のリビングでぼんやり時計を眺めていた。何でもない暖かな穏やかな休日の午後。……のはずだった。
チクタクチクタク…...。
秒針を目で追っていると、突然くらくらっと時計以外の世界が回った気がした。
それは一瞬のことだった。
「あれ?」
目の前には綺麗な青空が広がっていた。ついさっきまで、我が家にいたはずなのに。
いつの間にか、見覚えのない山道で大の字になっていた。青空の下に緑の森が広がり、遠くには外国風のお城が見える。
「何処や、ここ?!」
身体を起こすと、頭がぐるぐる世界が回る。あまりのめまいに耐えられず、すぐに仰向けになった。何回もでんぐり返りをした後のように気分が悪い。たまらず、じっとうずくまっていると、誰かが近づく気配がした。
「おやおや。
もう次のアリスが来たのかい?」
妙に馴れ馴れしい口ぶりにめまいをこらえて振り向いた。
中性的で整った顔立ち。ファッションモデルのようなお洒落で奇抜な洋服。ただ、頭の上には……。
猫耳カチューシャが乗っている!!
なんで?!こんな山の中で?!どこぞの遊園地ではしゃぐ若者やん?!変人やん!!
さっきのめまいも吹っ飛んだ。
その『変人』は夢見心地にニッコリ微笑むと、手を差し出した。
「僕はチェシャ!
『金色の午後』へようこそ!アリス!」
輝くような笑顔っていうのは、こういうのを言うんやろうなぁ…。
わけも分からず、ぼんやり呆けていると、チェシャと名乗ったそいつはお構い無しに、こちらの身体をベタベタと確認し始めてた。
変人じゃなくて、変態……いや痴漢か!
「んー……。
アリスかと思ったけど……お腹の中身がないみたいだねー。
誰かに盗られでもしたのかい?んんー?でも、たった今、穴から転がり出てきたばかりのようだし……」
何のことを言ってるのか、さっぱり分からない。ただこんなヤツから離れたくって、脱兎のごとく駆け出した。チェシャは相変わらずこちらの気持ちなんてどうでもいいようで、飄々とした口ぶりのまま、後ろから言葉を投げかけた。
「帰りたいなら、女王を探しなよ!」
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