【再更新中】空腹アリスの大富豪

おくとりょう

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時は金なり

アリスは腹ペコ

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 チクタクチクタク...。

 時計が好き。
 特に、秒針が動くヤツ。あのチクタク回るのが好きで、ついついいつも見入ってしまう。じっと見ていると、秒針が時間そのものみたいな気がして、時を刻む音が時間の足音みたいに聞こえて……。

 ******************************


 これは失敗と後悔のお話。

 『失敗は成功の元』なんて言うけれど、溢れたミルクはもう飲めない。過ぎた時間はもう戻らない。


 ******************************



 その日もいつもみたいに、家のリビングでぼんやり時計を眺めていた。何でもない暖かな穏やかな休日の午後。……のはずだった。

 チクタクチクタク…...。

 秒針を目で追っていると、突然くらくらっと時計以外の世界が回った気がした。

 それは一瞬のことだった。

「あれ?」
 目の前には綺麗な青空が広がっていた。ついさっきまで、我が家にいたはずなのに。
 いつの間にか、見覚えのない山道で大の字になっていた。青空の下に緑の森が広がり、遠くには外国風のお城が見える。

「何処や、ここ?!」

 身体を起こすと、頭がぐるぐる世界が回る。あまりのめまいに耐えられず、すぐに仰向けになった。何回もでんぐり返りをした後のように気分が悪い。たまらず、じっとうずくまっていると、誰かが近づく気配がした。

「おやおや。
 もう次のアリスが来たのかい?」
妙に馴れ馴れしい口ぶりにめまいをこらえて振り向いた。
中性的で整った顔立ち。ファッションモデルのようなお洒落で奇抜な洋服。ただ、頭の上には……。

 猫耳カチューシャが乗っている!!
 なんで?!こんな山の中で?!どこぞの遊園地ではしゃぐ若者やん?!変人やん!!
 さっきのめまいも吹っ飛んだ。

 その『変人』は夢見心地にニッコリ微笑むと、手を差し出した。

「僕はチェシャ!
『金色の午後』へようこそ!アリス!」

 輝くような笑顔っていうのは、こういうのを言うんやろうなぁ…。

 わけも分からず、ぼんやり呆けていると、チェシャと名乗ったそいつはお構い無しに、こちらの身体をベタベタと確認し始めてた。

 変人じゃなくて、変態……いや痴漢か!

「んー……。
 アリスかと思ったけど……お腹の中身がないみたいだねー。
 誰かに盗られでもしたのかい?んんー?でも、たった今、穴から転がり出てきたばかりのようだし……」

 何のことを言ってるのか、さっぱり分からない。ただこんなヤツから離れたくって、脱兎のごとく駆け出した。チェシャは相変わらずこちらの気持ちなんてどうでもいいようで、飄々とした口ぶりのまま、後ろから言葉を投げかけた。

「帰りたいなら、女王を探しなよ!」
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