2 / 2
時は金なり
森と影の閑話
しおりを挟む
ほんのり暗い森の中。突然、パッと開けて明るい青空が顔を出す。
息はとっくに切れていて、乾いた大きな切り株に倒れ込むように腰かけると、火照った身体から汗が一気に吹き出した。木々の間を吹き抜ける風がひんやりしていて心地いい。
ひと息ついて、頭をよぎるのはさっきあった美人の言葉。
『アリスかと思ったけど、お腹の中身がないみたいだねー』
『帰りたいなら、女王を探しなよ!』
お腹の中身って。女王って。一体、なんの話やねん。何のことやらさっぱりわからない。
そもそも、ホントにここはどこ?さっき学校から帰ってきたばかりで、居間のソファでのんびりしていたはずなのに。それだけだったのに。
なのに、どうして。気づいたときには、知らない山にいて。ちんちくりんな格好の美人から身体をまさぐられるなんて。
あ、もしかして、これは夢?え、ひょっとして夢を見てるの?知らない場所で目が覚めて、初対面の美人にえっちなことをされる。そういう夢?そういう願望が自分の中にあったってこと?
とりとめもない考えが頭の中をぐるぐる巡った。だけど、周りの緑はそのままでちっとも夢の覚める気配はなかった。それどころか、人の気配もしなかった。このまま夜になったらどうしよう。
そんな気持ちを察したように、雲がすぅーっと日を遮って、辺りの空気がさぁーっと冷えた。遠くで動物の声がした。しぶしぶながら、立ち上がる。
こんなところにずっとはいられない。せめて、他の人を探そう。
再び、枝や葉をかき分け森の中を進む。少し頭も冷えたのか、周囲のことがさっきよりも見えてる気がする。
半袖から出た肌はあちこち擦りむけ、チクチク痛む。おまけに、スカートもいつの間にか引っかけたのか、大きなスリットができてしまっていた。いつもはスカートなんて履かないのに、こんな時に限って……。
後悔ついでに、ほっぺをギューっと捻ってみた。諦めきれない夢オチの可能性も捨てきれず。
だけど、やっぱり世界は変わらない。ここはひんやりとした森の中。右も左も同じに見える。ヤケクソになって、落ち葉の舞い積もった地面に身体を投げ出す。
「いてっ!」
埋もれた石で頭を打った。目玉の奥がチカチカ瞬き、ギュッと身体を縮こめる。だけど、湿った落ち葉の山は、意外といい匂いがしていて、思ったよりも悪くなかった。
息はとっくに切れていて、乾いた大きな切り株に倒れ込むように腰かけると、火照った身体から汗が一気に吹き出した。木々の間を吹き抜ける風がひんやりしていて心地いい。
ひと息ついて、頭をよぎるのはさっきあった美人の言葉。
『アリスかと思ったけど、お腹の中身がないみたいだねー』
『帰りたいなら、女王を探しなよ!』
お腹の中身って。女王って。一体、なんの話やねん。何のことやらさっぱりわからない。
そもそも、ホントにここはどこ?さっき学校から帰ってきたばかりで、居間のソファでのんびりしていたはずなのに。それだけだったのに。
なのに、どうして。気づいたときには、知らない山にいて。ちんちくりんな格好の美人から身体をまさぐられるなんて。
あ、もしかして、これは夢?え、ひょっとして夢を見てるの?知らない場所で目が覚めて、初対面の美人にえっちなことをされる。そういう夢?そういう願望が自分の中にあったってこと?
とりとめもない考えが頭の中をぐるぐる巡った。だけど、周りの緑はそのままでちっとも夢の覚める気配はなかった。それどころか、人の気配もしなかった。このまま夜になったらどうしよう。
そんな気持ちを察したように、雲がすぅーっと日を遮って、辺りの空気がさぁーっと冷えた。遠くで動物の声がした。しぶしぶながら、立ち上がる。
こんなところにずっとはいられない。せめて、他の人を探そう。
再び、枝や葉をかき分け森の中を進む。少し頭も冷えたのか、周囲のことがさっきよりも見えてる気がする。
半袖から出た肌はあちこち擦りむけ、チクチク痛む。おまけに、スカートもいつの間にか引っかけたのか、大きなスリットができてしまっていた。いつもはスカートなんて履かないのに、こんな時に限って……。
後悔ついでに、ほっぺをギューっと捻ってみた。諦めきれない夢オチの可能性も捨てきれず。
だけど、やっぱり世界は変わらない。ここはひんやりとした森の中。右も左も同じに見える。ヤケクソになって、落ち葉の舞い積もった地面に身体を投げ出す。
「いてっ!」
埋もれた石で頭を打った。目玉の奥がチカチカ瞬き、ギュッと身体を縮こめる。だけど、湿った落ち葉の山は、意外といい匂いがしていて、思ったよりも悪くなかった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
嘘つきと呼ばれた精霊使いの私
ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
生きるために逃げだした。幸せになりたい。
白水緑
ファンタジー
屋敷内に軟禁状態だったリリアは、宝物を取り戻したことをきっかけに屋敷から逃げ出した。幸せになるために。体力も力もない。成り行きに身を任せる結果になっても、自分の道は自分で選びたい。
2020/9/19 第一章終了
続きが書け次第また連載再開します。
2021/2/14 第二章開幕
2021/2/28 完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる