33 / 117
〜lovin’ you〜
討論会
しおりを挟む
ガンドールの町の大聖堂に大勢の人が集まっていた。
今日ここでティアラという聖女のオーラを開眼した女性の討論会が行われるため、国中のアスペルド教団の信者が集まっていた。
当のティアラ本人は大聖堂の控室で極度の緊張に襲われていた。
「大丈夫だよ、リラックスして」
クリスが優しく声をかけてくれた。
「う……うん、だ……だい……じょうぶ…………」
「本当に大丈夫かよーー。声が震えているぞーー」
アルフレッドがいたずらっぽく笑って言ってきた。いつもの私なら何か言い返しているところだが、思いつめていたので、何も言わずうつむいていると心配した顔でフォローしてきた。
「じょ……冗談だよ。そ……そんなに……、お……思い詰めるなよ…………」
アルフレッドが思いの外取り乱しているのを見ておかしくなって、ふふふ……、と笑った。
「よ……良かった……」
私が笑ったことで、アルフレッドはホッと胸をなでおろしていた。よほど心配したようだった。
私達はそれからしばらく三人でおしゃべりした。クリスもアルフレッドも私の緊張を和らげようと、いつもより口数が多くなっているのがすごく嬉しかった。
「ティアラ様、準備ができました」
エリカが私を呼びに来てくれた。エリカは私を見ると心配したのか声をかけてくれた。
「大丈夫です。ティアラ様なら絶対にうまくいきます。私はそう信じています」
「ありがとうエリカ。そう言ってもらえて嬉しいわ」
私はエリカとともに会場に入った。
広い大聖堂内は人で溢れかえっていた。あんなに有った席は超満員で後ろの方では立っている人も多く居た。大聖堂に入れなかった人も居て窓の外から多くの人が中を覗いていた。
私が入ると会場にいる人の視線が一斉に私に向けられた。視線の大半は敵意のある視線だった。かなりの人が鋭い視線で私をすごく睨んでいた。中には私を見て嘲笑している人も居て私の緊張を一層刺激した。
私は容赦なく向けられる敵意に怖くなり、気がつくと原稿を持つ手が震えていた。
やがて司会者から開始の合図があり、震える手を必死に抑えて原稿を広げようとした時、前方の席から何かが飛んできた。その物体が私に当たる瞬間、誰かがそれを遮った。
私は驚いて目を閉じていたがゆっくりと目を開けるとレンが私の目の前で立っていた。レンの頭には何か液体のようなものが付いていた。見るとそれは卵だった。誰かが投げた卵がレンに当たっていた。すると次々と卵が飛んできた。飛んできた卵はすべてレンが私に当たらないように受け止めてくれた。レンはあっという間に全身卵だらけになっていた。
「良いんだ、ティアラ。俺のことは気にしないで続けてくれ」
「で……でも……」
「お前には絶対に当たらないようにしてやるからな」
「レ……レン……」
「俺にできることはこれくらいしかないから気にするな」
レンはそう言うと私を見てニッコリと笑った。
(嘘よ! プライドの高いレンのことだから、大勢の人の前で侮辱されて絶対に悔しいはずなのに…………)
私はレンの優しさに泣き出しそうになったが、ぐっとこらえて原稿を広げた。
私が原稿を読もうとした時、卵を投げても防がれると思った人が今度は罵声を浴びせてきた。
「出ていけーーー!!!」
「ここはお前のようなやつが来るところじゃないぞーーーーー!!!」
会場中に様々な罵声が響き渡った。私は多くの人の圧力に耐えられずめまいがして、頭から血の気が引いていくのがわかった。前世で気を失ったときのことを思い出した。過呼吸になり次第に息をするのが苦しくなってきた。
(ど……どうしよう。このままだとまた気を失って倒れてしまう)
私は立っているのがやっとの状態だった。次第に目の前がクラクラしてきてもうダメだと思った時すぐ横に人が立っているのがわかった。
「ティアラ。君はどうやってこの病気を治したの?」
びっくりして横を見るとクリスが居て話しかけてきた。
「え? ク……クリス?」
私はクリスを見てびっくりしていた。
「何だお前はーーー!!」
「関係ないやつは出て行けーーー!!」
会場内の罵声は一段と激しさを増していくのが分かった。私は恐怖と絶望で頭が真っ白になった時、クリスが優しく私の顔を両手で包むと自分の方に向けた。
「大丈夫だよ。ティアラ。僕だけを見るんだ。僕を信じて、僕だけに話しかけるようにしよう」
そう言うとクリスはポケットからハンカチを出して私の涙を優しく拭いた後、私に話しかけてきた。
「まず病気を治すために何をしたか教えてよ」
「ま……まずは、病気の人の血液をコカス鳥に注入しました」
「なぜ? コカス鳥に注入したの?」
「そ……それは。コカス鳥は免疫力が人より高いと思ったから」
クリスは私をみて、私はクリスだけを見て答えているうちに気がつくとあれだけ有った緊張がいつの間にか無くなっていた。次第に会場の罵声も止んで多くの人が私とクリスのやり取りを静かに聞くようになっていた。
こんなに大勢の人の前で自分でもびっくりするぐらい言葉が次々に出てきた。私はクリスの優しさが嬉しかった。
クリスと私のやり取りが終わると、会場はシーンとしていたが、誰か一人が拍手をするとそれに釣られるように二人三人と拍手が増えていき、やがて会場中が拍手で包まれた。
しかし拍手が鳴り止むと誰かが大声で叫びだした。
「本当にそんなことができるのかーーー!」
「本当だ、デタラメを言っているんじゃないのかーーー!」
罵声も開始前よりは少ないものの、所々で上がるようになった。私がどうしようか困惑していると、誰かが後ろから出てきて私の前に立つと大声で叫んだ。
「うるせーーーー!!!、このやろーーーー!!!」
アルフレッドが私の前で罵声よりももっと大きい声で叫んでいた。
「愚か者どもよく聞け!! このアルフレッド=クリムゾン=アークガルドの名に誓ってティアラの真実をここに証明する!!」
会場は静まりかえっていた。アルフレッドは追い打ちをかけるように続けた。
「いいか! これよりこのティアラを侮辱するやつは、この俺を侮辱することと同義となり厳罰に処するからな! 覚悟して発言しろよ!」
アルフレッドの発言に誰も何も言えず会場がシーンとしていたところにミネルバ公王が出てきた。
「まだ何か言い足りない者もいるかもしれん、ティアラの言ったことが嘘だと思っている者もいるかもしれんが、大事なのはティアラの治療で助かった者がいるという事実があることだと思う。確かにティアラが行ったことは見ようによってはアスペルド教団の教えを否定しいると感じることもあるだろうが、実際に助かった者がいるいじょう教団としてティアラを侮辱することはこの私が許さん」
これで討論会は終了する、と言ってミネルバ公王は壇上から降りた。
討論会は無事に終了した。私は安堵すると力が抜けてその場にしゃがみこんだ。
しばらくの間放心状態になっていると三人が近くに来た。
「「「お疲れ様、ティアラ。よく頑張ったね」」」
三人に褒められて嬉しくて涙が溢れた。
今日ここでティアラという聖女のオーラを開眼した女性の討論会が行われるため、国中のアスペルド教団の信者が集まっていた。
当のティアラ本人は大聖堂の控室で極度の緊張に襲われていた。
「大丈夫だよ、リラックスして」
クリスが優しく声をかけてくれた。
「う……うん、だ……だい……じょうぶ…………」
「本当に大丈夫かよーー。声が震えているぞーー」
アルフレッドがいたずらっぽく笑って言ってきた。いつもの私なら何か言い返しているところだが、思いつめていたので、何も言わずうつむいていると心配した顔でフォローしてきた。
「じょ……冗談だよ。そ……そんなに……、お……思い詰めるなよ…………」
アルフレッドが思いの外取り乱しているのを見ておかしくなって、ふふふ……、と笑った。
「よ……良かった……」
私が笑ったことで、アルフレッドはホッと胸をなでおろしていた。よほど心配したようだった。
私達はそれからしばらく三人でおしゃべりした。クリスもアルフレッドも私の緊張を和らげようと、いつもより口数が多くなっているのがすごく嬉しかった。
「ティアラ様、準備ができました」
エリカが私を呼びに来てくれた。エリカは私を見ると心配したのか声をかけてくれた。
「大丈夫です。ティアラ様なら絶対にうまくいきます。私はそう信じています」
「ありがとうエリカ。そう言ってもらえて嬉しいわ」
私はエリカとともに会場に入った。
広い大聖堂内は人で溢れかえっていた。あんなに有った席は超満員で後ろの方では立っている人も多く居た。大聖堂に入れなかった人も居て窓の外から多くの人が中を覗いていた。
私が入ると会場にいる人の視線が一斉に私に向けられた。視線の大半は敵意のある視線だった。かなりの人が鋭い視線で私をすごく睨んでいた。中には私を見て嘲笑している人も居て私の緊張を一層刺激した。
私は容赦なく向けられる敵意に怖くなり、気がつくと原稿を持つ手が震えていた。
やがて司会者から開始の合図があり、震える手を必死に抑えて原稿を広げようとした時、前方の席から何かが飛んできた。その物体が私に当たる瞬間、誰かがそれを遮った。
私は驚いて目を閉じていたがゆっくりと目を開けるとレンが私の目の前で立っていた。レンの頭には何か液体のようなものが付いていた。見るとそれは卵だった。誰かが投げた卵がレンに当たっていた。すると次々と卵が飛んできた。飛んできた卵はすべてレンが私に当たらないように受け止めてくれた。レンはあっという間に全身卵だらけになっていた。
「良いんだ、ティアラ。俺のことは気にしないで続けてくれ」
「で……でも……」
「お前には絶対に当たらないようにしてやるからな」
「レ……レン……」
「俺にできることはこれくらいしかないから気にするな」
レンはそう言うと私を見てニッコリと笑った。
(嘘よ! プライドの高いレンのことだから、大勢の人の前で侮辱されて絶対に悔しいはずなのに…………)
私はレンの優しさに泣き出しそうになったが、ぐっとこらえて原稿を広げた。
私が原稿を読もうとした時、卵を投げても防がれると思った人が今度は罵声を浴びせてきた。
「出ていけーーー!!!」
「ここはお前のようなやつが来るところじゃないぞーーーーー!!!」
会場中に様々な罵声が響き渡った。私は多くの人の圧力に耐えられずめまいがして、頭から血の気が引いていくのがわかった。前世で気を失ったときのことを思い出した。過呼吸になり次第に息をするのが苦しくなってきた。
(ど……どうしよう。このままだとまた気を失って倒れてしまう)
私は立っているのがやっとの状態だった。次第に目の前がクラクラしてきてもうダメだと思った時すぐ横に人が立っているのがわかった。
「ティアラ。君はどうやってこの病気を治したの?」
びっくりして横を見るとクリスが居て話しかけてきた。
「え? ク……クリス?」
私はクリスを見てびっくりしていた。
「何だお前はーーー!!」
「関係ないやつは出て行けーーー!!」
会場内の罵声は一段と激しさを増していくのが分かった。私は恐怖と絶望で頭が真っ白になった時、クリスが優しく私の顔を両手で包むと自分の方に向けた。
「大丈夫だよ。ティアラ。僕だけを見るんだ。僕を信じて、僕だけに話しかけるようにしよう」
そう言うとクリスはポケットからハンカチを出して私の涙を優しく拭いた後、私に話しかけてきた。
「まず病気を治すために何をしたか教えてよ」
「ま……まずは、病気の人の血液をコカス鳥に注入しました」
「なぜ? コカス鳥に注入したの?」
「そ……それは。コカス鳥は免疫力が人より高いと思ったから」
クリスは私をみて、私はクリスだけを見て答えているうちに気がつくとあれだけ有った緊張がいつの間にか無くなっていた。次第に会場の罵声も止んで多くの人が私とクリスのやり取りを静かに聞くようになっていた。
こんなに大勢の人の前で自分でもびっくりするぐらい言葉が次々に出てきた。私はクリスの優しさが嬉しかった。
クリスと私のやり取りが終わると、会場はシーンとしていたが、誰か一人が拍手をするとそれに釣られるように二人三人と拍手が増えていき、やがて会場中が拍手で包まれた。
しかし拍手が鳴り止むと誰かが大声で叫びだした。
「本当にそんなことができるのかーーー!」
「本当だ、デタラメを言っているんじゃないのかーーー!」
罵声も開始前よりは少ないものの、所々で上がるようになった。私がどうしようか困惑していると、誰かが後ろから出てきて私の前に立つと大声で叫んだ。
「うるせーーーー!!!、このやろーーーー!!!」
アルフレッドが私の前で罵声よりももっと大きい声で叫んでいた。
「愚か者どもよく聞け!! このアルフレッド=クリムゾン=アークガルドの名に誓ってティアラの真実をここに証明する!!」
会場は静まりかえっていた。アルフレッドは追い打ちをかけるように続けた。
「いいか! これよりこのティアラを侮辱するやつは、この俺を侮辱することと同義となり厳罰に処するからな! 覚悟して発言しろよ!」
アルフレッドの発言に誰も何も言えず会場がシーンとしていたところにミネルバ公王が出てきた。
「まだ何か言い足りない者もいるかもしれん、ティアラの言ったことが嘘だと思っている者もいるかもしれんが、大事なのはティアラの治療で助かった者がいるという事実があることだと思う。確かにティアラが行ったことは見ようによってはアスペルド教団の教えを否定しいると感じることもあるだろうが、実際に助かった者がいるいじょう教団としてティアラを侮辱することはこの私が許さん」
これで討論会は終了する、と言ってミネルバ公王は壇上から降りた。
討論会は無事に終了した。私は安堵すると力が抜けてその場にしゃがみこんだ。
しばらくの間放心状態になっていると三人が近くに来た。
「「「お疲れ様、ティアラ。よく頑張ったね」」」
三人に褒められて嬉しくて涙が溢れた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜
具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです
転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!?
肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!?
その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。
そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。
前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、
「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。
「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」
己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、
結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──!
「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」
でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……!
アホの子が無自覚に世界を救う、
価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
【完結】異世界リメイク日和〜おじいさん村で第二の人生はじめます〜
天音蝶子(あまねちょうこ)
ファンタジー
壊れた椅子も、傷ついた心も。
手を動かせば、もう一度やり直せる。
——おじいさん村で始まる、“優しさ”を紡ぐ異世界スローライフ。
不器用な鍛冶師と転生ヒロインが、手仕事で未来をリメイクしていく癒しの日々。
今日も風の吹く丘で、桜は“ここで生きていく”。
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる