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〜兄弟の絆〜
血清の作り方
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私とカイトは一旦自宅に戻っていた。
カイトの家にある物を取りに帰るためだった。
ギルティーの二人、マチルダとセナのペストを治すためには、私の体に流れる血液から血清を取り出して患者に投与する必要が有った。
血液は血球(赤血球・白血球・血小板)などの細胞成分と血漿からなる液性成分からできており、ペスト菌の抗体のある血清はこの血漿の部分にある。
私は台所を探して目当ての物を見つけた。
「あ……あったわ!」
「何だそれは?」
「これは野菜の水切りをするためのものね」
「こんな物が必要なのか?」
カイトは不思議そうに野菜の水切り装置を見ていた。
この装置は中央に大きな円形のバケットがあって、脇に小さなハンドルが付いていた。このハンドルを回すと中央のバケットが勢いよく回転してバケットに入れた野菜の水を遠心力により周りに弾き飛ばす構造になっていた。
「血液から血清を取り出すにはこの遠心力が必要なの」
「遠心力を使って何をしたいんだ?」
「血液の入った容器をバケットに取り付けて一分間に3500回転で5分間回せば血液が遠心力で血球と血漿に分かれるの」
「そんなことができるのか?」
「ええ。その分離した血漿部分を取り出してペスト患者に投与すれば治すことができるわ」
カイトは唖然としていたが私は野菜の水切り装置を袋に入れると患者の家に向かった。
◇
私達はマチルダの家に着いた。
呼び鈴を鳴らすといかにも具合の悪そうな女性が出てきた。
「!? カイト隊長? どうしたんですか?」
「ああ。体調を崩したと聞いたんでお見舞いに来たんだ」
「ええ? こ……こんなところまでわざわざ……申し訳ありません」
「な…何を言ってるんだよ。それよりも知り合いに病気の特効薬を持ってる人物が居たので連れて来たよ」
カイトはそう言うと私をマチルダに紹介した。
「ん? こ……この人は……?」
マチルダは深々とフードを被っている私を怪しげに見た。
「こ……こう見えて名医なんだよ。と……とりあえず症状をこの人に見てもらおう」
「え……ええ。カイト隊長がそう言うなら……」
マチルダの家に上がると家の奥の一室に通された。
マチルダは夫と二人で暮らしていた。私が二人を診察すると初期ではあるが、やはりペストの症状が見られた。
私はカイトに目で合図を送った。
「薬の用意があるから二人共ここで待っててくれ」
カイトは事前の打ち合わせ通りに二人にそう言った。
「え? あ……はい。わかりました」
唖然とするマチルダ夫婦を部屋に置いて私達は隣の部屋に移動した。
いくら特効薬と言われても他人の体の血液を注射されるのは抵抗があるだろうと思い事前にカイトと打ち合わせをして製造過程は患者に見せないようにしようと私が提案していた。
私は隣の部屋につくとすぐに腕を出して注射器を血管に挿して血液を取り出した。
ペスト菌の抗体は50cc必要だった。血液中の血清は全体の約半分の量しか無いので血清を50cc取り出すには血液を一人あたり100cc採血する必要が有った。
私は二人分の200ccの血液を取り出すと遠心分離機に取り付けた。カイトは一生懸命手動でそれを回し続けて大汗をかいたが、無事に血清を取り出すことに成功した。
私はその血清を二人に投与した。
後遺症が出ないか心配だったためそのまましばらく二人を看病していた。二人共症状が軽かっのか夕方には熱が下がり始め回復の兆候が出てきた。
「だいぶ楽になりました」
マチルダは私の両手を掴んで嬉しそうにお礼をしてきた。
「それは良かった」
「もう出ていくのですか?」
「ああ。セナの家にも行こうかと思って」
「え! セナも私と同じ症状ですか?」
「ああ。そうみたいなんだ」
「大変。セナのところにはまだ小さい子供も居るのに」
「なに? そう言えばセナのところは何人家族なんだ?」
「夫婦ふたりと子供三人の5人家族です」
「なに! そんなに居るのか?」
「早く行きましょう!」
私は猛烈に嫌な予感がした。
「よし、じゃあそういうことでマチルダ元気でな」
「はい。本当にありがとうございました。今度お礼にお二方にごちそうさせてください」
「あ……ああ。わかったよ」
私達はマチルダの言葉に空返事をして、セナの家に急いで向かった。
カイトの家にある物を取りに帰るためだった。
ギルティーの二人、マチルダとセナのペストを治すためには、私の体に流れる血液から血清を取り出して患者に投与する必要が有った。
血液は血球(赤血球・白血球・血小板)などの細胞成分と血漿からなる液性成分からできており、ペスト菌の抗体のある血清はこの血漿の部分にある。
私は台所を探して目当ての物を見つけた。
「あ……あったわ!」
「何だそれは?」
「これは野菜の水切りをするためのものね」
「こんな物が必要なのか?」
カイトは不思議そうに野菜の水切り装置を見ていた。
この装置は中央に大きな円形のバケットがあって、脇に小さなハンドルが付いていた。このハンドルを回すと中央のバケットが勢いよく回転してバケットに入れた野菜の水を遠心力により周りに弾き飛ばす構造になっていた。
「血液から血清を取り出すにはこの遠心力が必要なの」
「遠心力を使って何をしたいんだ?」
「血液の入った容器をバケットに取り付けて一分間に3500回転で5分間回せば血液が遠心力で血球と血漿に分かれるの」
「そんなことができるのか?」
「ええ。その分離した血漿部分を取り出してペスト患者に投与すれば治すことができるわ」
カイトは唖然としていたが私は野菜の水切り装置を袋に入れると患者の家に向かった。
◇
私達はマチルダの家に着いた。
呼び鈴を鳴らすといかにも具合の悪そうな女性が出てきた。
「!? カイト隊長? どうしたんですか?」
「ああ。体調を崩したと聞いたんでお見舞いに来たんだ」
「ええ? こ……こんなところまでわざわざ……申し訳ありません」
「な…何を言ってるんだよ。それよりも知り合いに病気の特効薬を持ってる人物が居たので連れて来たよ」
カイトはそう言うと私をマチルダに紹介した。
「ん? こ……この人は……?」
マチルダは深々とフードを被っている私を怪しげに見た。
「こ……こう見えて名医なんだよ。と……とりあえず症状をこの人に見てもらおう」
「え……ええ。カイト隊長がそう言うなら……」
マチルダの家に上がると家の奥の一室に通された。
マチルダは夫と二人で暮らしていた。私が二人を診察すると初期ではあるが、やはりペストの症状が見られた。
私はカイトに目で合図を送った。
「薬の用意があるから二人共ここで待っててくれ」
カイトは事前の打ち合わせ通りに二人にそう言った。
「え? あ……はい。わかりました」
唖然とするマチルダ夫婦を部屋に置いて私達は隣の部屋に移動した。
いくら特効薬と言われても他人の体の血液を注射されるのは抵抗があるだろうと思い事前にカイトと打ち合わせをして製造過程は患者に見せないようにしようと私が提案していた。
私は隣の部屋につくとすぐに腕を出して注射器を血管に挿して血液を取り出した。
ペスト菌の抗体は50cc必要だった。血液中の血清は全体の約半分の量しか無いので血清を50cc取り出すには血液を一人あたり100cc採血する必要が有った。
私は二人分の200ccの血液を取り出すと遠心分離機に取り付けた。カイトは一生懸命手動でそれを回し続けて大汗をかいたが、無事に血清を取り出すことに成功した。
私はその血清を二人に投与した。
後遺症が出ないか心配だったためそのまましばらく二人を看病していた。二人共症状が軽かっのか夕方には熱が下がり始め回復の兆候が出てきた。
「だいぶ楽になりました」
マチルダは私の両手を掴んで嬉しそうにお礼をしてきた。
「それは良かった」
「もう出ていくのですか?」
「ああ。セナの家にも行こうかと思って」
「え! セナも私と同じ症状ですか?」
「ああ。そうみたいなんだ」
「大変。セナのところにはまだ小さい子供も居るのに」
「なに? そう言えばセナのところは何人家族なんだ?」
「夫婦ふたりと子供三人の5人家族です」
「なに! そんなに居るのか?」
「早く行きましょう!」
私は猛烈に嫌な予感がした。
「よし、じゃあそういうことでマチルダ元気でな」
「はい。本当にありがとうございました。今度お礼にお二方にごちそうさせてください」
「あ……ああ。わかったよ」
私達はマチルダの言葉に空返事をして、セナの家に急いで向かった。
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