54 / 117
〜兄弟の絆〜
爆弾女
しおりを挟む
カイトと再会を果たした後、私達は食事をすることになった。
食卓のテーブルの中央には私が作った赤マスという鮭によく似た魚の料理があった。
見た目は鮭に似ていたが、身は淡白な白身の魚だったので煮魚にした。
醤油・酒・砂糖・生姜などで簡素に味付けを行った。それほど手の混んだ料理とはいえなかったが、この国のエルフは料理に味付けをあまりしないので、みんなに喜んでもらえるか不安だった。
赤マスは煮付け料理と相性が良かった。身が柔らかで煮汁が十分に浸透して食感はぷりぷりして箸で持つと身がホロホロに崩れた。自分で言うのも何だが最高に美味しい煮魚料理になったと自信を持って言えるだろう。
カイトは喜んでくれるだろうか?、不安だった気持ちは次の瞬間吹き飛んだ。
カイトは私の作った赤マスの料理を食べて興奮していた。
「何だこれは? こんなに美味い赤マスは食べたこと無い」
カイトに褒められて私は嬉しいやら、恥ずかしいやらで顔が赤くなったので、見られないように俯いた。
カイトが興奮しているとリンが横から意地悪そうに聞いた。
「その赤マス料理は誰が作ったと思います?」
「え? まさか?……」
カイトはそう言うと私の顔をみた。
「ティアラが作ってくれたのか?」
「あ……、は……はい……」
恥ずかしくて俯いたまま答えた。
「こんな美味しい料理を作ってくれてありがとう」
カイトは満面の笑みで言ってくれた。その言葉を聞いた瞬間、涙が出てきた。
「どうした? 俺、何か傷つけることを言ったか?」
カイトはすぐに席を立つと慌てて駆け寄ってきた。
「ううん。違うの……、私ここに戻ってきてまたカイトの迷惑になるんじゃないかって思っていて……怖かったの……」
「迷惑なんて……、思ってないよ。ティアラは好きなだけここにいて良いんだよ」
カイトはそう言うと優しく私の頭を抱きしめてくれた。本当にここにいて良いんだ、泣き顔をカイトの胸に埋めながらそう思った。
「本当にカイト隊長が元気になってよかった」
私達を見ていたリンが冷やかすようにカイトに言った。
「え?」
私はなんのことか分からずそう言うとカイトを見た。カイトは赤い顔をしながら慌てて否定した。
「な! そ……そんなことはないぞ!」
「本当に雷雲が晴れてよかったわ~~」
リンが窓を開けて少し明るくなった空を見ながら言った。それを見たマチルダが私を見て言った。
「本当に無事に連れてこられてよかったよ」
「ご苦労だったな、マチルダ。本当に連れて来てくれてありがとう」
「そりゃカイト隊長のフィアンセだもの万が一の事があれば私がどうなるかわからないもの」
「ち……違うと言ってるだろ!」
カイトは顔を真っ赤にして否定した。
「それはそうと、もう一人協力者がいて、もうじきここに来るわ」
「協力者? 誰だ?」
「ティアラをここまで連れてくるのに協力してくれた人よ」
「誰か協力してくれた人がいるの?」
リンが不思議そうにマチルダに聞いた。
「ええそうよ。私一人の力じゃ誰にも見つからずにここへ来れなかったわ」
「それって……、まさか……あいつが?」
カイトの顔が真っ青になった。
「ああ、そう言えばあの方とカイト隊長は、なにかと縁がありましたね」
マチルダは笑いながらカイトに言った。
「カイトの友達?」
私は気になってカイトに聞いてみた。
「友達なんかじゃないよ、あいつは……」
『ドンドン!!』
玄関のドアが激しく鳴った。
「ほら、噂をすれば来たみたいね」
カイトは渋い顔をして玄関をじっと見ていた。
「どうしたの? 玄関のドア開けないの?」
カイトを見ると額から玉のような汗をかいていた。こんなに真剣な表情のカイトを見たのは初めてだった。
動く気配が無かったので、代わりに玄関を開けようと近づこうとした時、カイトに腕を掴まれた。
「待てティアラ。危険だ。俺が出る」
カイトはそう言うと玄関に恐る恐る近づいて行った。
ドアを開けようとドアノブに手を掛けようとした瞬間、『ドガーン!』と轟音が響き渡りドアはバラバラに弾け飛んだ。
粉々になった玄関ドアの破片の上を何事もないように歩いて一人の女性が家の中に入ってきた。
女性は褐色の肌色をして髪は肩口まであるロングヘヤーで赤色、目も隻眼で体は出るところは出て引っ込むところは引っ込んだグラマラスなボディーをしていた。年齢は30歳前後でカイト達よりも少し年を取った大人の女性といった印象のエルフだった。
「ゲッ! 爆弾女……」
カイトは女性を見ると思わず呟いた。すぐに失言に気づいて口を手で抑えたが時すでに遅かった。
爆弾女と言われた女性は、カイトを睨みつけるとほっぺたを両手でつまんで左右に引っ張った。
「いで……いででで…………」
「相変わらずお前達兄弟は口が悪いな! 私が再教育してやろうか?!」
「いででで……ご……ごめんなさい。ゆるして……メ……メルーサ……」
「メルーサさんだ!!」
メルーサと呼ばれた女性は一層強くほっぺたをつねった。カイトのほっぺたがもっと伸びて整った顔が激しく変形した。
「ご……ごめんなひゃい……メ……メルーひゃひゃん……ひゅ……ひゅるして……」
メルーサはひとしきりカイトの頬をつねると最後に両手を左右に思いっきり引っ張って外した。
『バチン! バチン!』
大きな音とともにほっぺたの痛みから開放されたカイトだったが、あまりの勢いでその場で崩れ落ちた。頬が赤く腫れ上がってすごく痛そうだった。私は心配になり倒れたカイトの近くに駆け寄ると赤くなったほっぺたを優しく撫でた。
「うぅ……いてて……」
「カイト大丈夫?」
「ああ。心配ないさ……ありがとう」
カイトは私の手を取るとにっこり笑った。その眩しい笑顔をいつまでも見ていたいと思った。
その時ふと視線が気になったのでメルーサを見た。彼女はものすごい形相で私達を見ていた。
そのジトッと纏わりつくような視線は、以前見たことがあった。アルフレッドが私を婚約者としてみんなの前で紹介したときに感じた、女生徒の視線に似ていた。女性が嫉妬するときに見せる表情に似ていると感じた。
(もしかしてこの人はカイトのことが好きなのかもしれない。)
私はどす黒い何かが心の中に広がっていく、初めて自分が自分で無くなっていくような不思議な感覚に気づいた。
(ああ……これが……嫉妬というものか……)
私はメルーサに嫉妬した。
食卓のテーブルの中央には私が作った赤マスという鮭によく似た魚の料理があった。
見た目は鮭に似ていたが、身は淡白な白身の魚だったので煮魚にした。
醤油・酒・砂糖・生姜などで簡素に味付けを行った。それほど手の混んだ料理とはいえなかったが、この国のエルフは料理に味付けをあまりしないので、みんなに喜んでもらえるか不安だった。
赤マスは煮付け料理と相性が良かった。身が柔らかで煮汁が十分に浸透して食感はぷりぷりして箸で持つと身がホロホロに崩れた。自分で言うのも何だが最高に美味しい煮魚料理になったと自信を持って言えるだろう。
カイトは喜んでくれるだろうか?、不安だった気持ちは次の瞬間吹き飛んだ。
カイトは私の作った赤マスの料理を食べて興奮していた。
「何だこれは? こんなに美味い赤マスは食べたこと無い」
カイトに褒められて私は嬉しいやら、恥ずかしいやらで顔が赤くなったので、見られないように俯いた。
カイトが興奮しているとリンが横から意地悪そうに聞いた。
「その赤マス料理は誰が作ったと思います?」
「え? まさか?……」
カイトはそう言うと私の顔をみた。
「ティアラが作ってくれたのか?」
「あ……、は……はい……」
恥ずかしくて俯いたまま答えた。
「こんな美味しい料理を作ってくれてありがとう」
カイトは満面の笑みで言ってくれた。その言葉を聞いた瞬間、涙が出てきた。
「どうした? 俺、何か傷つけることを言ったか?」
カイトはすぐに席を立つと慌てて駆け寄ってきた。
「ううん。違うの……、私ここに戻ってきてまたカイトの迷惑になるんじゃないかって思っていて……怖かったの……」
「迷惑なんて……、思ってないよ。ティアラは好きなだけここにいて良いんだよ」
カイトはそう言うと優しく私の頭を抱きしめてくれた。本当にここにいて良いんだ、泣き顔をカイトの胸に埋めながらそう思った。
「本当にカイト隊長が元気になってよかった」
私達を見ていたリンが冷やかすようにカイトに言った。
「え?」
私はなんのことか分からずそう言うとカイトを見た。カイトは赤い顔をしながら慌てて否定した。
「な! そ……そんなことはないぞ!」
「本当に雷雲が晴れてよかったわ~~」
リンが窓を開けて少し明るくなった空を見ながら言った。それを見たマチルダが私を見て言った。
「本当に無事に連れてこられてよかったよ」
「ご苦労だったな、マチルダ。本当に連れて来てくれてありがとう」
「そりゃカイト隊長のフィアンセだもの万が一の事があれば私がどうなるかわからないもの」
「ち……違うと言ってるだろ!」
カイトは顔を真っ赤にして否定した。
「それはそうと、もう一人協力者がいて、もうじきここに来るわ」
「協力者? 誰だ?」
「ティアラをここまで連れてくるのに協力してくれた人よ」
「誰か協力してくれた人がいるの?」
リンが不思議そうにマチルダに聞いた。
「ええそうよ。私一人の力じゃ誰にも見つからずにここへ来れなかったわ」
「それって……、まさか……あいつが?」
カイトの顔が真っ青になった。
「ああ、そう言えばあの方とカイト隊長は、なにかと縁がありましたね」
マチルダは笑いながらカイトに言った。
「カイトの友達?」
私は気になってカイトに聞いてみた。
「友達なんかじゃないよ、あいつは……」
『ドンドン!!』
玄関のドアが激しく鳴った。
「ほら、噂をすれば来たみたいね」
カイトは渋い顔をして玄関をじっと見ていた。
「どうしたの? 玄関のドア開けないの?」
カイトを見ると額から玉のような汗をかいていた。こんなに真剣な表情のカイトを見たのは初めてだった。
動く気配が無かったので、代わりに玄関を開けようと近づこうとした時、カイトに腕を掴まれた。
「待てティアラ。危険だ。俺が出る」
カイトはそう言うと玄関に恐る恐る近づいて行った。
ドアを開けようとドアノブに手を掛けようとした瞬間、『ドガーン!』と轟音が響き渡りドアはバラバラに弾け飛んだ。
粉々になった玄関ドアの破片の上を何事もないように歩いて一人の女性が家の中に入ってきた。
女性は褐色の肌色をして髪は肩口まであるロングヘヤーで赤色、目も隻眼で体は出るところは出て引っ込むところは引っ込んだグラマラスなボディーをしていた。年齢は30歳前後でカイト達よりも少し年を取った大人の女性といった印象のエルフだった。
「ゲッ! 爆弾女……」
カイトは女性を見ると思わず呟いた。すぐに失言に気づいて口を手で抑えたが時すでに遅かった。
爆弾女と言われた女性は、カイトを睨みつけるとほっぺたを両手でつまんで左右に引っ張った。
「いで……いででで…………」
「相変わらずお前達兄弟は口が悪いな! 私が再教育してやろうか?!」
「いででで……ご……ごめんなさい。ゆるして……メ……メルーサ……」
「メルーサさんだ!!」
メルーサと呼ばれた女性は一層強くほっぺたをつねった。カイトのほっぺたがもっと伸びて整った顔が激しく変形した。
「ご……ごめんなひゃい……メ……メルーひゃひゃん……ひゅ……ひゅるして……」
メルーサはひとしきりカイトの頬をつねると最後に両手を左右に思いっきり引っ張って外した。
『バチン! バチン!』
大きな音とともにほっぺたの痛みから開放されたカイトだったが、あまりの勢いでその場で崩れ落ちた。頬が赤く腫れ上がってすごく痛そうだった。私は心配になり倒れたカイトの近くに駆け寄ると赤くなったほっぺたを優しく撫でた。
「うぅ……いてて……」
「カイト大丈夫?」
「ああ。心配ないさ……ありがとう」
カイトは私の手を取るとにっこり笑った。その眩しい笑顔をいつまでも見ていたいと思った。
その時ふと視線が気になったのでメルーサを見た。彼女はものすごい形相で私達を見ていた。
そのジトッと纏わりつくような視線は、以前見たことがあった。アルフレッドが私を婚約者としてみんなの前で紹介したときに感じた、女生徒の視線に似ていた。女性が嫉妬するときに見せる表情に似ていると感じた。
(もしかしてこの人はカイトのことが好きなのかもしれない。)
私はどす黒い何かが心の中に広がっていく、初めて自分が自分で無くなっていくような不思議な感覚に気づいた。
(ああ……これが……嫉妬というものか……)
私はメルーサに嫉妬した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜
具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです
転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!?
肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!?
その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。
そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。
前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、
「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。
「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」
己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、
結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──!
「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」
でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……!
アホの子が無自覚に世界を救う、
価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
【完結】異世界リメイク日和〜おじいさん村で第二の人生はじめます〜
天音蝶子(あまねちょうこ)
ファンタジー
壊れた椅子も、傷ついた心も。
手を動かせば、もう一度やり直せる。
——おじいさん村で始まる、“優しさ”を紡ぐ異世界スローライフ。
不器用な鍛冶師と転生ヒロインが、手仕事で未来をリメイクしていく癒しの日々。
今日も風の吹く丘で、桜は“ここで生きていく”。
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる