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〜兄弟の絆〜
戦火のグラナダ
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ルーン大国の兵士が持っていた指令書により、ルーン大国の大軍がグラナダを襲撃することを突き止めたマルクスとメル―サの部隊は急いでグラナダに向かっていた。
「それにしても、なぜルーン大国はグラナダを襲撃しようとしてるんだ?」
メル―サは走りながらマルクスに聞いた。
「おそらくボルダーにいる我々が目障りなんだろう。ボルダーに居る我々を攻撃する前に逃げ道のグラナダを占領して両方からボルダーを攻め落とす気なんだろう」
マルクスの答えにメルーサは納得した。マルクスやメル―サの居るボルダーはグラナダにあるヒロタ川を超えてルーン大国に入った場所にある前線基地だった。マルクスの言う通りボルダーを攻め落としても兵士はすぐに後方のグラナダに逃げてしまうだろう。だが、グラナダを先に攻略してしまうとボルダーの兵士は逃げ場所を失ってしまう。
「そんなにボルダーにいる我々が怖いのか?」
「怖いと言うよりも憎いんだろう」
ボルダーにいる兵士たちは、一癖も二癖もある者たちで構成されていたが、思ったよりも善戦していた。ルーン大国もボルダーは無視できない存在になったので、本気で攻略にきたのだろうと、マルクスは思った。
◇
マルクスたちがグラナダに到着するとすでに町の人々は、荷物をまとめて町から逃げ出していた。
「これは? どういうことだ?」
メルーサは逃げている兵士を捕まえて話を聞くと兵士は震える声で話した。
「ルーン大国の大軍がこの町を襲撃するつもりだ! 司令部から撤退の命令がでた!」
そう言うと兵士はメル―サの掴んだ手を振り払って我先にと逃げ出した。
「報告する手間が省けたな」
マルクスはメル―サを見て言った。
「どうやらほとんどの住人はすでに町を出ていったようだな」
「ああ、そのようだな」
マルクスとメル―サは町を見渡しながら次々と居なくなっていく住民を見ながら言った。
「我々も早くここから逃げよう」
メルーサは自分の部下たちに撤退するように指示を出しながら言った。マルクスもメルーサと一緒に町から出ようとした時、まだ明かりが点いている家を発見した。
「ん? あの家は? まだ明かりが点いているようだが誰か居るのか?」
「ああ、あれは……、あんたの部下のルディーの実家だな」
「なんだと? あいつまさかあそこに隠れているのか?」
マルクスはルディーに自分を罠にはめたのか真相を聞きたくて明かりの点いた家に向かった。
『ドンドンドン!』
マルクスはルディーの実家のドアを激しく叩いた。
「はい」
扉が開くと中から年老いた男の人間が杖をつきながら出てきた。グラナダで人間の男はほとんど見たことがないのでこの人がルディーの父親だろう。
「何か御用ですか?」
「私はルディーさんの上司のマルクスと申しますが、ご子息はご在宅ですか?」
マルクスの質問に父親は首を横に降った。残念ながらルディーはいなかった。父親はそう言うと扉を閉めようとしたので、マルクスは咄嗟に閉じかけた扉を手で止めた。
「貴方はどうするのですか? 早くここから逃げ出さないと?」
「ああ、私の事は放って置いてくれたまえ」
「いや、そういう訳にはいかない。早く私たちと逃げましょう」
「それはできない」
「え? それは何故ですか?」
老人の答えに納得できず、何度か押し問答を繰り返した後、観念した老人はマルクスとメルーサを家に招き入れた。
「これを見てくれ」
マルクスとメルーサは部屋の中を見て言葉を失った。そこには女性のエルフがベッドに横たわっていた。女性はおそらくルディの母親だろう、それよりもマルクスたちが驚いたのは、女性の体から根っこのような物が出てベッドの至るところに絡まっていた。よく見るとベッドだけではなく部屋全体に根が張り巡らされていてエルフと同化しているように見えた。
「これは?」
「メトシェラ……」
メル―サが呟いた。
「メトシェラだと? そんな……」
メトシェラとは年老いたエルフが発症する病気の一種で、樹齢何千年の巨木が周りの木々や岩と同化するように、年老いたエルフも周りの植物や物とだんだん同化していく病を示す。マルクスも話には聞いたことがあったが、見たのは初めてで言葉を失った。
「意識のあるうちは話すことができたんだが、今はこの通り一日中寝てしまっている」
老人は寂しそうに妻のエルフを見た。
「妻はここから動けないから、妻を残して行くわけには行かない」
「失礼ですが……、奥さんはもう……」
マルクスが何かを言おうとした瞬間、老人は手で制した。
「分かっている。もうすでにこの世のものではないかもしれない。でも、私は命の限り妻のそばに居たいんだ」
老人はそう言うとマルクスの手を取って、君たちは私達に構わず、ここから逃げてくれ、と懇願された。
マルクスとメル―サは老人の必死な願いにルディーの家を出た。
メル―サはルディーの家を出るとすぐに撤退のため走り出したが、マルクスは自分とは反対の方向へ走っていくのを見た。
「マルクス! 何してる! そっちじゃない! 退路はこっちだ!」
聞こえないのか、大声で叫んでもマルクスは立ち止まらない、たまらず、メル―サは走るマルクスを追いかけると腕を掴んだ。
「何してるんだ! 逃げるならこっちだと言ってるだろう!」
「なんで逃げるんだ?」
「は? 司令部から撤退命令が出ている。早くここから撤退するぞ」
「俺は撤退しない」
「撤退しないだと? 何をする気だ?」
「この町を守る」
「は? 何バカげたことを言ってるんだ! 一人じゃ無理に決まってるだろ!」
「無理かどうかはやってみないとわからないさ」
そう言うと構わず走り出すマルクスをメル―サは再び強引に止めた。
「なぜ、この町を守るんだ? もう殆どの住人は居なくなってるのに?」
「ルディーの家族が残っている」
「え?」
「仲間の家族は俺の家族も同然だ」
マルスクはそう言うとメルーサの手を振りほどいて、ルーンの兵士が今にも攻め入ろうとしているヒロタ川に向けて走り出した。
「それにしても、なぜルーン大国はグラナダを襲撃しようとしてるんだ?」
メル―サは走りながらマルクスに聞いた。
「おそらくボルダーにいる我々が目障りなんだろう。ボルダーに居る我々を攻撃する前に逃げ道のグラナダを占領して両方からボルダーを攻め落とす気なんだろう」
マルクスの答えにメルーサは納得した。マルクスやメル―サの居るボルダーはグラナダにあるヒロタ川を超えてルーン大国に入った場所にある前線基地だった。マルクスの言う通りボルダーを攻め落としても兵士はすぐに後方のグラナダに逃げてしまうだろう。だが、グラナダを先に攻略してしまうとボルダーの兵士は逃げ場所を失ってしまう。
「そんなにボルダーにいる我々が怖いのか?」
「怖いと言うよりも憎いんだろう」
ボルダーにいる兵士たちは、一癖も二癖もある者たちで構成されていたが、思ったよりも善戦していた。ルーン大国もボルダーは無視できない存在になったので、本気で攻略にきたのだろうと、マルクスは思った。
◇
マルクスたちがグラナダに到着するとすでに町の人々は、荷物をまとめて町から逃げ出していた。
「これは? どういうことだ?」
メルーサは逃げている兵士を捕まえて話を聞くと兵士は震える声で話した。
「ルーン大国の大軍がこの町を襲撃するつもりだ! 司令部から撤退の命令がでた!」
そう言うと兵士はメル―サの掴んだ手を振り払って我先にと逃げ出した。
「報告する手間が省けたな」
マルクスはメル―サを見て言った。
「どうやらほとんどの住人はすでに町を出ていったようだな」
「ああ、そのようだな」
マルクスとメル―サは町を見渡しながら次々と居なくなっていく住民を見ながら言った。
「我々も早くここから逃げよう」
メルーサは自分の部下たちに撤退するように指示を出しながら言った。マルクスもメルーサと一緒に町から出ようとした時、まだ明かりが点いている家を発見した。
「ん? あの家は? まだ明かりが点いているようだが誰か居るのか?」
「ああ、あれは……、あんたの部下のルディーの実家だな」
「なんだと? あいつまさかあそこに隠れているのか?」
マルクスはルディーに自分を罠にはめたのか真相を聞きたくて明かりの点いた家に向かった。
『ドンドンドン!』
マルクスはルディーの実家のドアを激しく叩いた。
「はい」
扉が開くと中から年老いた男の人間が杖をつきながら出てきた。グラナダで人間の男はほとんど見たことがないのでこの人がルディーの父親だろう。
「何か御用ですか?」
「私はルディーさんの上司のマルクスと申しますが、ご子息はご在宅ですか?」
マルクスの質問に父親は首を横に降った。残念ながらルディーはいなかった。父親はそう言うと扉を閉めようとしたので、マルクスは咄嗟に閉じかけた扉を手で止めた。
「貴方はどうするのですか? 早くここから逃げ出さないと?」
「ああ、私の事は放って置いてくれたまえ」
「いや、そういう訳にはいかない。早く私たちと逃げましょう」
「それはできない」
「え? それは何故ですか?」
老人の答えに納得できず、何度か押し問答を繰り返した後、観念した老人はマルクスとメルーサを家に招き入れた。
「これを見てくれ」
マルクスとメルーサは部屋の中を見て言葉を失った。そこには女性のエルフがベッドに横たわっていた。女性はおそらくルディの母親だろう、それよりもマルクスたちが驚いたのは、女性の体から根っこのような物が出てベッドの至るところに絡まっていた。よく見るとベッドだけではなく部屋全体に根が張り巡らされていてエルフと同化しているように見えた。
「これは?」
「メトシェラ……」
メル―サが呟いた。
「メトシェラだと? そんな……」
メトシェラとは年老いたエルフが発症する病気の一種で、樹齢何千年の巨木が周りの木々や岩と同化するように、年老いたエルフも周りの植物や物とだんだん同化していく病を示す。マルクスも話には聞いたことがあったが、見たのは初めてで言葉を失った。
「意識のあるうちは話すことができたんだが、今はこの通り一日中寝てしまっている」
老人は寂しそうに妻のエルフを見た。
「妻はここから動けないから、妻を残して行くわけには行かない」
「失礼ですが……、奥さんはもう……」
マルクスが何かを言おうとした瞬間、老人は手で制した。
「分かっている。もうすでにこの世のものではないかもしれない。でも、私は命の限り妻のそばに居たいんだ」
老人はそう言うとマルクスの手を取って、君たちは私達に構わず、ここから逃げてくれ、と懇願された。
マルクスとメル―サは老人の必死な願いにルディーの家を出た。
メル―サはルディーの家を出るとすぐに撤退のため走り出したが、マルクスは自分とは反対の方向へ走っていくのを見た。
「マルクス! 何してる! そっちじゃない! 退路はこっちだ!」
聞こえないのか、大声で叫んでもマルクスは立ち止まらない、たまらず、メル―サは走るマルクスを追いかけると腕を掴んだ。
「何してるんだ! 逃げるならこっちだと言ってるだろう!」
「なんで逃げるんだ?」
「は? 司令部から撤退命令が出ている。早くここから撤退するぞ」
「俺は撤退しない」
「撤退しないだと? 何をする気だ?」
「この町を守る」
「は? 何バカげたことを言ってるんだ! 一人じゃ無理に決まってるだろ!」
「無理かどうかはやってみないとわからないさ」
そう言うと構わず走り出すマルクスをメル―サは再び強引に止めた。
「なぜ、この町を守るんだ? もう殆どの住人は居なくなってるのに?」
「ルディーの家族が残っている」
「え?」
「仲間の家族は俺の家族も同然だ」
マルスクはそう言うとメルーサの手を振りほどいて、ルーンの兵士が今にも攻め入ろうとしているヒロタ川に向けて走り出した。
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