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「……あの日だって……クリスマスに一緒に映画行こうって誘うつもりだったのに……」
「いや……それは間が悪くて……ごめん」
「謝んないで下さいよ、先輩は何も悪くないんですから……悪いのはいつまでも先輩に迫って行かなかった私なので……」
「せ、迫るつもりだったんだ……」
なんとも申し訳ないが、俺は今は先輩と付き合っている。
いくら目の前のバイトの後輩の女の子が、良い子で可愛いと言っても、浮気は良くない。
それに、俺は多分、愛実ちゃんより先輩が好きだ。
なんだかんだ言っても、あの人の裏も表も知っているし、あの人はなんだか放っておけない。
「……ごめんね、俺は先輩のことが……」
「そうですか。でもそんなの些細な事です」
「え?」
「だって、奪えば関係ないじゃないですか」
「え? え?」
「だから、奪っちゃえば問題ないですもん」
「what?」
「なんで突然英語なんですか?」
俺としたことが、愛実ちゃんが何を言っているのか理解できず、混乱してしまった。
しかし、愛実ちゃんはこんなとんでもない事を言うような子だっただろうか?
なんだか、今日の彼女は少し恐い……マスターも小刻みに震えている。
マスター……コーヒー零れてますよ……。
「先輩、私の事嫌いですか?」
「い、いや……嫌いじゃないけど……」
「それなら、まだ望みはありますよね? なら、私はあの人から先輩を奪います」
「えっと……他の人を好きになるとかは……」
「無いです。私先輩の事大好きですもん」
恥ずかしげも無く、なんとも良い笑顔で恥ずかしい台詞を……。
マスター何顔を赤くしてんだよ……マスターが恥ずかしがらないでくれ……。
まぁ、確かに女子高生にそう言われるのは、嬉しいんだが……こう言うの昼ドラみたいな展開はあまりよろしくない気がする。
愛実ちゃんには、別な良い人と幸せになって貰いたい。
「えっと……俺は先輩の事が好きだから…そう言うのはちょっと……困るかな?」
「本当ですか?」
「え?」
「本当は女子高生に大好きって言われて。嬉しいとか思いませんでした?」
「えっと……それは……」
まぁ、嬉しかったけど……。
「私がもしも、先輩に何でもして良いですよって言ったら、先輩絶対私にエッチな事しますよね? それって私の気持ちを迷惑と思ってないって事ですよね? むしろ嬉しいですよね?」
「いやいや! なんで俺が愛実ちゃんにエロい事するみたいな話しになってるの! しないから!」
本当はその場の雰囲気とかでやっちょうかもだけど……。
だって、俺だって男だし、愛実ちゃん可愛いし……抑えられない事だってあるよ……。
「でも、雰囲気とかに流されちゃったら、絶対しますよね? 私は問題ないですけど」
「君はエスパーか何かで?」
なんでだろう、いつもの愛実ちゃんのハズなのに、全く別人と話しをしているようだ。
俺の知っている愛実ちゃんは、元気で明るくて、仕事もテキパキ出来て、良い後輩なはず……なのだが……。
「先輩、なので今からお部屋に行ってもいいですか?」
「え?! へ、部屋?? な、なんでかな?」
「そんなの先輩を誘惑するからに決まってるじゃないですか。前に行った時は、こんな事になると思ってなかったので何もしなかったですけど……今夜は泊めてくれても良いんですよ?」
「いやいや未成年! な、なな何を言ってるのかな!?」
「だから、誘惑するので今夜泊めて下さい」
「そ、そ…そんな事を言われて、俺が泊めると思うのかい?」
「顔真っ赤ですよ? 何を想像してるんですか、先輩?」
誘惑。
そのワードも確かに気になったが、問題は他にある。
今現在、俺と先輩は半同棲中。
もちろん、家に愛実ちゃんを連れて行ったら、先輩に何を言われるかわかったもんじゃないし、連れて行ったら修羅場になる事は火を見るよりも明らかだ。
「と、兎に角ダメだ! もうそろそろ暗くなるし、愛実ちゃんは帰りなさい」
「む……分かりました。じゃあ、せめて家まで送って欲しいです」
「ま、まぁそれくらいなら……」
「じゃあ、行きましょう。先輩」
笑顔で言う愛実ちゃんの笑顔に、俺はなんだか寒気がした。
「ち、ちなみに家の人は居るよね?」
「………さ、行きましょう!」
「何! 今の沈黙は何!!」
俺と愛実ちゃんはそんな感じで店を出た。
店を出るさい、マスターが親指を突き立て、俺にグッとをしてきた。
それは頑張れと言う意味なのだろうか?
てか、マスター全部聞いてたのかよ!
*
「た、ただいま~」
俺は愛実ちゃんを家にまで無事送り届け、自宅のマンションに帰宅した。
愛実ちゃんの家まで行ったのは良かったが、そこからが長かった。
愛実ちゃんの両親は、今夜は遅くなるらしく家におらず、愛実ちゃんは折角だからと家に上がるように俺を促して来たが、なんか恐かったので遠慮した。
しかし、愛実ちゃんはそこで簡単には引かず、俺を家にあげようとあれやこれやと色々してきた。
結果、俺はスキを見てダッシュで家に帰って来たと言うわけだ。
あぁ……今度のバイトの時、愛実ちゃんにどう接したら良いもんか……。
「おかえり、遅かったのね」
「色々ありまして……飯、今作るんで」
「それより、はい」
「え……」
出迎えた先輩は、俺の顔を見るなり、俺の頬に手を添えてキスをしてくる。
「おかえりのキス」
「……えっと……あ、あの……」
「何? 照れちゃって~、こういうことしてもおかしく無い関係でしょ? 私たち」
「普通、そういうのは夫婦でするものでは?」
などと言いつつも、俺は自分の顔が熱くなり、心臓がドキドキするのを感じた。
この人は唐突にこういうことをしてくる。
本当に卑怯な人だ。
「良いじゃ無い。お腹減ったから早くご飯作って」
「はいはい、分かりましたよお姫様」
俺はそう言いながら、荷物を下ろし、晩飯の支度を始める。
先輩は俺のベッドに戻り、ゴロゴロしながらスマホを操作し始める。
「先輩」
「何?」
俺は何となく先輩にとある事を聞きたくなって、声を掛ける。
「いや……それは間が悪くて……ごめん」
「謝んないで下さいよ、先輩は何も悪くないんですから……悪いのはいつまでも先輩に迫って行かなかった私なので……」
「せ、迫るつもりだったんだ……」
なんとも申し訳ないが、俺は今は先輩と付き合っている。
いくら目の前のバイトの後輩の女の子が、良い子で可愛いと言っても、浮気は良くない。
それに、俺は多分、愛実ちゃんより先輩が好きだ。
なんだかんだ言っても、あの人の裏も表も知っているし、あの人はなんだか放っておけない。
「……ごめんね、俺は先輩のことが……」
「そうですか。でもそんなの些細な事です」
「え?」
「だって、奪えば関係ないじゃないですか」
「え? え?」
「だから、奪っちゃえば問題ないですもん」
「what?」
「なんで突然英語なんですか?」
俺としたことが、愛実ちゃんが何を言っているのか理解できず、混乱してしまった。
しかし、愛実ちゃんはこんなとんでもない事を言うような子だっただろうか?
なんだか、今日の彼女は少し恐い……マスターも小刻みに震えている。
マスター……コーヒー零れてますよ……。
「先輩、私の事嫌いですか?」
「い、いや……嫌いじゃないけど……」
「それなら、まだ望みはありますよね? なら、私はあの人から先輩を奪います」
「えっと……他の人を好きになるとかは……」
「無いです。私先輩の事大好きですもん」
恥ずかしげも無く、なんとも良い笑顔で恥ずかしい台詞を……。
マスター何顔を赤くしてんだよ……マスターが恥ずかしがらないでくれ……。
まぁ、確かに女子高生にそう言われるのは、嬉しいんだが……こう言うの昼ドラみたいな展開はあまりよろしくない気がする。
愛実ちゃんには、別な良い人と幸せになって貰いたい。
「えっと……俺は先輩の事が好きだから…そう言うのはちょっと……困るかな?」
「本当ですか?」
「え?」
「本当は女子高生に大好きって言われて。嬉しいとか思いませんでした?」
「えっと……それは……」
まぁ、嬉しかったけど……。
「私がもしも、先輩に何でもして良いですよって言ったら、先輩絶対私にエッチな事しますよね? それって私の気持ちを迷惑と思ってないって事ですよね? むしろ嬉しいですよね?」
「いやいや! なんで俺が愛実ちゃんにエロい事するみたいな話しになってるの! しないから!」
本当はその場の雰囲気とかでやっちょうかもだけど……。
だって、俺だって男だし、愛実ちゃん可愛いし……抑えられない事だってあるよ……。
「でも、雰囲気とかに流されちゃったら、絶対しますよね? 私は問題ないですけど」
「君はエスパーか何かで?」
なんでだろう、いつもの愛実ちゃんのハズなのに、全く別人と話しをしているようだ。
俺の知っている愛実ちゃんは、元気で明るくて、仕事もテキパキ出来て、良い後輩なはず……なのだが……。
「先輩、なので今からお部屋に行ってもいいですか?」
「え?! へ、部屋?? な、なんでかな?」
「そんなの先輩を誘惑するからに決まってるじゃないですか。前に行った時は、こんな事になると思ってなかったので何もしなかったですけど……今夜は泊めてくれても良いんですよ?」
「いやいや未成年! な、なな何を言ってるのかな!?」
「だから、誘惑するので今夜泊めて下さい」
「そ、そ…そんな事を言われて、俺が泊めると思うのかい?」
「顔真っ赤ですよ? 何を想像してるんですか、先輩?」
誘惑。
そのワードも確かに気になったが、問題は他にある。
今現在、俺と先輩は半同棲中。
もちろん、家に愛実ちゃんを連れて行ったら、先輩に何を言われるかわかったもんじゃないし、連れて行ったら修羅場になる事は火を見るよりも明らかだ。
「と、兎に角ダメだ! もうそろそろ暗くなるし、愛実ちゃんは帰りなさい」
「む……分かりました。じゃあ、せめて家まで送って欲しいです」
「ま、まぁそれくらいなら……」
「じゃあ、行きましょう。先輩」
笑顔で言う愛実ちゃんの笑顔に、俺はなんだか寒気がした。
「ち、ちなみに家の人は居るよね?」
「………さ、行きましょう!」
「何! 今の沈黙は何!!」
俺と愛実ちゃんはそんな感じで店を出た。
店を出るさい、マスターが親指を突き立て、俺にグッとをしてきた。
それは頑張れと言う意味なのだろうか?
てか、マスター全部聞いてたのかよ!
*
「た、ただいま~」
俺は愛実ちゃんを家にまで無事送り届け、自宅のマンションに帰宅した。
愛実ちゃんの家まで行ったのは良かったが、そこからが長かった。
愛実ちゃんの両親は、今夜は遅くなるらしく家におらず、愛実ちゃんは折角だからと家に上がるように俺を促して来たが、なんか恐かったので遠慮した。
しかし、愛実ちゃんはそこで簡単には引かず、俺を家にあげようとあれやこれやと色々してきた。
結果、俺はスキを見てダッシュで家に帰って来たと言うわけだ。
あぁ……今度のバイトの時、愛実ちゃんにどう接したら良いもんか……。
「おかえり、遅かったのね」
「色々ありまして……飯、今作るんで」
「それより、はい」
「え……」
出迎えた先輩は、俺の顔を見るなり、俺の頬に手を添えてキスをしてくる。
「おかえりのキス」
「……えっと……あ、あの……」
「何? 照れちゃって~、こういうことしてもおかしく無い関係でしょ? 私たち」
「普通、そういうのは夫婦でするものでは?」
などと言いつつも、俺は自分の顔が熱くなり、心臓がドキドキするのを感じた。
この人は唐突にこういうことをしてくる。
本当に卑怯な人だ。
「良いじゃ無い。お腹減ったから早くご飯作って」
「はいはい、分かりましたよお姫様」
俺はそう言いながら、荷物を下ろし、晩飯の支度を始める。
先輩は俺のベッドに戻り、ゴロゴロしながらスマホを操作し始める。
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「何?」
俺は何となく先輩にとある事を聞きたくなって、声を掛ける。
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