3 / 63
3話 今日から俺は!
しおりを挟む
『スレイブ・フロンティア』の世界に俺が転生してから1週間が経った。
割り当てられた狭い部屋の窓から清々しい朝日が真っ直ぐ差し込む。
俺は9割方回復した体を起こすと、今日の計画をもう一度頭でシュミレートする。
「たしかあそこの角曲がった部屋の引き出しに……それであの地下室が開いたはずだよな」
ふとベッド横に立てかけられた姿鏡に目を向ける。
そこに写るのは小さな男の子いわゆるショタってやつだ。
くりりとした大きな目に高く通った鼻筋が印象的なお顔。
KPOPアイドル顔負けの黒髪キノコヘアにまだ多少の違和感がありながらも、俺はやっとこの小さな体を受け入れ始めてきた。
「この髪型を昔の俺がやったら皆んなの笑いもんだよなー……」
鏡を眺めながら一人自虐を垂れる俺の視界にふと時計が入る。
「――よし……一回確認しとくか……」
「ステータスビジョン オン」
《シュント(8) 魔導師 種族不明》
【レベル】 8
【HP】 30/30
【MP】 28/28
【攻撃】 22
【防御】 13
【装備】 装備なし
《習得魔法》
火散弾 消費MP4
風突 消費MP5
レベルアップまで15EX
うひゃー。
あらためて初期ステータスの数値を見ると愕然とする。
主人公は剣士だったから魔導師の育て方はよく分からないなー。
それと種族不明ってのもいまいちよく分からないし。
「……どう考えても人間だろ」
コンコンコンコン。
律儀に4回も鳴るノック。
今朝もあの子がやってくる。
「――シュント君。入っていい?」
ドアの隙間からぴょこっと現れる俺のヒロイン。
「はい。僕もちょうど暇を持て余していたので」
「そっか」
ヴァニラは毎回少し照れくさそうに俺の部屋に入ってくる。
「もうお傷は塞がったの?」
「そうですね。本日から仕事に取り掛かれそうです」
「そっか。うれしい」
その言葉を聞いたヴァニラは両手に抱えたぬいぐるみをそっと抱きしめる。
コンコン。
少し強めのノックが2回。
ああ、あの人だ……。
「さぁシュント!今日でお客さん気分は抜いてちょうだいよ。今日からアナタはヴァニラ様の執事になるべくみっちりしごくから覚悟なさい!」
彼女の名前はミルボナさん。
少し丸くなった背中からは想像がつかないパワフルな性格のお婆さんで、ノーデンターク家の屋敷のお手伝いさんとして30年勤務するベテランお世話係だ。
「あはは……お手柔らかに……」
そう。
今日から俺はこの世界で生きていくために、ポンコツヒロインの執事として仕事を始める。
「さぁ! お嬢様は旦那様と魔導訓練のお時間ですよ!」
その瞬間、ヴァニラの顔から表情が消える。
「……うん。いまから行くね……」
『スレイブ・フロンティア』をやり込み、大人になったヴァニラの悲しい人生を知った俺からすればこの反応がどうゆう事を意味しているか痛いほど分かる。
ヴァニラの父はこの世界でも有数の魔道騎士として知られる傑物であり、『スレイブ・フロンティア』でも主人公の力が魔王に対抗しうるか確かめる中ボスとして登場するほど。
聖魔道騎士として由緒正しい歴史を持つノーデンターク家の長にして、ポートライト地方の領主でもある彼は、子供にも徹底したスパルタ指導を強いる厳しい性格なのだ。
そんな厳しい性格の彼はノーデンターク家の女でありながら未だに魔導センスを示さないヴァニラに苛立ち始めている。
原作ではヴァニラは12歳で魔導センス無しと判断されそこから家族、屋敷ぐるみのいじめにあってしまう。
しかし。
今回は『スレイブ・フロンティア』を何千時間とプレイし、モンスターの特性、ドロップアイテム、全ての宝箱や隠しアイテムの場所まで知り尽くした俺が居る。
俺はその知恵と経験を使いヴァニラの悲しい運命を変え、更には主人公にこの子を取られないように生きてやるんだ……!
「じゃシュント君……また夜ご飯のときにおはなししよ」
ヴァニラの小さく消えそうな声はこれから待つ修行の厳しさを物語っている。
「はい。ヴァニラ様も魔導訓練がんばってください。今日こそ出来ますよ」
「……そうかな」
そう呟き、ヴァニラは部屋を出る。
「はい! あんたはこれに着替えて! まずは風呂掃除から覚えてもらうわよ!」
「分かりました」
指定の服に着替え、部屋を出た俺はミルボナさんの熱血指導になんとか耐える。
割り当てられた狭い部屋の窓から清々しい朝日が真っ直ぐ差し込む。
俺は9割方回復した体を起こすと、今日の計画をもう一度頭でシュミレートする。
「たしかあそこの角曲がった部屋の引き出しに……それであの地下室が開いたはずだよな」
ふとベッド横に立てかけられた姿鏡に目を向ける。
そこに写るのは小さな男の子いわゆるショタってやつだ。
くりりとした大きな目に高く通った鼻筋が印象的なお顔。
KPOPアイドル顔負けの黒髪キノコヘアにまだ多少の違和感がありながらも、俺はやっとこの小さな体を受け入れ始めてきた。
「この髪型を昔の俺がやったら皆んなの笑いもんだよなー……」
鏡を眺めながら一人自虐を垂れる俺の視界にふと時計が入る。
「――よし……一回確認しとくか……」
「ステータスビジョン オン」
《シュント(8) 魔導師 種族不明》
【レベル】 8
【HP】 30/30
【MP】 28/28
【攻撃】 22
【防御】 13
【装備】 装備なし
《習得魔法》
火散弾 消費MP4
風突 消費MP5
レベルアップまで15EX
うひゃー。
あらためて初期ステータスの数値を見ると愕然とする。
主人公は剣士だったから魔導師の育て方はよく分からないなー。
それと種族不明ってのもいまいちよく分からないし。
「……どう考えても人間だろ」
コンコンコンコン。
律儀に4回も鳴るノック。
今朝もあの子がやってくる。
「――シュント君。入っていい?」
ドアの隙間からぴょこっと現れる俺のヒロイン。
「はい。僕もちょうど暇を持て余していたので」
「そっか」
ヴァニラは毎回少し照れくさそうに俺の部屋に入ってくる。
「もうお傷は塞がったの?」
「そうですね。本日から仕事に取り掛かれそうです」
「そっか。うれしい」
その言葉を聞いたヴァニラは両手に抱えたぬいぐるみをそっと抱きしめる。
コンコン。
少し強めのノックが2回。
ああ、あの人だ……。
「さぁシュント!今日でお客さん気分は抜いてちょうだいよ。今日からアナタはヴァニラ様の執事になるべくみっちりしごくから覚悟なさい!」
彼女の名前はミルボナさん。
少し丸くなった背中からは想像がつかないパワフルな性格のお婆さんで、ノーデンターク家の屋敷のお手伝いさんとして30年勤務するベテランお世話係だ。
「あはは……お手柔らかに……」
そう。
今日から俺はこの世界で生きていくために、ポンコツヒロインの執事として仕事を始める。
「さぁ! お嬢様は旦那様と魔導訓練のお時間ですよ!」
その瞬間、ヴァニラの顔から表情が消える。
「……うん。いまから行くね……」
『スレイブ・フロンティア』をやり込み、大人になったヴァニラの悲しい人生を知った俺からすればこの反応がどうゆう事を意味しているか痛いほど分かる。
ヴァニラの父はこの世界でも有数の魔道騎士として知られる傑物であり、『スレイブ・フロンティア』でも主人公の力が魔王に対抗しうるか確かめる中ボスとして登場するほど。
聖魔道騎士として由緒正しい歴史を持つノーデンターク家の長にして、ポートライト地方の領主でもある彼は、子供にも徹底したスパルタ指導を強いる厳しい性格なのだ。
そんな厳しい性格の彼はノーデンターク家の女でありながら未だに魔導センスを示さないヴァニラに苛立ち始めている。
原作ではヴァニラは12歳で魔導センス無しと判断されそこから家族、屋敷ぐるみのいじめにあってしまう。
しかし。
今回は『スレイブ・フロンティア』を何千時間とプレイし、モンスターの特性、ドロップアイテム、全ての宝箱や隠しアイテムの場所まで知り尽くした俺が居る。
俺はその知恵と経験を使いヴァニラの悲しい運命を変え、更には主人公にこの子を取られないように生きてやるんだ……!
「じゃシュント君……また夜ご飯のときにおはなししよ」
ヴァニラの小さく消えそうな声はこれから待つ修行の厳しさを物語っている。
「はい。ヴァニラ様も魔導訓練がんばってください。今日こそ出来ますよ」
「……そうかな」
そう呟き、ヴァニラは部屋を出る。
「はい! あんたはこれに着替えて! まずは風呂掃除から覚えてもらうわよ!」
「分かりました」
指定の服に着替え、部屋を出た俺はミルボナさんの熱血指導になんとか耐える。
0
あなたにおすすめの小説
社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ
のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。
目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。
捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ
月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。
こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。
そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。
太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。
テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜
みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。
…しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた!
「元気に育ってねぇクロウ」
(…クロウ…ってまさか!?)
そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム
「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ
そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが
「クロウ•チューリア」だ
ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う
運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる
"バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う
「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と!
その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ
剣ぺろと言う「バグ技」は
"剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ
この物語は
剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語
(自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!)
しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる