若い聖女が現れたから私はお役御免！？それならこっちから婚約破棄します！ ～今更私の力に気づいて戻ってきてと言ってももう遅いです～

驚いた二人の顔

学園長室の前に着き、ウィル先生が扉をノックをして学園長に声を掛けると 中からどうぞ。と言う声が聞こえてきたので、私達は部屋の中に入った。
部屋の中には学園長の他に見慣れた人影二つ
「えっ！？！？ルカ！？！」
「どうしてここにルカが……？」
私の顔を見た二人は驚きの声を上げた。
私はそんな二人に向かって、にっこりと笑い挨拶をする。
「こんにちは二人とも、元気にしてたかしら？」
「うん！元気だったよ！！でも、私達にお客さんってルカの事だったんだね～」
「えぇ、びっくりしました。どうしてこちらに？」
「学園長に少しお話があって来たんです。そしたら、折角だから二人に会っていきなさい
ってウィル先生に言われて……ね？ウィル先生先生」
「うぇ！？僕に話振るのかい！？」
ウィル先生は私の言葉に戸惑いながらも、私の言葉にまぁ……そうだけど、と言って頬を
かいた。
そんなウィル先生の反応が面白くて、クスクスと笑っていると、まだ状況が飲み込めていない二人が
私達の事をポカンとした表情で見つめていた。
「ルカってウィル先生とそんなに仲良しなんだね、話では聞いていたけれど……」
「そうね、ウィル先生には昔から今までずっとお世話になってるからもう友達の様なものかもしれないわね」
私はそう言うとウィル先生の方を見て笑った。
すると、ウィル先生は驚いたような表情を浮かべ、そんな風に思ってたんだ……と小さく呟いた。
「さて、お喋りもこの辺にして、本題に移りましょう」
「ほんだい……？？」
「えぇ、私だってただ遊びに来た訳じゃありませんから。沙羅、貴方の力私に見せてください」
*******
今私達は、学園の裏にある森に来ている。
ここなら、邪魔も入らないので魔法うってつけのの場所だからだ。
「さぁ、沙羅。私に向かって魔法を打ってください」
「そんな……！ルカに魔法を打つだなんて、出来ないよ！」
「はぁ、困りましたね……私に打ってもらわないと意味が無いのですが」
ふぅ、とため息をついてから、私は沙羅をじっと見つめる。
沙羅は、困ったように瞳をキョロキョロと泳がせている。
「だって……私がルカに魔法を打ったらルカが怪我しちゃうし……」
「………私も、甘く見られたものです」
私がそう言った瞬間、沙羅はビクッと震えた。
あぁ……私は、沙羅の事を怯えさせたい訳では無いのに、そんな気持ちが表情に出てしまっているのだろうか。
……いけない、気持ちを切り替えなければ。
私はそっと目をつむり、ふぅ、と息を吐いてから、沙羅にもう一度視線を戻した。
「怖がらせてごめんなさい、でもこれは必要な事なの」
「ルカ…………分かった……」
「沙羅……ありがとう」
「ううん、これも私の為、なんでしょう？」
「えぇ、そうよ」
私がそう言うと、沙羅は真剣な表情で私を見てから、一歩ずつ後ずさり距離を離す。
私はそれを黙って見守り、自分の中で魔力を練り始めた。
暫くして、頃合いと思ったので私はそっと目をつむり魔力のコントロールを始めた。