彼女と喧嘩したら乙女ゲーの悪役令嬢に転生しちゃいました!?

桜乃

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学園編

私の大切な人達

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そんなやり取りをしていると、大きなノックの音が部屋に響いた。
私がはい、と返事を返すと勢いよく扉が開き、そこから泣きそうな顔をした
お父様とお母様が現れた。
「百……!!よかった……本当に良かった……!」
「百ちゃんお帰りなさい……無事でよかった……本当に……」
「お父様、お母様、心配かけてすみませんでした」
お父様とお母様を見て、改めて心配をかけたことに申し訳なく思い、頭を下げて謝った。
すると、二人は私を抱き締めて頭を撫でてくれた。
やっぱり私はここの人たちが大好きだと
改めて実感した。
「あの……お兄様は?」
「あぁ、由紀だったらもうすぐで来る……と噂をすれば」
お父様がそう言うと、ドンドンというノックの音がした後、勢いよく扉が開かれた。
「百……!!」
「お兄様……お久しぶりです」
「あぁ、お帰り……」
久しぶりに見たお兄様は、少し大人っぽくなっていた。
それに身長も伸びていて、顔つきも少し変わっていた。
でも、優しく笑うところは昔と何も変わらなかった。
「……玲央君もあの日以来だな」
「はい、お久しぶりです」
「あの日以来?」
「あぁ、百がいなくなったあの日彼と少し話をしてね、大体の
事情は彼に聞いたよ」
お兄様の話を聞いて、私は驚いた。
まさか、お兄様が玲央様と話していたなんて思ってなかったからだ。
お兄様は、そんな事よりも……と言って私の方を見る。
「ここにいる人達にには話してもいいんじゃない?」
「…………でも」
「百ちゃんどうかしたの?」
「何かあるなら遠慮せずに言いなさい」
お父様とお母様にそう言われ、私は迷っていたことを話す決心をした。
話さないと、きっとこの人達は納得してくれないだろうと思ったから。
だから、私はみんなに全てを話すことにした。
私が前世の記憶を持っていた事、私がいなくなっていた一年の間前世の世界に行っていたことを。
それを聞いたみんなは驚いていたけど、信じてくれて黙って聞いてくれた。
そして、私が話し終わるとみんな一斉に口を開いた。
「そんな事があったのね……気づいてあげられなくてごめんね」
「そう言えば、百の様子が少しおかしいと思った頃があったが……」
「その頃はちょうど前世の記憶を思い出したころだと思います」
「そうだったんだな……」
「私の事嫌いになりましたか……?」
「まさか……!!どんな事があったとしても百は俺の大切な娘だよ」
「そうよ、だから今度から何かあったら話して欲しいわ」
「お父様……お母様……ありがとうございます」
みんなに嫌われてしまったかもしれないと思っていたけれど、それは違ったみたいで安心した。
でも、まだ不安はある。
それは、これからの事について。
私はみんなに、これからどうしたいのかを話した。
「私はこれから……今まで通り過ごしたいと思ってます」
私はそう言った。
すると、お父様とお母様はいいんじゃないか?と賛成してくれた。
「ありがとうございます……」
「良かったね、百」
「はい……!」
玲央様の言葉に、私は嬉しくなって満面の笑みで答えた。
すると、玲央様はふわりと笑ってくれる。
その笑顔にドキッとして、私は慌てて目を逸らす。
「そうだ……!あかりの方は大丈夫かな?」
「一回連絡してみる?」
そう言うと玲央様はスマホを取り出し、電話をかけた。
相手はもちろんあかりだ。
そして、しばらく待つと電話が繋がったようで玲央様が喋り始める。
私も聞きたいと思い、玲央様に断りを入れてスマホを貸してもらった。
「……もしもし?」
「あ!百?百の方は大丈夫だった?」
「うん、あかりは?」
「私は大丈夫だったよ~ね、これから会えない?」
そう言ってあかりは場所を指定してきた。
そこは前に二人で行ったカフェ。
そこで待ち合わせをして会うことになった。
私はその事を玲央様に伝えると、じゃあ行こうと返ってきたので私たちはカフェに向かう事にした。
「では、行ってきます」
「行ってらっしゃい百ちゃん」
「行ってらっしゃい、気を付けるんだぞ」
「はい!じゃあ、玲央様行きましょ!」
そう言って玲央様の手を引いて玄関を出た。
外は雲一つない晴天で、太陽の光が眩しかった。
だけど、隣を見れば玲央様がいる。
それだけで、なんだか嬉しくなった。
そんな事を考えながら、私達は歩き出した。
*****
「百~!お待たせ!」
カフェの外で待っていると、しばらくしてあかりがやってきた。
数時間ぶりの再会に思わず抱き着くと、あかりも同じように返してくれる。
「あかり!全然待ってないよ、ね?玲央様」
「うん、なんかこの三人って久しぶりだね」
「確かに……!」
そう言って三人とも笑い合う。
やっぱり、この空気が一番好きだなと思う。
それからは、お互いにあった出来事を報告し合った。
私はその間、ずっと楽しそうな表情を浮かべていた。
すると、あっという間に時間は過ぎていった。
もうそろそろ帰らないと、と玲央様が言ったので私たちも帰ることに。
帰り道の途中、あかりが突然立ち止まった。
それに気づいた玲央様も足を止めて振り返る。
「あかりどうしたの?」
「うん、なんかこう三人で歩くのも久しぶりだなって……」
そう言うあかりの顔は、どこか寂しげに見えた。
私はそんなあかりを見て、手を握る。
すると、あかりもその手を握り返してくれた。
「私ここに帰ってこれて良かった……って思ってる、玲央様がいてあかりがいて、奏がいて……みんながいて……」
私がそういうと、玲央様は優しく微笑んでくれた。
そして、あかりも同じ様に優しい笑みを浮かべている。
私はここにいられて本当に幸せだと思う。
前世でも家族に恵まれなかった私がこんなにもたくさんの人に愛されて。
だから、この先何があっても私は絶対に離れたくないと思った。
この人達と、一緒にいたいと思った。
「私も幸せだよ……百にまた会えて……大切な人も沢山出来て……」
そう言ってあかりは涙を流した。
私はそんなあかりの頭を撫でてあげる。
すると、玲央様も私の頭にポンッと手を置いてきた。
それが嬉しくて、私も泣きそうになったけど堪えた。
だって、今は泣けないから。
だから、その分笑顔を見せようと思った。
私には、二人の大切な人がいる。
一人は前世の恋人で、もう一人は、この世界での婚約者。
どちらも大切で、かけがえのない存在。
だから、これからもこの幸せな時間が続きますようにと願った。
「玲央様、あかり」
「ん?」
「なぁに?」
「二人とも、大好きです」
そう言って私は二人に思い切り抱き着いた。
二人は一瞬驚いた顔をしていたけれど、すぐに笑ってぎゅっと抱きしめてくれた
私は今すごく幸せだと改めて実感する。
きっと私はどんなことがあってでも二人から離れないだろう。
例え、どんな結末になったとしても……
私はあなた達を愛し続けています。
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