眠れる隣の山田くん

あめふらし

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第1章 眠れるあいつの隠し事(基本壱輝目線)

3.High spec?

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「~であるから、ここの公式は…」

黒板にするすると数字が書かれていく中、
俺は隣から聞こえてくる、規則正しい微かな寝息に意識をとられていた。
こいつ…ほとんど授業中寝てやがる…。
よく転入初日から寝れるものだ。
試しにシャーペンでつついてみたりしたが効果はない。
しかも、チャイムがなると起きるんだからやれやれだ。


「こいつテスト大丈夫なのかね…」
「意外と大丈夫だよ」
「!?」

さっきまで閉じていたはずの瞼が開いていて、
ばっちり視線が合う。
彩兎は欠伸をしながら起き上がった。


「…どうかした?」
「授業ぐらい真面目に聞けよ…」
「えー?やだよ。つまんないし」
「…」


なんでも卒なくこなせるハイスペックですかっ、くそ羨ましいわっ。
内心で悪態をつきつつ窓の外を見ると、
すっかり葉の落ちた枝が季節の終わりを告げていた。


「もうすぐ冬だね~。最近肌寒くなってきたし」

彩兎が、隣で寒さに震えるように両腕をさすった。

「最近ってお前まだきたばっかだし。
それにまだそこまで寒くないだろ…」
「えー?俺温暖な気候じゃないと生きていけないから。
10度下回るともう無理…」
「雪降ったらアウトじゃん…」

ここ、北海道の冬はマイナスなんて当たり前だ。

「カイロが必需品だね」


彩兎が呟いたのが合図だったかのように、授業終了のチャイムがなった。
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