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第1章 眠れるあいつの隠し事(基本壱輝目線)
9.Falling asleep
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昼ご飯を食べ終わった後は、夜まで勉強することにした。
彩兎はベッドで漫画を読んでいる。
シャーペンが滑る音と、ページを捲る乾いた音だけが部屋に響く。
誰かが同じ空間にいるのが嫌だったはずなのに、いつもより集中できた気がしたのは、たぶん気のせいだ。
気がついたらもう日が落ちかけていて、部屋がオレンジ色に染まっていた。
彩兎は、漫画を読みながら寝落ちしたのか、枕に突っ伏していた。近づくと、微かに寝息が聞こえてくる。
起こそうと思い、揺さぶる。
「おい、起きろ。夕飯まで食いっぱぐれる気か」
「…んん」
寝返りを打つものの、一向に起きる気配がない彩兎に、どうしたものかとベッドに腰掛ける。
頬をぺちぺち叩くと、薄らと目が開いた。
視点の定まらない彩兎に、声をかける。
「起きたか?」
「……」
目が合ったと思った瞬間、物凄い勢いで彩兎が後ろへ飛び退いた。
危ないっ、と声をかける前に「ゴンッ」っと鈍い音が聞こえる。
「っ…」
声にならない悲鳴を上げながら、もがいている彩兎に馬鹿だな…と思いつつ、冷凍庫から保冷剤を持ってきてタオルに包む。
それを彩兎に放ると、素早くキャッチして頭にあてていた。
「…さんきゅ」
「馬鹿も程々にしろ…」
俺が少し呆れて言うと、彩兎はムッとした様に頬を膨らませた。
「…………だって…あんな近くにいる、から」
「なんか言ったか?」
「っ、何でもないっ」
そう言って彩兎はベッドを飛び降りると、トイレ行ってくると言って、逃げる様に行ってしまった。
「…変なやつ」
彩兎はベッドで漫画を読んでいる。
シャーペンが滑る音と、ページを捲る乾いた音だけが部屋に響く。
誰かが同じ空間にいるのが嫌だったはずなのに、いつもより集中できた気がしたのは、たぶん気のせいだ。
気がついたらもう日が落ちかけていて、部屋がオレンジ色に染まっていた。
彩兎は、漫画を読みながら寝落ちしたのか、枕に突っ伏していた。近づくと、微かに寝息が聞こえてくる。
起こそうと思い、揺さぶる。
「おい、起きろ。夕飯まで食いっぱぐれる気か」
「…んん」
寝返りを打つものの、一向に起きる気配がない彩兎に、どうしたものかとベッドに腰掛ける。
頬をぺちぺち叩くと、薄らと目が開いた。
視点の定まらない彩兎に、声をかける。
「起きたか?」
「……」
目が合ったと思った瞬間、物凄い勢いで彩兎が後ろへ飛び退いた。
危ないっ、と声をかける前に「ゴンッ」っと鈍い音が聞こえる。
「っ…」
声にならない悲鳴を上げながら、もがいている彩兎に馬鹿だな…と思いつつ、冷凍庫から保冷剤を持ってきてタオルに包む。
それを彩兎に放ると、素早くキャッチして頭にあてていた。
「…さんきゅ」
「馬鹿も程々にしろ…」
俺が少し呆れて言うと、彩兎はムッとした様に頬を膨らませた。
「…………だって…あんな近くにいる、から」
「なんか言ったか?」
「っ、何でもないっ」
そう言って彩兎はベッドを飛び降りると、トイレ行ってくると言って、逃げる様に行ってしまった。
「…変なやつ」
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