眠れる隣の山田くん

あめふらし

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第1章 眠れるあいつの隠し事(基本壱輝目線)

17.Love talk

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 俺は、熊野さんに話した。
 彩兎のこと、疑問に思ってること、全部。
 熊野さんは、相槌を打ちながら静かに聞いていてくれた。


「俺には、昨日会ったばっかりの彩兎が、そんなことしてくる理由が分からないんです。それに、俺は一目惚れされるようなイケメンでもないし」
「山田くんは、かっこいいって思ったんじゃないですか?」
「多分、からかってるだけですよ」

 そんなことないと思いますよ、と言いながら熊野さんはカラになったマグカップを手に、立ち上がった。
 俺はその後ろ姿を見つめながら、そう言えばと口を開いた。

「俺のことより、熊野さんはどうなんですか?」
「えっ!?だ、だから蜂川さんの事は僕は何も…」
「俺は、誰なんて言ってないですよ?」
「あっ!えっと、その…。違うんですっ…」

 熊野さんは、頬を真っ赤にしながら必死に弁解している。
 熊野さんには、今片想いしている人がいる。
 相手は、学園の警備員をやっている蜂川 巣灯はちかわ すどうさんだ。
 俺も何度か会った事があるが、気さくで話しやすい人だ。

「だ、だから!蜂川さんの事は何にも思ってないから!」
「へぇ~、そうなんですか~」

 ニヤニヤしながら言うと、熊野さんは怒ったようにそっぽを向いた。

「もうっ、大人をからかわないでください」
「すみません、つい…」

 笑いながら言うと、熊野さんはもう諦めたようにため息をついた。
 少しの間の後に、熊野さんは静かに言った。


「…壱輝くんは、山田くんのこと嫌いですか?」


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