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第1章 眠れるあいつの隠し事(基本壱輝目線)
29.The mystery of giraffe's ecology
しおりを挟む「じゃ~~ん!!ここだよ!」
先輩達に連れられてやって来たのは、円山動物園だった。
「うわぁ~!動物園!!」
「ぼくは意外と好きなんだ~。ちょっと子供っぽかったかな?」
「全然です!俺も好きなんです、動物園」
「それはよかった!」
確かにここも札幌の観光名所か。
小さい頃は俺も沢山行ったなー…。
思い出に浸っていると、屈狸先輩と彩兎が俺を呼んだ。
「おーい。いーつき、早くはやく~」
「置いてっちゃうぞ~」
「あ、待ってくださいよー」
慌てて追いつくと、稲荷先輩が入場券をくれた。
「あ、ありがとうございます。いくらですか?」
「いーよいーよ。俺の奢り」
「でも、悪いっすよ…」
俺が財布を取り出そうとすると、横から屈狸先輩にリュックごと取り上げられた。
「素直に奢られとけって。今日は稲荷くんの奢りなんだし」
「そうそう。あ、ソフトクリームでも食うか?」
「…稲荷くん、今秋だよ。寒いよ…」
「あ、そっか」
奢られるのは申し訳なくてあまり好きじゃないのだが、これ以上ここにいても事が進まないので素直に受け取っておく事にした。
「俺アザラシみたいな~」
「ぼくはレッサーパンダかな」
「あ~!屈狸先輩に似てますよね」
「え、そうかな?」
マップを広げながら、現在地とどこに何がいるのかを一通り把握する。
「稲荷先輩は、みたいのありますか?」
「俺は別にいいよ。何回か来てるしね」
「そうなんですか?」
「うん。屈狸が好きみたいで、一緒にたまに来るんだ」
屈狸先輩、本当に動物園好きなんだな。
俺はどっちかと言うと水族館派なので、自らあまり動物園には来ない。
今日だって、3年ぶりくらいだ。
「あー!ねぇねぇ壱輝!!キリンだよ!」
「あ?お前ちょっとはしゃぎすぎじゃねーか?」
「壱輝がテンション低すぎるんだよ。もっと高校生らしくはしゃげばいいのに」
高校生にもなって、キリンでこんなにはしゃぐか?
いや、はしゃがないだろ。少なくとも俺ははしゃがない。
「ねぇねぇ屈狸。キリンって、なんでこんな首長いの」
「えー?首長くしたかったんじゃない?」
「なんで?」
「うーん…。覗き見したかったんじゃない?」
覗き見って…。草原で一体何を覗き見るのか…。
この人達頭いい筈なんだが…。
「違いますよ。諸説ありますが…高い木の葉っぱを食べるために、首が長くなったんです」
「へ~。壱輝は博識だね~」
「ちょっ、これくらい普通ですよ…」
大丈夫かな、この人達。
そんな俺の思考は、彩兎達の妙に高いテンションにかき消された。
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