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第16章
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他にも叔父はいるが、アーウィスの父との仲がトコトン悪かった為にほぼ顔を合わせても必要最低限の会話だけ。
その子供であるアーウィスにも、深い影響を及ぼしている。
そして、アーウィスの兄姉関係も父である先代龍王がアーウィスの母親を寵姫として囲い、その寵姫の子アーウィスを後継に後押しした事が亀裂のトドメとなった。
先代龍王は、側妃と子供にさえ全く顧みなかった。
その為に、龍王を継いだがアーウィスだったが、ほとんどの元皇族派閥からは孤立無援だった。
母はただの人で平民だった。
アーウィスを支持する貴族もいなかった。
タラット公爵はこの国の魔術師長官にまで上り詰めていた。
タラット公爵は幼い頃からアーウィスの魔術の師匠として、不穏な貴族の因習から甥を不憫に思い守っていた。
アーウィスを支援した功労者は、タラット公爵と、放浪生活していてソードマスターに上り詰めた次兄のアレクのみで、この二人だけが先代龍王の寵姫の残した愛子であるアーウィスの擁護に回った。
龍王にアーウィスが就任後、
民衆に人気のあった隣国の英雄である鬼神が龍王アーウィスに求婚し、結婚した事により民衆の龍王への期待値が上がった。
民衆は国王夫妻が白い結婚であっても、王妃が有能であったので国の治世は安定しており、龍王夫妻の国民の支持率は高かった。
「後宮を解散したって、正気なの?」
席に着いて、開口一番にマリノア子爵夫人が龍王相手に盾突いてくる。
「後宮は要らない。
王妃が入れば足りる」
「先代と同じ事を!
国を滅ぼす気なの?
だいたい、王妃は石女って噂が流れているのよ。
100年も子供が出来なかったじゃないの!」
マリノア子爵夫人は婚姻で降嫁して皇族ではない為、
王族の現状の諸事情を知らない。
仮面の王妃の諸事情を、マリノア子爵夫人には知る立場にない。
ー
「今までは、王妃との間に子供が出来るわけないだろ。
王妃の処女は先月ちょっと前に開通したばかりだから当然だ。」
アーウィスの発言に、肩身が狭くなって雪華はため息をつく。
人前で堂々と話しをされるのも、困ったものだ。
王妃が100年も処女だった事に、内情を知っていたタラット公爵以外は言葉を失う。
仮面が処女の証というのは、永久国でも一部の人しか知らなかった。
王妃は仮面をつけていた事で、色んな人間からあらぬ誤解を受けていたのも確かだった。
「でも、後継の現状候補だったミシェルを外したって事は子供が必要でしょう。
後宮を復活しないといけないじゃないの?」
それでも、マリノア子爵夫人は言い募った。
「だから、必要ない。
子供は王妃に産んでもらう。
王妃は英雄と言われ、剣術とマナの量も最高値だ。
私と王妃の息子なら最高のマナ量の子供が生まれる。
龍王になるのは確定事項だ。」
「だからって、現状は子供がいないじゃない。
後宮は必要よ」
「必要ない。
鬼族は、多産と安産で有名だ。
龍族より妊娠しやすい体質だと聞く。」
アーウィスは雪華の腰を抱き寄せて口づけ、見せつける。
「それでも、
側妃を連れてくるなら、雪華より美女である事。」
アーウィスは、絶対不可能な無理難題をふっかけた。
雪華の顔立ちを見つめ、続く言葉を失った。
王妃の母親は、傾国とうたわれた白百合の乙女。
数多ある求婚を振り切って、
縁国に嫁いだのは伝説となった。
民間の吟遊詩人や演劇の題目でも有名な恋歌となっている。
今まで王妃が仮面をつけていたから、皆が忘れていた。
王妃が今は亡き、白百合の乙女の1人娘であったことを忘れていた。
雪華は母親似なのだから、並び立つ女性は皆無だと思われる。
龍王の正妃の雪華が素顔を晒した直後。
謁見に訪れた商人や貴族は、
白百合の再来だと、
黒髪と黄金の瞳から、
黒百合と評されて噂になっていた。
その子供であるアーウィスにも、深い影響を及ぼしている。
そして、アーウィスの兄姉関係も父である先代龍王がアーウィスの母親を寵姫として囲い、その寵姫の子アーウィスを後継に後押しした事が亀裂のトドメとなった。
先代龍王は、側妃と子供にさえ全く顧みなかった。
その為に、龍王を継いだがアーウィスだったが、ほとんどの元皇族派閥からは孤立無援だった。
母はただの人で平民だった。
アーウィスを支持する貴族もいなかった。
タラット公爵はこの国の魔術師長官にまで上り詰めていた。
タラット公爵は幼い頃からアーウィスの魔術の師匠として、不穏な貴族の因習から甥を不憫に思い守っていた。
アーウィスを支援した功労者は、タラット公爵と、放浪生活していてソードマスターに上り詰めた次兄のアレクのみで、この二人だけが先代龍王の寵姫の残した愛子であるアーウィスの擁護に回った。
龍王にアーウィスが就任後、
民衆に人気のあった隣国の英雄である鬼神が龍王アーウィスに求婚し、結婚した事により民衆の龍王への期待値が上がった。
民衆は国王夫妻が白い結婚であっても、王妃が有能であったので国の治世は安定しており、龍王夫妻の国民の支持率は高かった。
「後宮を解散したって、正気なの?」
席に着いて、開口一番にマリノア子爵夫人が龍王相手に盾突いてくる。
「後宮は要らない。
王妃が入れば足りる」
「先代と同じ事を!
国を滅ぼす気なの?
だいたい、王妃は石女って噂が流れているのよ。
100年も子供が出来なかったじゃないの!」
マリノア子爵夫人は婚姻で降嫁して皇族ではない為、
王族の現状の諸事情を知らない。
仮面の王妃の諸事情を、マリノア子爵夫人には知る立場にない。
ー
「今までは、王妃との間に子供が出来るわけないだろ。
王妃の処女は先月ちょっと前に開通したばかりだから当然だ。」
アーウィスの発言に、肩身が狭くなって雪華はため息をつく。
人前で堂々と話しをされるのも、困ったものだ。
王妃が100年も処女だった事に、内情を知っていたタラット公爵以外は言葉を失う。
仮面が処女の証というのは、永久国でも一部の人しか知らなかった。
王妃は仮面をつけていた事で、色んな人間からあらぬ誤解を受けていたのも確かだった。
「でも、後継の現状候補だったミシェルを外したって事は子供が必要でしょう。
後宮を復活しないといけないじゃないの?」
それでも、マリノア子爵夫人は言い募った。
「だから、必要ない。
子供は王妃に産んでもらう。
王妃は英雄と言われ、剣術とマナの量も最高値だ。
私と王妃の息子なら最高のマナ量の子供が生まれる。
龍王になるのは確定事項だ。」
「だからって、現状は子供がいないじゃない。
後宮は必要よ」
「必要ない。
鬼族は、多産と安産で有名だ。
龍族より妊娠しやすい体質だと聞く。」
アーウィスは雪華の腰を抱き寄せて口づけ、見せつける。
「それでも、
側妃を連れてくるなら、雪華より美女である事。」
アーウィスは、絶対不可能な無理難題をふっかけた。
雪華の顔立ちを見つめ、続く言葉を失った。
王妃の母親は、傾国とうたわれた白百合の乙女。
数多ある求婚を振り切って、
縁国に嫁いだのは伝説となった。
民間の吟遊詩人や演劇の題目でも有名な恋歌となっている。
今まで王妃が仮面をつけていたから、皆が忘れていた。
王妃が今は亡き、白百合の乙女の1人娘であったことを忘れていた。
雪華は母親似なのだから、並び立つ女性は皆無だと思われる。
龍王の正妃の雪華が素顔を晒した直後。
謁見に訪れた商人や貴族は、
白百合の再来だと、
黒髪と黄金の瞳から、
黒百合と評されて噂になっていた。
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