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第24章 城下町探検隊
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※
雪華はしゃがみこんで、じっくりドワーフの手捌きに見惚れていた。
半時ほど経つが、飽きる事なく眺め続ける。
ドワーフは小人族で、がっしりした骨太。
ブロンズいろの長い髪と髭もじゃの東の果てに住むと言われている伝説の種族なのだ。
ドラゴンエッグ大陸は西の果ての大陸なのだ。
だから東の果ての大陸のドワーフに出会う事自体がレア中のレアなのだ。
雪華は子供の頃にエルフに教えてもらったドワーフの特徴そのものな見た目に、感慨深気に眺めていた。
雪華の刀剣の仕上げを終えたドワーフ。
視線の先には女がしゃがみこんで、こちらを見つめていた。
目の前の侵入者の存在に気付いたドワーフ。
雪華を見やると訝しげに、
「誰だお前?」
「すまない。その剣の持ち主の雪華だ。
あまりにも素晴らしい職人技に見惚れていた」
「そうか!」
「ああ、素晴らしい!
そう刀剣は中々、手入れするのを断られていて難儀していた。
本当にありがとうございます」
雪華は一度立ち上がると、しっかり頭下げて感謝する。
ドワーフは、あごひげを撫でながら雪華を見上げて、
「この刀剣は、性格の悪いエルフと共同で魔剣に仕上げた代物じゃ。
ドワーフでないと治せない。
女子の持つ剣ではない」
「そうらしいな、師匠からその刀剣を頂いた時に言われたんだ。
剣と一緒に成長する様に言われた。
その刀剣は魔剣にだからこそ、成長出来るのだろう!」
「人の話聞いていたか?
お前じゃ無理だ」
「この刀剣はソードマスター級でないと扱えぬ代物じゃて」
「マスターではないが、その弟子だ。
今は亡き、ソードマスターフェアの8番目の最後の弟子だ」
「最後の弟子なら、英雄鬼神かの?」
「もう、鬼神ではない。
私は弱い」
雪華は、目をふせ正直に答える。
「そんな気持ちでなら、この刀剣を振るうべきではないな」
「分かってる。
また強くなりたい」
「その時が来るまで、この刀剣は眠らせていろ」
「わかった。そうする」
ドワーフは雪華の手に刀剣をわたすと、瞬時に左手の手のひらに吸い込まれた。
「わしは、ドワーフのクリストファー!
あやつに誘われて、この国に移住して来て60年になる」
ドワーフは手を差し出す。
雪華は感激して、ドワーフの手を握り込む。
「っつ痛いわ!」
つい力が入ってしまった雪華に、乱暴に手を振り払う。
「で、あいつはどこだ?」
「アーウィスなら」
雪華は、さっき家屋に入っていったアーウィスの方向をみやる。
丁度、アーウィスも用事が済んだ様で曾孫と一緒に出てくる。
アーウィスは雪華をみると、フィンガースナップで音を鳴らす。
雪華にかけていた認識阻害魔法が解除されて、黄金の角を持った黒髪に黄金の瞳の美女になる。
「アーウィス!
勝手に部屋使用しおって、部屋を片付けたんか?」
「ああ、したした!
そんな事より、ジェシー挨拶しろ。
お前の曾婆さんだ」
アーウィスはジェシーを掴むと、雪華に押し出して挨拶を促す。
「・・・おう!」
見たこともない様な美女が、自分の曾婆さんとは信じ難く、ぶっきらぼうに挨拶をする。
雪華は、ジェシーを抱き寄せ、抱きしめていた。
「ジェシーは、凄いよ。
良い子だ。
よく頑張った」
雪華は褒めてあげたかった。
あの様な場所にいたのなら、親は居ないのだろう。
女の子を抱き上げて、逃げるのを妨害したときも、逃げ出さず出て来て交渉してくるあたり勇気ある、仲間思いの良い子だ。
まず褒めてあげたい。雪華は思った事を行動していた。
母親が亡くなって、三年間1人で生きて来た。
曾祖父母だと今更いわれても、ピンとこない。
だけど、雪華の母に似た久しぶりの温もりにジェシーは、今までの緊張が解けて曽祖母に縋って泣きじゃくっていた。
泣き疲れて眠るまで、雪華はジェシーを抱きしめてあやしていた。
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◆◇◆◇◆◇◆
読んでくださり感謝いたします。
すべてフィクションです。不快に思われた方は読むのを止めて下さい。
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誤字脱字も見つけ次第直していきます。
よろしくお願いします。
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