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第26章
26-5【青薔薇と白のプリースト】
海軍大将に実力で就任しているセドリック。
背を取られる事自体が殆どない。
その為、背中に冷たい汗が伝う緊張の中。
セドリックは飛び退く。
距離を取ると相手の正体を見る為に腰を捻って着地すると、正面を向いてその突然の闖入者と向き合う。
白衣を着たカルル教団の聖職者の格好をした男が立っていた。
右目を覆い隠す眼帯が不釣り合いな白銀の髪、肩まである髪、冷たい漆黒の目がセドリックを捉えている。
「初めまして、私はカルル教団の白のプリースト、レイドと言います。
聖女様の遺体を回収しに伺いました」
淡々と、聞き捨てならない妄言を吐いてくる。
レイドの言葉に、ぴくりと眉が動くが気を沈めて手元の小瓶の蓋を片手で閉めると懐にしまう。
「もうここにはないですよ。
王妃様は、永久国の王妃です。
他国に心配いただく謂われはございません」
セドリックは張り詰めた氷の様な冷徹な声音で、レイドの言葉を訂正してやる。
胸元の青薔薇を掴み口づけると、分銅と鎖のついた鎖鎌に変化してセドリックは武器を掴み構える。
この男はアーウィスが殺し損ねた男だろうと、推測する。
母をあの化け物に変えた。
母の遺体を冒涜したのもこいつらが関わっている可能性がある。
「別に、戦いに来たわけではないのですが、
あなたの回収した聖女様の体液を譲って頂けるとよろしいのですが」
「帰れ!
セドリックは鎖を回して分銅を、レイドの隻眼の死角を狙って放ってくる。
レイドは交わすが、セドリックが鎖を跳ねさせレイド右腕に絡めとめる。
レイドは右腕を拘束されているが、余裕の笑みを浮かべて左手をかざし魔法陣の詠唱を始める。
セドリックは鎖鎌の鎌を構えて、魔術の詠唱を唱えるとレイドの魔法陣を打ち消す。
「へえ、あんたもそれなりに強そうだ!
あんたとこの王様に、コテンパンにやられて、王妃には右目抉られてイライラしてんだよね!
あんた殺したら、スッキリするかな?」
レイドは舌をだして、乾いた唇をなめずりセドリックを獲物と捉えた。
セドリックは頭を抱えた。
気持ち悪い!
「そう簡単に負けませんが!」
セドリックは謙虚な姿勢で、鎖を引いてレイドの拘束を強める。
「そう来なくちゃ!」
レイドは、ぱあっと花の様に笑う。
拘束された右手で鎖を掴むと、セドリックを一気に引き寄せる。
セドリックは鎌で鎖を断ち、鎌と青い刀身の剣に変化させる。
レイドは、こちらに向かってくる。
セドリックは青薔薇の剣で迎え撃つ。
セドリックの刀身はレイドを切り裂くが、致命傷にならない。
急所は交わされて窮地に追い込まれる。
セドリックは逃げず、正面からレイドを袈裟斬りにする。
が、レイドに刀身を掴まれ、砕かれる。
砕かれた刀身は青薔薇に戻ると、花弁は散り地面に落ちた。
セドリックは気を取り直し、腕を掴まれぬ様にレイドの手を払いながら攻撃を緩めない。
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