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第26章
26-8【冥府・思わぬ再会】
※
雪華は河岸をただ、何となく歩いていた。
夢なのか、現実なのかわからない。
時の感覚もなく、ここは穏やかだ。
不思議な世界だ。
対岸では祭り囃子が聞こえており、美味しそうな食事の香りもしていた。
川を渡ろうとすれば、橋が現れる。
橋を渡ろうとすると、金や赤に光る拳大の宝珠が雪華の行手を阻むように揺れて震えて足元に絡まって進まない様に邪魔してくる。
雪華はその三つの宝珠を愛おしく感じており、しゃがみこんで宝珠と戯れて先に進むことに戸惑っていた。
「「雪華!」」
懐かしい、自分の名を呼ぶ声に顔を上げて声の主を探す。
対岸から、橋を渡って懐かしい人が2人雪華の方へ駆けてくる。
雪華は立ち上がると、
懐かしい声の主に駆け寄った。
「兄様!
黒兄様と、青兄様!」
雪華は懐かしさに、兄の様なまた従兄弟の関係にある親友の戦友だった存在に抱きついて泣きじゃくった。
あの大戦で、この2人の兄達を失った。
雪華が英雄と呼ばれたが、この兄2人が生かしてくれたから雪華は生き残れたのだ。
雪華は2人の兄を見上げる。
2人は、雪華の瞳の色に息を呑む。
「そんな目の色どうした?」
黒兄が心配そうに問う。
彼らの知っている雪華の瞳の色は、母サーチャ譲りの深緑だったはずだ。
「あれ、言ってなかったっけ?
私の本当の目の色は、この色なんだ」
黄金の瞳の聖女の伝説。
苦労することが確定していた。また従兄弟2人の兄は雪華を抱きしめ、
「ごめんな、大事な時にそばにいられなくて」
先に死んでしまったことを謝罪する。
「大丈夫。それなりに幸せだった。
ここはあの世なら、父上、母上に会いたい!」
「もう雪華の両親はここにいない。
国王夫妻は、俺たちに伝言を告げると輪廻の輪に加わったんだ。
伝言は、
『雪華は自分を信じた道を生きただろうか?
願わくは、悔いのない人生を!』
ご両親は、雪華を信じてるって言いたいのだろう」
青兄様は雪華を気遣いながら、両親の託された伝言を告げる。
雪華は父の言葉を守れなかった己を恥じて、涙があふれていた。
縁国の王族とはいっても、
王族以外の貴族は三つの分家のみだ。
三つの分家は、
ルルドに対する砦の守護家、白家。(ハクケ)
スバンに対する砦の守護家、黒家。(コクケ)
永久国に対する砦の守護家、青家。(セイケ)
クロ、セイは黒家、青家それぞれの家督を継ぐことが確定したのちに、
黒家は、当主の名を黒。
青家は、当主の名を青。
当主を継いだ時点で、名を改める。
当主を継いだ後に、角の色が変化し、
持ち名の通りの色に変化する。
それでも、白家より、黒と青の家の方が有力な雪華の婿候補でもあった。
黒兄様は、黒の髪と瞳。黒家を継いで、角の色も黒に変化した。
黒兄様は棍棒を担いだ、特攻を主として敵国スバンから領地を守ってきた黒家の領主。
二メートルを超える体躯のワイルド系。
青兄様は、黒髪に、青みがかった銀色の瞳。
青家を継いで角が青色に変化した。
永久国の国境の領地を預かる当主で、月下二刀流の使い手。
黒家と対照的である。
青家の当主の青兄様は女顔の優男風の顔立ちで気遣いができ、頭の切れる優秀な縁国の軍師でもある。
2人とも雪華の両親の伝言を伝えるという約束もあったが、雪華に再会する為に転生する事なく死者の国で待っていた。
雪華は河岸をただ、何となく歩いていた。
夢なのか、現実なのかわからない。
時の感覚もなく、ここは穏やかだ。
不思議な世界だ。
対岸では祭り囃子が聞こえており、美味しそうな食事の香りもしていた。
川を渡ろうとすれば、橋が現れる。
橋を渡ろうとすると、金や赤に光る拳大の宝珠が雪華の行手を阻むように揺れて震えて足元に絡まって進まない様に邪魔してくる。
雪華はその三つの宝珠を愛おしく感じており、しゃがみこんで宝珠と戯れて先に進むことに戸惑っていた。
「「雪華!」」
懐かしい、自分の名を呼ぶ声に顔を上げて声の主を探す。
対岸から、橋を渡って懐かしい人が2人雪華の方へ駆けてくる。
雪華は立ち上がると、
懐かしい声の主に駆け寄った。
「兄様!
黒兄様と、青兄様!」
雪華は懐かしさに、兄の様なまた従兄弟の関係にある親友の戦友だった存在に抱きついて泣きじゃくった。
あの大戦で、この2人の兄達を失った。
雪華が英雄と呼ばれたが、この兄2人が生かしてくれたから雪華は生き残れたのだ。
雪華は2人の兄を見上げる。
2人は、雪華の瞳の色に息を呑む。
「そんな目の色どうした?」
黒兄が心配そうに問う。
彼らの知っている雪華の瞳の色は、母サーチャ譲りの深緑だったはずだ。
「あれ、言ってなかったっけ?
私の本当の目の色は、この色なんだ」
黄金の瞳の聖女の伝説。
苦労することが確定していた。また従兄弟2人の兄は雪華を抱きしめ、
「ごめんな、大事な時にそばにいられなくて」
先に死んでしまったことを謝罪する。
「大丈夫。それなりに幸せだった。
ここはあの世なら、父上、母上に会いたい!」
「もう雪華の両親はここにいない。
国王夫妻は、俺たちに伝言を告げると輪廻の輪に加わったんだ。
伝言は、
『雪華は自分を信じた道を生きただろうか?
願わくは、悔いのない人生を!』
ご両親は、雪華を信じてるって言いたいのだろう」
青兄様は雪華を気遣いながら、両親の託された伝言を告げる。
雪華は父の言葉を守れなかった己を恥じて、涙があふれていた。
縁国の王族とはいっても、
王族以外の貴族は三つの分家のみだ。
三つの分家は、
ルルドに対する砦の守護家、白家。(ハクケ)
スバンに対する砦の守護家、黒家。(コクケ)
永久国に対する砦の守護家、青家。(セイケ)
クロ、セイは黒家、青家それぞれの家督を継ぐことが確定したのちに、
黒家は、当主の名を黒。
青家は、当主の名を青。
当主を継いだ時点で、名を改める。
当主を継いだ後に、角の色が変化し、
持ち名の通りの色に変化する。
それでも、白家より、黒と青の家の方が有力な雪華の婿候補でもあった。
黒兄様は、黒の髪と瞳。黒家を継いで、角の色も黒に変化した。
黒兄様は棍棒を担いだ、特攻を主として敵国スバンから領地を守ってきた黒家の領主。
二メートルを超える体躯のワイルド系。
青兄様は、黒髪に、青みがかった銀色の瞳。
青家を継いで角が青色に変化した。
永久国の国境の領地を預かる当主で、月下二刀流の使い手。
黒家と対照的である。
青家の当主の青兄様は女顔の優男風の顔立ちで気遣いができ、頭の切れる優秀な縁国の軍師でもある。
2人とも雪華の両親の伝言を伝えるという約束もあったが、雪華に再会する為に転生する事なく死者の国で待っていた。
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