百年越しの求愛譚【R18】政略結婚〜白い結婚歴100年 王妃への嫌がらせに始めた性行為に沼る王様【主人公は沢山の苦難あってこそ!】

玉龍堂

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第32章 アデル国/前編

32-4【森林2】

 アーウィスは全力で雪華から枝を奪い取ると、上空に放り投げる。
 上空に手のひらを掲げて、
「黒点を爆炎せよ」
 全力でアーウィスは魔術の詠唱を叫ぶ。
 上空に爆炎を伴った花火を打ち上げると、消し炭すら残さず消滅させる。
「・・勿体ない」
 雪華はポツリと呟く。
 アーウィスはガシっと、雪華の両肩を掴む。
「あれを、生のままで食べたのか?」
 真剣に黄金の瞳を覗き込むと、問いただす。
「未だ、食べてないよ。
 せっかくだから、アーウィスに食べてほしかったんだ」
 不思議そうに、アーウィスを見上げ斜め上の返答を返してくる雪華。
 そう、雪華はオーガの血筋。
 縁国の食文化はよく知らないが、スバンとの戦争で畑が焼かれたので昆虫食があってもおかしくない。
「雪華、よく聞いてくれ。
 野外でなにか拾って食べる時は、必ず一度私に見せてからにして欲しい」
 アーウィスは真剣な眼差しと口調で雪華に言い聞かせる。
「何故だ?」
「毒でもあったら大変だ。
 妊娠しているんだ、おなか壊したら大変だろ?
 それに、私が雪華を心配しているのだ。約束できるか?」
「そういうことなら、分かった。
 今度からそうする」
 雪華はアーウィスの言葉に素直に納得すると了承した。 
 アーウィスが雪華が口にしてなかった事にアンドした直後、不穏な気配に緊張が走ると森海へと視線を向ける。

 突如、森海の奥から野太い声が重なるように唸声の咆哮が聞こえると、木々の間から松明の明かりがゆらゆら揺れて森海の入口のこちらへ向かって集まってくる。
 アーウィスは無詠唱の視線魔術でロングソードを召喚すると、雪華に投げてよこす。
 アーウィスは足元に置いていた、大剣を手にすると構えて森海の奥を見つめる。

 本来ならハイエルフの聖域なのだが、全く関連のないモンスターが聖域内を占拠しているようだった。
 先程のアーウィスが放った、爆炎魔法に反応してモンスターが森海の奥から湧き出てくる。
 雪華は焚き火の薪を掴むと、森海に向かって火のついた薪をぶん投げる。
 枯れ果てた森海の樹木に、薪の火が引火する。
「風よ、舞い踊れ無頼風!」
 アーウィスは右手は大剣を構えたまま、左手を翳すと雪華の投げた薪に引火した火に向かって、風を操る詠唱を唱えて炎を操り奥から湧いて出てきたモンスターを火で炙り奥へと後退させて行く。
 進軍してきた、野獣の声が逃げ惑い混乱して奥へ後退させると一時的だが静寂が訪れる。

「雪華あいつらが戻って来る前に、移動する。
 アビスは、あいつらを偵察して来い」 
「「了解」」
 アビスと雪華は返事をすると、アビスは宙を滑る様に森海へ飛び込んで行くとモンスターの後を追う。
 雪華はアーウィスが用意する間、敵への警戒に神経を集中し夫の背を守る。
 アーウィスはさっき作ったばかりの足元の竈を、砂を蹴って鎮火させると手荷物を纏め、雪華の手を掴むとその場を離れて、森海にあえてもぐると2人は身を隠した。
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