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5章 団長の親友と愛人契約せよ
エピローグ
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◆◆◆◆◆
バルチーク伯爵家の領地は、ドロステアの南にある港街だ。
私は父親からここでの謹慎を言い渡された。
現在はメストに滞在する父と代わり、兄が実務をこなしている。
今でもテプレ・ヤロでのことが忘れられない。
皮肉にも、兄と同じように誘拐されようしていた私を、助けてくれたのは……溜息が出るほど……美しい青年。
あんなにか弱く男に押さえつけられていたのに、嘘のように次々と男たちを倒していく姿は、まるで水を得た魚のように生き生きとしていた。
レネはいったい何者なんだろう?
ハヴェルの愛人というのはたぶん仮の姿だ。
山小屋から救出されたその足で、私はザメク・ヴ・レッセの自分の部屋にある小さな暗室へ入った。
この個室は貴族たちの歪んだ性癖を満たすために造られた小部屋で、特殊なガラス越しに隣の寝室の様子を覗くことができるようになっている。
私はレネの様子をいつでも覗けるように、隣の部屋へと招待していたのだ。
そして、そこで私は目撃した。
ハヴェルと使用人の二人が、意識の無いレネを全裸にし、無垢な蕾が蹂躙されていないか確かめていた瞬間を……。
うつ伏せになった股の間から、押しつぶされてちょこんと顔を出した淡い色の性器。
尻の肉を開いた時に、淡いピンク色をした慎ましい蕾からチラリと珊瑚色の粘膜が覗いていた。
私は脳裏に残るその場面を思い出しながら自分を慰める。
「っ……はッ……ぁッ……」
レネが蹂躙されてないとわかった時の二人の安堵のしかたは、尋常ではなかった。
本人も言っていたように、レネは本当に男に抱かれたことがないということを、あのとき私は確信した。
ふと、気が付けば……はしばみ色の瞳がこちらを覗き込んでいる。
「ごめん。覗くつもりはなかったんだけど……でも相手なんかたくさんいるだろうに意外」
兄が監視役にと付けた青年に、自慰を見られてしまったようだ。
しかし、狼のような美しさのあるこの青年こそ、女が黙っておかないだろうと私は思う。
「——私の抱きたい肉体が、目の前にいないから……仕方ないだろ?」
「やっぱこんな地方じゃメストみたいな洗練された女はいないってか……」
「……ふん」
わざわざ口には出さないが、女ではない。
「やっぱりそうか。俺も親父があっちにいるんだよ……あんたの謹慎が明けたら一緒について行こうかな……」
騎士団を退団しいくつかの土地を渡り歩いた後、バルチーク家に来たようだが、私はこの男のことをまだあまりよく知らない。
だが、堅苦しい騎士団上がりの割には、砕けていて付き合いやすかった。
この男だったら、ずっと側に置いておくのも悪くはない。
「——もし一緒に行くなら……人探しをしてくれないか?」
ハヴェルのまわりを探っていけば、レネは見つかるだろうか?
バルチーク伯爵家の領地は、ドロステアの南にある港街だ。
私は父親からここでの謹慎を言い渡された。
現在はメストに滞在する父と代わり、兄が実務をこなしている。
今でもテプレ・ヤロでのことが忘れられない。
皮肉にも、兄と同じように誘拐されようしていた私を、助けてくれたのは……溜息が出るほど……美しい青年。
あんなにか弱く男に押さえつけられていたのに、嘘のように次々と男たちを倒していく姿は、まるで水を得た魚のように生き生きとしていた。
レネはいったい何者なんだろう?
ハヴェルの愛人というのはたぶん仮の姿だ。
山小屋から救出されたその足で、私はザメク・ヴ・レッセの自分の部屋にある小さな暗室へ入った。
この個室は貴族たちの歪んだ性癖を満たすために造られた小部屋で、特殊なガラス越しに隣の寝室の様子を覗くことができるようになっている。
私はレネの様子をいつでも覗けるように、隣の部屋へと招待していたのだ。
そして、そこで私は目撃した。
ハヴェルと使用人の二人が、意識の無いレネを全裸にし、無垢な蕾が蹂躙されていないか確かめていた瞬間を……。
うつ伏せになった股の間から、押しつぶされてちょこんと顔を出した淡い色の性器。
尻の肉を開いた時に、淡いピンク色をした慎ましい蕾からチラリと珊瑚色の粘膜が覗いていた。
私は脳裏に残るその場面を思い出しながら自分を慰める。
「っ……はッ……ぁッ……」
レネが蹂躙されてないとわかった時の二人の安堵のしかたは、尋常ではなかった。
本人も言っていたように、レネは本当に男に抱かれたことがないということを、あのとき私は確信した。
ふと、気が付けば……はしばみ色の瞳がこちらを覗き込んでいる。
「ごめん。覗くつもりはなかったんだけど……でも相手なんかたくさんいるだろうに意外」
兄が監視役にと付けた青年に、自慰を見られてしまったようだ。
しかし、狼のような美しさのあるこの青年こそ、女が黙っておかないだろうと私は思う。
「——私の抱きたい肉体が、目の前にいないから……仕方ないだろ?」
「やっぱこんな地方じゃメストみたいな洗練された女はいないってか……」
「……ふん」
わざわざ口には出さないが、女ではない。
「やっぱりそうか。俺も親父があっちにいるんだよ……あんたの謹慎が明けたら一緒について行こうかな……」
騎士団を退団しいくつかの土地を渡り歩いた後、バルチーク家に来たようだが、私はこの男のことをまだあまりよく知らない。
だが、堅苦しい騎士団上がりの割には、砕けていて付き合いやすかった。
この男だったら、ずっと側に置いておくのも悪くはない。
「——もし一緒に行くなら……人探しをしてくれないか?」
ハヴェルのまわりを探っていけば、レネは見つかるだろうか?
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