クラフト生活をしながら同級生にコスプレさせて異世界をスローライフします

春風

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第17話〜森の中の少女と三者の奇妙な共同生活〜

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第17話~森の中の少女と三者の奇妙な共同生活~




春の訪れと共に緑豊かになった森。朝露に濡れた樹木の間を黒瀬海斗は一人歩いていた。彼のクラフトスキルは日々進化しており、材料集めも趣味の一部となっている。

「今日はどんな素材が見つかるかな……」

そんな呟きと共に足を進めた先で異変に気づく。地面に広がる鮮血の跡。それを辿っていくと倒れている少女を見つけた。

「おい!大丈夫か!?」

駆け寄ると銀髪に青白い肌の少女。額から血を流し、左脚は明らかに骨折している。

「……誰だ……」

弱々しい声で少女が目を開ける。碧眼が鋭く海斗を捉えた。

「獣人族……いや、白狼族か」
「なぜ……わかる……」


「この辺りでは珍しい種族って聞いたからな。それに……」

海斗は彼女の頭上に一瞬現れた三角形の耳を見逃さなかった。

「怪我してるな。治療しなきゃ」


「触るな……!」

拒絶する少女だが体力が尽きている。海斗は迷わず抱き上げた。

「安心しろ。家が近い。治せる施設がある」

「離せ……!獣人は人間など信用しない……」


「知ってる。でも今は生存が最優先だろ」

少女は抵抗する気力もなく、海斗の腕の中で意識を失った。

---

帰宅した海斗を見て彩音が飛び出してきた。

「海斗くん!どこ行ってたの!?心配したんだよ!?」

しかし海斗の腕の中の少女に気づき表情が変わる。

「え……誰?その子……」


「森で倒れてた。白狼族の女の子だ」


「白狼族!?」

彩音の顔から血の気が引く。この地方では希少で誇り高い種族として知られている。

「怪我してる。早く治療を……」


「わかった!救急セット持ってくる!」

慌ただしく準備する二人。少女は簡易ベッドに寝かされ、消毒と包帯で処置される。

「痛そう……」

彩音が悲しげに見つめる。少女は眉を顰めて苦しそうだ。

「命に別状はないけど安静が必要だな」


「ねぇ……この子どうするつもり?」


「少なくとも怪我が治るまではうちで面倒を見る」


「え!?一緒に住むの!?」

彩音の声が上擦る。明らかに動揺していた。

「当たり前だろ。こんな状態で放り出せるか」


「でも……私たち二人だけの家なのに……」


「仕方ないさ。それに……」

海斗は意味ありげに続ける。

「白狼族は礼儀正しいと聞く。きっと迷惑はかけないよ」


「そういう問題じゃなくて……」

彩音は言葉を濁す。心中の不安は口に出せないまま。

---

翌朝。少女は目覚めていた。窓際で外を眺める銀髪の姿が印象的だ。

「起きたか」

海斗の声に振り向く少女。警戒心を露わにしている。

「あなたは……?」


「黒瀬海斗。君を森で見つけた人間だ」


「私はマフユ……白狼族のマフユ」


鋭い眼差しが海斗を射抜く。

「なぜ私を助けた?」


「理由は必要か?」

海斗の即答にマフユは一瞬言葉を失う。

「……変わった人間だな」


「よく言われる」

軽く笑う海斗にマフユの頬が僅かに緩む。しかしすぐに厳しい表情に戻った。

「借りは必ず返す。ただし条件がある」


「何だ?」


「傷が癒えるまで世話になれということか?」

海斗の返答にマフユは目を見開いた。

「その通りだ。どうして分かった?」


「白狼族の伝統ってやつだろ?」

マフユは驚愕の表情を浮かべる。

「詳しいな。でもそれだけではない」


「?」


「我々は命を救われたら生涯の忠誠を誓う。つまり……」

マフユの目が真剣さを帯びる。

「あなたの傍に一生いる」

海斗の思考が一瞬停止した。続いて彩音の叫び声が響く。

「ちょっと待ってーーー!!!」

扉を勢いよく開けた彩音が飛び込んでくる。怒涛の勢いでマフユに詰め寄る。

「何言ってんの!?海斗くんは私のだよ!?」


「誰だお前は」
「彩音だよ!海斗くんの恋人なんだから!」
「恋人?」
「そう!だから横取り禁止!」

彩音の激しい抗議にマフユは冷ややかな視線を向ける。

「白狼族の掟は絶対だ。人間ごときが口出しするな」


「え……何それ……?」

彩音は絶句する。海斗が慌てて仲裁に入る。

「落ち着け二人とも!とりあえずマフユの怪我が治るまでだろ!?」


「海斗くん!?」

彩音の非難の目が痛い。海斗は苦し紛れに続ける。

「マフユもわざわざ喧嘩売らないでくれ」


「私は事実を述べただけだ」

マフユは冷たく言い放つ。しかし彼女の耳が僅かに赤くなっていることに海斗は気づいた。

「とにかく!」

彩音が大声で遮る。

「今は私の家だから!勝手は許さないからね!」


「お前の家ではない」
「海斗くんと一緒に住んでるんだから同じだよ!」

口論が始まりそうになり海斗は深いため息をつく。

「わかった。一つ約束してくれ」

二人の視線が集まる。

「マフユは怪我が治るまでここで療養。その後は自由に決めればいい」
「当然だ」
「でも私が許すと思う!?」

彩音の追及は止まらない。

「彩音。君にはちゃんと説明するから」

海斗の真摯な目に彩音は渋々引き下がる。

「……わかったよ。でも一つ条件ね」

「何だ?」

「私と海斗くんの邪魔しないこと!」

彩音の宣言にマフユが鼻で笑う。

「勝手にすればいい。だが掟は覆せない」

緊張した空気が流れる中、海斗は頭を抱えた。

こうして奇妙な共同生活が始まった。彩音の嫉妬とマフユのツンとした態度。白狼族の伝統に翻弄される海斗。

しかし彼は内心で感じていた。この騒がしさの中に何か新しい絆の芽生えがあることを。
 
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