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52話〜ベヒーモス再び
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「並んでくれ~、水筒は人数分用意出来なかったから2人で1つ使ってくれ。 カバンも2人で1つだ」
セルカがカバンを村人に配る。
カバンの中身は水筒、お椀2つ、フォークとスプーンが2組、乾燥食が2日分だ。
受け取った村人は口々に「ありがとうございます」と言いながら頭を下げる。
「セルカ、野菜は買わなかったのか?」
それを見ていたカルバンが聞いた、カバンには野菜類は入っていない。
「とりあえずは乾燥食の方が良いだろう、自炊は村を作る予定の場所に着いてからでいいんじゃないか?」
セルカの言葉に納得したように頷いた。
「確かに、他には何がいると思う?」
「そうだな、バンは間違いなくアホみたいに獲物を取ってくるはずだから解体用の道具は多めにあった方がいいと思う」
実際にセルカは解体用のロープやナイフを10組ほど買ってきていた。
バーンダーバと盗賊が狩りに行っている間に出来ることを進めようと物資の受け渡しをしている。
渡した水筒には既にフェイが水魔法で水を満たしている。
もう辺りは随分と暗くなり始めている。
「お、もう帰ってきたぞ」
北東から巨大なレッドドラゴンが高度を落としてこちらに向かってくるのが見える。
「随分と早いな、取れなかったのか?」
バーンダーバ達が出発してから2時間も経っていない。
「いや、ロゼが随分と巨大なナニかを咥えてる」
だんだんと近づいてくるとカルバンにもロゼがナニかを咥えているのが分かった。
ズシンと着地して咥えている獲物を下ろす。
「これは・・・ 荒野のベヒーモスじゃないか」
2本の捻れた角に鋭い牙、5メートル近い巨体。
眉間にはバーンダーバが開けたであろう風穴があいている。
「うむ、あまり時間が無いと思ってな。 1頭で皆の腹が膨れる物を考えたらコイツを思い出したのだ」
「なんか懐かしいですね」
フェイがバーンダーバと初めて会った時のことを思い出した。
「・・・ いや、ビビったぜ。 いきなり荒野のベヒーモスなら1頭で全員の腹がいっぱいになるからアレにしようとか言い出してな」
スライが呟く。
「あぁ、止める間もなく森から進路変更して。 荒野が見えたと思ったら弓を具現化して一撃であっという間に仕留めちまったからな」
「立派なベヒーモスじゃな、素材は我らに貰えんだろうか?」
魔法具の生成が得意な魔法使いのデコイスが物欲しそうにベヒーモスを見つめる。
「カルバン、どうする?」
「ん? あぁ、金の心配は当分しなくていいからな。 構わんが、出来た物の一部を安く譲って貰えるならこれからもバンが持ってきた素材は大半を進呈しよう」
「おぉ、誠か! それで構わん」
喜ぶデコイスの反応を上の空で聞きながら、カルバンは巨大なベヒーモスを見上げる。
カルバンも今更ながらバーンダーバ達が迷宮を踏破した冒険者である事に得心がいった。
呆けたようになりながらもしっかりと交渉事は済ませるカルバンをセルカが面白そうに見ている。
「な、アホみたいに取ってくるって言ったろ?」
カルバンの肩を叩いてセルカがニヤリと笑った。
「さぁ、皆でコイツを弔おう」
バーンダーバの声にセルカと盗賊達でベヒーモスを捌いていく、他の皆は調理の準備だ。
セルカの買ってきた巨大な寸胴鍋にベヒーモスの肉が入る、他には香草くらいだ。
盗賊達は串に肉を打って軽く塩を振って焼いている。
串焼きの方が先に出来たので順次村人達に配っていく。
「手に取った者は冷めないうちに食っちまえ、待ってたら損だぞ!」
セルカの声にあっちこっちで食事を頬張り「美味い美味い」という声が聞こえてくる。
スープも出来ると鍋の前に列が出来た。
「美味いな!」
「あぁ、見た目はアレだけどな」
「ベヒーモスなんて食えるのはよっぽど腕利きの冒険者か貴族くらいじゃないか?」
「久しぶりのまともな飯だ」
バーンダーバはそんな様子を嬉しそうに眺めている。
「はい、バンの分ですよ」
フェイがバンにベヒーモスの肉の入ったお椀を差し出す。
「ありがとう」
「私はコレです」
見るとフェイはいつかの鍋の蓋に肉を載せている。
「はははっ、懐かしいな」
「そうですね、アレから1ヶ月くらいしか経ってないのが嘘みたいですね」
フェイとバーンダーバは並んで立ったままベヒーモスの肉を頬張る。
もぐもぐと咀嚼しながらもバーンダーバは食事を取っている村人から目を離さない。
皆、嬉しそうに食べている。
「バン、今日のベヒーモスの味はどうですか?」
「あぁ、最高に美味しい」
バーンダーバの笑顔を見てフェイも顔を綻ばせる。
セルカがカバンを村人に配る。
カバンの中身は水筒、お椀2つ、フォークとスプーンが2組、乾燥食が2日分だ。
受け取った村人は口々に「ありがとうございます」と言いながら頭を下げる。
「セルカ、野菜は買わなかったのか?」
それを見ていたカルバンが聞いた、カバンには野菜類は入っていない。
「とりあえずは乾燥食の方が良いだろう、自炊は村を作る予定の場所に着いてからでいいんじゃないか?」
セルカの言葉に納得したように頷いた。
「確かに、他には何がいると思う?」
「そうだな、バンは間違いなくアホみたいに獲物を取ってくるはずだから解体用の道具は多めにあった方がいいと思う」
実際にセルカは解体用のロープやナイフを10組ほど買ってきていた。
バーンダーバと盗賊が狩りに行っている間に出来ることを進めようと物資の受け渡しをしている。
渡した水筒には既にフェイが水魔法で水を満たしている。
もう辺りは随分と暗くなり始めている。
「お、もう帰ってきたぞ」
北東から巨大なレッドドラゴンが高度を落としてこちらに向かってくるのが見える。
「随分と早いな、取れなかったのか?」
バーンダーバ達が出発してから2時間も経っていない。
「いや、ロゼが随分と巨大なナニかを咥えてる」
だんだんと近づいてくるとカルバンにもロゼがナニかを咥えているのが分かった。
ズシンと着地して咥えている獲物を下ろす。
「これは・・・ 荒野のベヒーモスじゃないか」
2本の捻れた角に鋭い牙、5メートル近い巨体。
眉間にはバーンダーバが開けたであろう風穴があいている。
「うむ、あまり時間が無いと思ってな。 1頭で皆の腹が膨れる物を考えたらコイツを思い出したのだ」
「なんか懐かしいですね」
フェイがバーンダーバと初めて会った時のことを思い出した。
「・・・ いや、ビビったぜ。 いきなり荒野のベヒーモスなら1頭で全員の腹がいっぱいになるからアレにしようとか言い出してな」
スライが呟く。
「あぁ、止める間もなく森から進路変更して。 荒野が見えたと思ったら弓を具現化して一撃であっという間に仕留めちまったからな」
「立派なベヒーモスじゃな、素材は我らに貰えんだろうか?」
魔法具の生成が得意な魔法使いのデコイスが物欲しそうにベヒーモスを見つめる。
「カルバン、どうする?」
「ん? あぁ、金の心配は当分しなくていいからな。 構わんが、出来た物の一部を安く譲って貰えるならこれからもバンが持ってきた素材は大半を進呈しよう」
「おぉ、誠か! それで構わん」
喜ぶデコイスの反応を上の空で聞きながら、カルバンは巨大なベヒーモスを見上げる。
カルバンも今更ながらバーンダーバ達が迷宮を踏破した冒険者である事に得心がいった。
呆けたようになりながらもしっかりと交渉事は済ませるカルバンをセルカが面白そうに見ている。
「な、アホみたいに取ってくるって言ったろ?」
カルバンの肩を叩いてセルカがニヤリと笑った。
「さぁ、皆でコイツを弔おう」
バーンダーバの声にセルカと盗賊達でベヒーモスを捌いていく、他の皆は調理の準備だ。
セルカの買ってきた巨大な寸胴鍋にベヒーモスの肉が入る、他には香草くらいだ。
盗賊達は串に肉を打って軽く塩を振って焼いている。
串焼きの方が先に出来たので順次村人達に配っていく。
「手に取った者は冷めないうちに食っちまえ、待ってたら損だぞ!」
セルカの声にあっちこっちで食事を頬張り「美味い美味い」という声が聞こえてくる。
スープも出来ると鍋の前に列が出来た。
「美味いな!」
「あぁ、見た目はアレだけどな」
「ベヒーモスなんて食えるのはよっぽど腕利きの冒険者か貴族くらいじゃないか?」
「久しぶりのまともな飯だ」
バーンダーバはそんな様子を嬉しそうに眺めている。
「はい、バンの分ですよ」
フェイがバンにベヒーモスの肉の入ったお椀を差し出す。
「ありがとう」
「私はコレです」
見るとフェイはいつかの鍋の蓋に肉を載せている。
「はははっ、懐かしいな」
「そうですね、アレから1ヶ月くらいしか経ってないのが嘘みたいですね」
フェイとバーンダーバは並んで立ったままベヒーモスの肉を頬張る。
もぐもぐと咀嚼しながらもバーンダーバは食事を取っている村人から目を離さない。
皆、嬉しそうに食べている。
「バン、今日のベヒーモスの味はどうですか?」
「あぁ、最高に美味しい」
バーンダーバの笑顔を見てフェイも顔を綻ばせる。
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