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12、しゅうちぷれい
しおりを挟む…コンコン
『奏多。社さんをお連れしましたよ』
控えめにドアがノックされ、僕はイヤホンを外しながらゆっくりと立ち上がる。
一応ケアはしたが、リハ終わりだし汗臭くないだろうか? などと心配しながらもドアを開けた。
「やぁ、拓磨。待って……た、よ…?」
しかしドアを開けた先にいたのは…佐原の隣に並ぶ女性。
…いや、違う。
化粧や香水の匂いに紛れて拓磨の匂いがする。
「……た、拓磨…なの?」
「…え、えへへ…た、タクミです♡」
恥ずかしさを誤魔化すためなのか拓磨は女装した姿でぺろりと舌を出す。
その仕草に思わず下半身に血が集まりそうになったが、なんとか堪えて2人を部屋に入れてから佐原に視線を向けた。
「これ、どういうこと?」
「いつまで経っても女性に反応出来そうになかったので、社さんに一肌脱いで貰いました」
「…あー…お、怒ってる?」
冷静な佐原とは対称的にどこか不安そうな拓磨。
…どうやら僕は湧き上がる欲望を堪えようとしていたために怖い顔になってしまっていたらしい。
「いや、違うんだ…ごめん、その…正直、凄く興奮して…可愛いよ、拓磨」
「そ、そう真面目な顔で言われると正直複雑なんだけどなぁ…」
「ですがこれで多少なりとも女性への性的興奮というものを思い出せるのでは?」
まぁ確かに、佐原の言う通りかもしれない。
いつもの…男性としての拓磨に覚える興奮と、今の女の子の格好をした拓磨への興奮の度合いはまた違ったものだ。
「そうだね、試す価値はあるかも。…拓磨。いや、タクミちゃん。僕の部屋に来てもらっても、いいかな?」
「っ…わ、分かった」
緊張しながら頷いた彼…彼女の手を引き、僕らは奥の部屋に入った。
………………
「ここ、座って」
「………」
ベッドに腰掛け、隣をぽんぽんと叩く奏多。
しかし俺はドアの傍から動けずにいた。
(め、目が…初めての時みたいにギラギラしてる…)
欲情した雄の目を向けられ足が竦んだが、そんな俺を見かねたのか奏多はそっと立ち上がると俺の隣に並び腰を支えるようにしてエスコートしてきた。
こ、この…無駄に紳士な所作が憎らしい…!
「タクミちゃん。僕の膝の上に座ってくれる?…体を向かい合わせるようにね」
「か、奏多っ…それ、その名前、恥ずかしいから、やめてくれ…」
『タクミちゃん』とおふざけで名乗った名前を呼ばれ、俺は羞恥に泣きそうになる。
しかし奏多はニコニコと笑いやめようとはしない。
「ダメだよ。僕が女性への性欲を取り戻す鍛錬なんだから。…だから、今だけは女の子になって。ね?」
「…うぅ…」
体を抱き寄せられながら耳元で甘く囁かれ、人気アイドルの力量を思い知らされる。
ダメだ。これ、凶悪すぎる。
だって同じ男なのに腰砕けそうだし。
「タクミちゃん」
「ん、ぁっ…」
半ば強引に膝の上に座らせられると、奏多は俺の耳たぶを唇で咥える。
更には服の下に手を入れ始め、『性処理』どころか俺の体を愛撫し始めた。
「ち、ちょ…奏多、これ話が…ちが…ぅああっ!」
「へぇ…ブラジャーまで着けてるんだ。でも、今は邪魔だから外そうね」
器用に服の下からブラジャーと詰め物を取り外すと、奏多はあろうことか俺の胸を弄り始める。
「ひっ…!や、やだっ、かなた、そこ、だめっ…」
「可愛いよ、タクミちゃん。…もっと声聞かせて?」
くりっ
「ふぁあああっ♡♡」
服の下から親指で乳首を弄られ、不本意ながらも変な声が出てしまった。
しかし奏多はそれでも行為をやめようとはしない。
硬くなった性器を服越しに…スカートの中から俺の下腹部へ擦りつけ、射精したいとアピールしていた。
「かな、たっ…て、手で…するから、だからっ…下ろしてっ…!」
「手でしてくれるの?…嬉しいな。でもこの体勢のままでもできるよね?」
片手でジッパーを下ろすと、勢いよく飛び出たソレを俺の手に握らせる。
前にした時よりも硬く熱いソレに恐怖を覚えながらも、俺はゆるゆると扱き始めた。
「うっ…うぅ…ぬるぬるする…」
「タクミちゃんが…いや、拓磨が可愛いからだよ」
…ちゅっ
「んむぅっ!?」
不意に名前を呼ばれたかと思えば、突然唇に当たった生暖かい何か。
それが奏多の唇だと気付いた時にはもう遅く、僅かに空いた隙間から舌が滑り込んできた。
「んぅっ!んっ、や、んむぅ…!」
(えっ…お、おれ…奏多と…キス、してる…!?)
驚きに目を見開けば…奏多は、俺にキスをしながらあのギラギラした目で俺を見ていた。
しかも胸を弄る手の動きは止まらず、口内と胸を同時に責められてしまう。
「んんっ!か、かな…たっ、や…だ…いや、だ…んむっ」
「っん…ぷはっ…拓磨…やっぱり僕は……」
『君のことが』と続ける奏多の声を拒絶するように、俺は一瞬の隙をついてその体を全力で突き飛ばした。
ーードンッ!
「ぅぐっ…!」
「おわっ!!」
ベッドへと倒れ込んだ奏多とは対称的に俺は無様に床へと落ちる。
その衝撃で軽く頭を打ち、さらにはカツラが床に転げ落ちたがそれどころでは無い。
俺は急いで立ち上がるとリビングへと繋がるドアへ走る。
「た、拓磨…!」
「何が『女の子になって』だ!変態!強姦魔!1人で盛ってろばーかっ!!!」
そして背後から聞こえた奏多のか細い声に怒鳴り声で返すと、俺はそのままリビングへと逃げ込んだ。
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