[R18]これはあくまで治療です!

空き缶太郎

文字の大きさ
25 / 27

25、越えた一線

しおりを挟む
 
…気付くと、カーテンの隙間から明るい光が零れかけていた。

(……あれ…?朝、か…)

目を擦りながらだるい体に鞭打ち、ゆっくりと顔をあげれば途端に腰に走る激痛。

「ひぎぃっ」

エロ本のような声が出てしまったような気がするのは気のせいだ。

とにかく、俺はその痛みに耐えきれず再び布団に潜った。

「いってぇ…なんで、こんな………あ」

ここでようやく隣に眠る奏多の存在に気付き、俺は昨夜のことを粗方思い出した。

そう、早い話が朝チュンである。

(そっか…俺、とうとう奏多とセックスしたんだな…途中から覚えてないけど)

呑気に眠る奏多の頬をふにふにと突っつきながら、ゆっくりとその体に擦り寄る。

(…あったかい…子供みたいな体温だな…)

しかしそれが心地よく、俺はうつらうつらと二度寝を……


バンッ!!

「お二人共朝ですよ!!!!!」

「「うわぁあぁあっ!?」」

と、船を漕ぎ出した瞬間、寝室のドアが勢いよく開かれ、佐原さんが信じられないぐらいの大声で飛び込んできた。

「な、なななな…!」
「おはようございます社さん、奏多。良い朝を迎えられたようで」
「……はぁ…佐原。もっと普通に起こしてくれればいいのに…」

布団を握りしめて驚愕する俺の隣で、奏多は佐原さんの大声で目を覚ましてしまったのか眉間に皺を寄せて頭を抱えていた。

「申し訳ない。ですが、の疲れから高確率で二度寝をする可能性が高いと考えられましたので…」
「……もしかしてこの部屋、監視カメラとかついてるの?」
「ははは、冗談ですよ」

冗談とは思えない程俺たちの行動を見透かした佐原さんの発言に、俺と奏多は訝しげな視線を向けた。
…しかし効果は全く無さそうだ。

ひとまず俺は布団で体を隠すようにして上半身だけを起こす。

「すみませんね、せっかくのピロートークを邪魔して。ですが奏多、明日からの北海道に備えて支度をして飛行機に乗らないと行けないのですよ?」
「分かってる。…でもあと1時間ぐらいは拓磨とイチャイチャしてたかったな」

グイッ

「おわっ」

そう呟いて頬を膨らませながら俺の腰を抱き寄せた奏多。

さりげなく腰とか尻をさすってくるし…コイツ、告白成功したからっていきなり積極的になりすぎだろ。

「それはまた次のオフの日にしてください。…それから社さん、少しお話がありますので後ほどリビングにお願い出来ますか?」
「え、あ、は、はい…」
「拓磨が行くなら僕も…」
「貴方はその間、部屋の片付けと荷造りです」

佐原さんに鋭く指示を出され項垂れてしまった奏多。
確かに部屋は色んな意味で酷い有様だったし、仕方ないと言えばそうなんだけど。

「ひとまずお風呂に入って着替えを済ませて来てくださいね。話はそれからです」
「はーい。…拓磨、お風呂行こっか」
「あ、あぁ…」

そうして俺はリビングに戻った佐原さんの背中を見送りつつ、奏多に抱き抱えられて風呂場へと向かった。


…風呂に入ると、奏多はまるで人懐っこい大型犬のように甘えてきた。

「拓磨、拓磨♡昨日はとてもいい夜だったね」
「昨日…俺、途中から覚えてないんだけど…」

後ろから体を抱きしめられたまま正直に答えれば、奏多は少し申し訳なさそうに俯いてから顔を赤くする。

「そっか…しょうがないよね。僕も無我夢中で…あのまま5回ぐらい中だししたし」
「ごっ…!?」
「でもおかげで朝はスッキリだったし、こうやって拓磨に密着してても性欲の方は抑えられてるから結果オーライだよね」

確かに奏多の顔はいつもの1.5倍ぐらい爽やかスマイルな感じだけど…

(その理由が濃厚なホモセックスってのは、絶対世間に公表出来ないよなぁ…)

「明日からロケで北海道なんだろ?その間は大丈夫なのか?」
「大丈夫。拓磨の写真持っていくし…時間が合えば、また電話でエッチしようね♡」
「…せ、性豪め…」

開き直ったかのように俺に迫る奏多に思わずため息が溢れ出る。
でも嫌いになれないのは惚れた弱み、というやつなのだろう。

ひとまず俺は奏多の拘束を(優しく)振りほどいて1度浴槽を出ると、体や頭を綺麗に洗った。

「僕が洗ってあげるのに…」
「これぐらい自分で洗える。…それに、洗うだけじゃすまなくなるだろ?」
「…まぁね」

あ、目ぇ逸らしやがったなコイツ。
しかも否定してない。

「はぁ…ま、一応恋人同士になったわけだし、下手に演技されるより本音を包み隠さず言ってくれるだけマシか」
「ん?僕、演技は得意な方なんだけど…」
「こっちの話」

小首を傾げる奏多の頭をわしゃわしゃと撫で回し、俺は先に上がろうと踵を返す。

「じゃあ俺は先に着替えて佐原さんと話してるからな。…時間余ったら朝飯も作ってやるから、部屋の片付けとかしっかりやっとけよ」
「うん。分かったよ、拓磨」

さりげなく手のひらにキスを落とされ動揺したが、俺は赤くなる顔を誤魔化すようにして足早に脱衣場に駆け込んだ。


……………………

…………………………


「……えへへ」

脱衣場の扉が閉まると、僕は撫でられた頭に触れて思わずにやけてしまった。

(拓磨、拓磨。かわいくて、カッコいい…僕の大切な恋人)

浴槽の縁に顎を乗せ、昨夜のことを思い返す。

キスに蕩けながらも蠱惑的に微笑んで僕の性器を扱いてくれた拓磨。
でも乳首を攻めたら簡単に甘い声を出して…

(拓磨も、僕だけに反応する体になってくれればいいのに)

そんなことを考えてしまうなんて、僕はここまで独占欲が強い方だっただろうか?

「…せっかくこの想いが通じたんだ。絶対に…手放しはしないから」

誰もいない風呂場で、僕はひとりポツリと呟いた。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜

紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。 ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。 そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される

中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」 夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。 相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。 このお話はムーンライトでも投稿してます〜

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

処理中です...