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本編
さんわ
しおりを挟む「あら、またドレスが…」
最近よくドレスが切り刻まれるのです。無くなっていることも多々あります。犯人は大体目星がついているのですが…。きっと、サラン様たちでしょうね。
「リリア、そんな廊下に突っ立ってどうしたんだい?」
あれ、何故か寒気が…。
「アーサー様。何もございませんよ。アーサー様こそなぜこちらへ?」
私の部屋はアーサー様の執務室とかなり距離がありますのに。こちらに用があったのでしょうか。
「君に会いに来たんだ。ん? 手に持っているドレスは?」
私は急いで背中にドレスを隠します。それでも、私の慌てぶりに気づいたのでしょう。アーサー様にドレスを奪われてしまいました。
「これは…誰に?」
それはお答えできませんね。言ってしまえば私の命が脅かされてしまいますので。
「リリアは優しすぎる。」
ちがいます、私の身の安全のためです。
「夜会のドレスは?」
「お恥ずかしながらまだ準備ができていませんの。」
来月ですのに、早く準備しないといけませんね。殿下はマリアさんにドレスを贈るでしょうし、自分で用意しなければなりませんね。
「私が準備しよう。明日は空いているかい?」
「あ、はい。」
思わず返事をしてしまいました。
「明日採寸しようか。明日は1日空けておいてくれ。」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
翌朝、時間を確認していなかったので、早めに準備をしました。セシルには迷惑をかけてしまいました。
アーサー様もすぐこられたのですが…。
「リリア! 僕も行くよ!」
「私もちょうど用事があったので。」
「どうして、俺の邪魔を…。」
アーサー様、一人称が崩れていますわ。素のアーサー様は久しぶりにみました。アーサー様実は見た目に反して凄くドSなんです。王子様キャラなんて程遠いんですよ。昨日のアーサー様は偽物です。だから、寒気がしたんです。幼い頃あんな風に話しかけられたことはありません。大人の前ではあれですけれど。
「リリア。」
私は手を引かれ、いつの間にかアーサー様の腕の中にいました。まさか…! ニヤッとしたアーサー様を見た時、私は絶望しました。ルイス様とライもポカンとしています。
『テレポート』
「大丈夫かい? リリア。」
「その話し方が気持ち悪いです」
「仕方ないだろ、誰が聞き耳立ててるかわかんねぇんだから。陛下でさえ俺の本性に気づいてないけどな。」
ある意味尊敬します。こんな口の悪いアーサー様を、見てしまったら皆さん気絶してしまいます。
アーサー様は小さく何かを呟きました。
「これでいいか。」
「なにをしたんです?」
「そんな怪しそうな顔をするな。見た目を変えた。これで、採寸したあとも遊べるだろ?」
それはいいですね。自分が貴族だということを忘れられそうです。
アーサー様は魔法をお使いになりました。テレポートも久しぶりです。魔法は王族だけが使える『奇跡』です。私も使えたらいいんですけどね。テレポートが上手くいったようで、ドレスのお店のすぐ近くにありました。テレポート、すごく便利です。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「俺のことはリアム、な? リリアはリアでいいか。」
「はい、リアム。」
アーサー様は外へ出向く時いつも王子ということを隠すんです。昔、無理やり連れてこられたことがありますが、バレてしまって誘拐されかけました。もうあんな怖い思いはしたくないです。
「すみません、こちらの女性の採寸をお願いしたいのですが。」
もう猫かぶってます。早いです。
「アーサー様久しぶりだねぇ。久しぶりに城を抜け出したんですか?」
「…覚えてたのか。」
よく聞くとこちらの女性はここの店長であり、アーサー様の知り合いだそうです。昔の、ですけれど。やんちゃしてた頃のお知り合いのようですね。
「まさか、そちらの女性が初恋の、んぐっ」
アーサー様は魔法で店長の口を封じました。店長さん、苦しそうです。それと同時に私たちの変装も解いたようです。
「まぁ、綺麗な方…って第3王子の婚約者じゃ…!?」
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