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クズな婚約者
しおりを挟む「きみが俺の婚約者?は?ふざけてる?」
告げたのは今日初めて会うことになった、キースフェルト・ユフィリアル第二皇子殿下その人だった。
「え、こんな地味な女が?」
言動はさておき、目の前の彼は大層女性に好かれそうな甘さを際立てた顔をしていた。
なるほどこれは女性陣は放っておかないわけだわ。ひとり納得する。
とはいえ、初対面出の第一声がそれではいくらご尊顔が美しかろうが印象は大暴落するわけで。
「………お初にお目にかかります。サフィア・ブラントンです」
(結婚はするけど!政略だから!でも絶対好きにならないし!こんなクズ!クズ!クズ!)
確かに私の髪は地味な黒色である。瞳の色も灰色と来たもので、人混みに紛れたら多分間違いなく誰も見つけられない。顔も薄っぺらい顔付きというか、特徴があまりない。
一言で言って地味。良くいえば無害そう、悪くいえば平凡地味モブ女である。
「ブラントンって、ああ。あの権力一家ね」
これみよがしに嫌そうに言われ、「俺まだここにいなきゃなんないわけ?」みたいな雰囲気を出される。ええいなんでこんな男が王太子なんだ。王族としての振る舞いはどこいった!!
「お初にお目にかかります。キースフェルト殿下」
とはいえここでテーブルひっくり返して「地味で悪かったな!」とも言えないので、穏やかに返答しておく。そう、表面上は。
「俺マジでコイツと結婚すんの?何これ罰ゲーム?あのおっさん何考えてんだよ」
しまいには父親をおっさん呼ばわり。
それには父王も苦笑いだった。いや苦笑いだけかよ。もっとちゃんと叱れよ。だからこんな傍若無人が服を着たような人間が生まれるんだ。
「だけどキースフェルト、サフィア嬢は由緒正しいブラントン家の血を引くご令嬢でだな………」
「だから?それしか価値ないってことだろ。逆に。この女にほかにどんな価値があるんだよ」
キースフェルト・ユフィリア王太子殿下。
彼との出会いは私が12歳。
彼が14歳の時が初めてだったが、その時既に彼は立派なクソガキと化していた。
彼は見た目だけなら本当に、悔しいけれど見た目だけならまるで神に愛されて作られた天使のような顔をしている。
それがいけなかったのか、それとも弱冠六歳で五属性魔法を使役し、十歳の誕生日には今まで幻とされていた六属性魔法を使えるようになったのがいけなかったのか。
彼は当たり前のように王宮で権力を持ち、周りの人間に跪かれて生きてきた、らしい。と言うより今の態度がそれを物語っている。国王ですらこの有様だ。
彼は神に愛されて生まれた子供だと言うように、何もかもを持っていた。
神様、差別しすぎじゃない?
しかもこんなのが婚約者だと言うのだから私の未来も終わったものである。
控えめに言ってこの婚約、破棄されないかな…………
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ざまぁタグ無いですね🤔。クズの婚約者は浮気するの?(笑)。ヒーロー、居ないのかしら。ハッピーエンドタグ無いし(笑)。あらすじ見るからに主人公、踏んだり蹴ったりだな💦。