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始まり
夢
しおりを挟むかつて魑魅魍魎が闊歩していた時代がある日本。陰陽師、退魔士と呼ばれる者達が時に退け、時に封印したり除霊をしていた。
それが、功を奏したのか何時しか魑魅魍魎は姿を消し平穏な日々を取り戻した。
かに見えたが…
現代日本のある場所にて
高身 仙人はある夢を見ていた。何処までも広がる暗闇の中、ぽつんと立っている男性のご老人。無表情のまま口を動かしている。
“ーーしい”
声は出ていないが、口元の動きと“感情”から読み取り、目に視線を移し目が合った瞬間、夢から覚めた。
「……ふむ」
上半身をベッドから起こし、顎に手を当て暫し考え込む仙人。色々読み取った情報を整理している。
「用意して行くとするか」
ベッドから起きて素早く支度を終えると、朝食も摂らずに家を出る。外は朝明け前でまだ薄暗い為、バイクを大通りまで押して行く
(夢に出て来るとは、かなり切羽詰まった状態だろう。急いだ方がいいが……)
燃料メーターを見て、ここからの距離を考える
「まずは、お互いの腹ごしらえか」
大通りまで出ると、エンジンを掛けいつものガソリンスタンドを目指した。
コンビニ併設ガソリンスタンド【MR】
時間が早いからか客が居ないので、素早く用事が済ませられるのは、仙人に取ってありがたかった。給油を終えて横のコンビニで手早く商品を取りレジに持って行く。レジには馴染みの店長海道 空峰が豪快に笑いながら商品を受け取り
「こんな時間に来るとは、珍しいじゃねぇか。何かあったのか?」
「ああ、久々に“夢”に出てきてな」
夢の言葉が出た瞬間、真顔になる海道
「まじか。夢見を見たって事は、余り猶予もない急ぎの用事だな……よしこれも持って行きな」
取り出したのは、長さ15㎝程の物差しである
「あった方が、便利だろ」
「確かにな、ありがたく貰うよ」
「それぐらい、いいってことよ。後、イートインスペース空けてやるから、飯すませちまいな」
掛けていたチェーンを外す海道。礼を言って席に着くと素早く食事を終わらせる仙人。すると
「ゴミは置いとけ。早く行ってやんな」
「すまない」
と、だけ言ってヘルメットを被りながらコンビニを出ると、エンジンを掛け出発する仙人。
「夢か……間に合えばいいがな」
コンビニを出て仙人の姿が見えなくなるまで見送っていた海道である。
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